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質素な登山で廃道をゆく(2)

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登山道入口から歩き始めてすぐの所に、

あかまつ採種園と書かれた杭が立っている。

付近はアカマツがたくさんある。

平塚営林署が設置したらしい。

 

アカマツ林のすぐ後は、はやくも登山道が崩れているところを通過。

この先大丈夫だろうか。

 

崩れた登山道の先に道がある。

慎重に進んでいく。

 

手持ちの「山と高原地図」(昭文社)では点線で記されているこの道。

道しるべひとつない。

 

植林地帯を登山道が続いている。

道は枝や枯葉で覆われている。

 

崩れているところをいくつも越える。

 

これは、看板に書かれていたとおり「極めて危険」だ。

 

木々の合間から、権現山が見える。

 

倒木がたびたび道をふさいでいる。

 

落ち葉で登山道が隠れてしまっているところを通過する。

次の一歩の下に、本当に道があるのかどうか分からない。

崩壊しているところを踏み抜くかもしれないのだ。

さらに、下に見えている谷がかなり遠くに見え、

高度感があり、緊張する。

 

この道で一番崩れているところを通過する。

斜面をへばりつくように歩く、カニの横ばいだ。

入口にあった「初心者は不向き」という警告を思い出す。

もちろん我が隊は、初心者だ。したがって不向きだ。


 

慎重に進む、フルハシ隊員。先に通過した私が指示を出す。

「そこの岩に手をかけて、次は右足を!」

 

山奥深くで奮闘を続ける。

千鳥橋から約20分だが、

20分が2時間にも感じられるほどの緊張が続く。

汗をかき、疲労感に襲われる。

しかし、とても休息を入れられるような精神状態ではない。

 

ところが、フルハシ隊員は

まったく動じていない。

次にフルハシ隊員は、

「いいところだ」といって、

森を堪能するように瞑想を始めた。さすが我が隊の精鋭だ。

でも、うーむ、やっぱりただ疲れているだけなのか。あやしい。

しかしここは、質素な気持ちのフルハシ隊員に合わせて、

私もここで休憩をとることにする。


 

しばらくじっとしていると、緊張していた気分が落ち着いてくる。

静かな山奥の空気が体にしみこむようだ。

完全に平常心を取り戻した。

 

私の疑問はともかく、

またしてもフルハシ隊員に感謝だ。

誇り高き探検家として、

気持を新たに挑む。

 

さらに進むと、何度も道が消失している。

そのたびに、周囲を見渡して道を探す。

分かりにくいところには、必ずテーピングがある。

やがて道は崖っぷちから、山の奥に進んでいき、

安心して歩けるようになる。

 

何度もテーピングに助けられながら進んでいくと、

 

完全に道が途絶えた。

もはやこれまでか。

道がない以上は、本日のマイナールート探検は中止。

あとは尾根まで道なき斜面を登りつめるしかないのか。

(11:44)

 

道を探して周辺をくまなく見ていると、

涸れた沢の反対岸にテーピングがある。

あれだ。

 

ここは涸れた沢の開けたところだ。

登山道が消えてしまっている。

(テーピングの位置から振り返って撮影)

逆方面から下ってきたときは、とてもわかりにくい。

 

探検家の方は、ここを下ってきたときは、

黄色いテーピングとケルンを目印にしてほしい。

(青い矢印の奥が千鳥橋方面)

 

さて前方を見ると、沢の反対側にせっかく見つけた道だが、

すぐに先が見当たらなくなる。

テーピングはどこかにないのか。

 

沢の反対側にを見ると、テーピングがある。

あれ?

ということは、先ほど涸れた沢を渡らなくても良かったのか。

 

ここからは、明瞭な登山道がついている。

斜面をジグザグに道が続いている。

 

薄暗い森の中の道だ。

 

やがて、斜面の上に明るい稜線が見えてくる。

 

稜線に近づくと明るくなってきた。

 

よし、ベンチと道しるべが見えてきた。もうすぐだ。

 

やったー!

無事に二本杉峠に到着だ。(12:04)

千鳥橋から約1時間かかった。

 

今来た千鳥橋方面には道しるべがない。

道しるべを立てた神奈川県としては、お勧めできない道なのだろう。

 

周囲には植林された杉がたくさんある。

かつてここには、二本杉峠の由来になった

二本の杉があったのではないだろうか。

 

 

今は小御嶽神社の石碑がぽつんと立っているだけだ。

 

ここで、昼食をとる。

フルハシ隊員の不思議な行動は、

質素なのか、それとも疲労なのか。

疑問が残されたまま、我が隊はこの先、

権現山に進んでいく。

 

 

感想:

・沢屋と釣り人、山屋と猟師は同じフィールドを使う。共存共栄が難しい。

 どうしたらよいのか、永遠のテーマだ。

 猟師に撃たれた登山者の話は聞いたことがないが、やっぱり怖いものだ。

・法行橋の先に「山北町世附猟区案内図」というのがあった。

 もし猟が「1」で行われていたら、猟区内を通過することになったのだ。

 世附川と大又沢に囲まれた地域は猟が入る時期がある。

 詳しくは、山北町のホームページを見てほしい。

http://www.town.yamakita.kanagawa.jp/index2.html

我々の探検はこの後、権現山へと続く。

ここまで来た道と同様、権現山の登山道も不明瞭だ。迷わずに進めるのか。

そして、自然との融合をここみるフルハシ隊員は、本当に質素なのか。

続きはこちら。 → 初心者の通行不可の世附権現山を攻略せよ

 

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