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野生的な感覚で、スズタケをかき分けろ。水晶沢をまっすぐ進め

西丹沢自然教室 〜 水晶沢(左俣) 〜 水晶沢ノ頭 〜 白石峠 〜 西丹沢自然教室

2011年 8月13日(土)、天気:晴れ、雨

行動時間 9:30〜17:00( 7 h 30 min )

探検メンバー : キリヤマ隊長、アンヌ隊員

 

昨年の夏は、アンヌ隊員の受難が多くあった。

 ■ 滝を登っているときに、怖くて動けなくなる

 ■ 釜(滝つぼ)を越えるときに、溺れかける

 ■ ヒルの猛攻撃を受けて、気が狂う

 ■ キャラメルを食べ過ぎて、お腹が痛くなる

しかし、今年は、ロープとハーネスでアンヌ隊員を確保しながら登っている。

おかげで、アンヌ隊員を危険から守ることができ、登れる沢のグレードが

ぐっとアップした。

そして、今回のターゲットは、水晶沢(左俣)だ。この沢は、F1が厄介な滝なので、

いままで敬遠していたが、今年は大丈夫だ。F1の先には、

楽しいナメ滝が待っている。行くぞ、マイナールート探検隊。

 

バージョンアップした我が隊の進む先には

西丹沢自然教室の駐車場に

マイナー探検1号を駐車する。(9:30)

 

用木沢出合を越えて、

林道区間をさらに進んで行くと、やがて白石沢を越える橋が見えてくる。

この橋を渡って、モロクボ沢沿いに進んで行く。(10:10)

以前、ここはキャンプ場だったらしいが、

今はその面影はない。

キャンプ場内にある、コンクリートの道を進んで行くと、

やがて、赤い橋を越える。

モロクボ沢に沿って進んで行くと、

堰堤を二つ越える。

さあ、ここからいよいよ沢に入る。沢支度を準備して

行くぞマイナールート探検隊。

左岸(右側)を進むと

3つ目の堰堤が見えてくる。

堰堤は右から越える。

モロクボ沢は、岩の上を水が流れるナメ滝が多い。

やがてF1が見えてくる。(10:52)

F1 は落差がとてもある。水量も多く

直爆の水が、岩に叩きつけられる音が大きい。

この滝は、登ることができないので、

今日も、昨年(NO.66)と同じルート、

F1 の脇にある岩場を越えるルートを行く。

滝の左側(右岸)にある踏み跡に沿って、

F1の壁の方に進んで行くと、

大きな岩が3段に重なっているところがある。

ここを登るルートでF1の上まで行く。

 

1段目の岩が一番大きく、昨年はここを登るのに

大変苦労した。

しかし、今年は1番目の岩の足下に、

補助になる岩が置いてある。

これを足がかりにすれば、簡単に登れそうだ。

うん、これはいい。

このおかげで、このルートの難易度が

わたしの小遣いのように下がった。

(下がりすぎだ)

今日はここで、アンヌ隊員をロープで確保して登ろうと

思っていたが、どうやらその必要もなさそうだ。

2段目以降は設置されたロープもあるが、

これは使わずに、登って行くことができる。

こうして、難なく

F1の上に立つことができた。(11:10)

F1の上には、すぐにF2がある。

F2は、左から越えて行く。

F2の上には、大きな釜をもった滝がある。

さっそく、水遊びだ。

モロクボ沢は、緑の谷底を流れる沢だ。

さらに太陽の光が沢までしっかり届き、

登っていると、わくわくしてくる沢だ。

 

しばらく進むと、また釜を持った滝に出合う。

飛び込み!!

アンヌ隊員も、水と戯れている。

暑い日ならではの楽しみだ。

背中をつめたい水が抜けて行くとき、

体の中にある悪いものを流してくれるような気がする。

やがて堰堤が見えてくる。(11:30)

堰堤は右側から越える。

20分ほど登ると、水晶沢の分岐へ到着する。

右が水晶沢、左がモロクボ沢の本流だ。

確保の訓練、そして懸垂下降だ

さぁ、ここからが今日の目的、水晶沢だ。

行くぞ、マイナールート探検隊!(11:55)

水晶沢も緑が明るい。

水晶沢はナメ滝、釜を持った小さな滝が連続している。

流れを楽しみながら、進んで行く。

 

すぐに、二俣に出合う。ここは右に進む。(12:00)

すると、水晶沢の最初の滝、F1に到着。(12:05)

水晶沢は、このF1が難関だ。上のほうは高度感があるので、

アンヌ隊員を確保して越えることにする。

まずは、わたしがフリーで登る。

左側(右岸)に登れそうなところがある。

無事に上に到着。まず自分の確保だ。

それから、アンヌ隊員の確保を始める。

ホールドがしっかりしているので、難易度は決して高くない。

しかし、高度感があるので、アンヌ隊員が怖がらないように

ロープで確保する。

こうして、滝を巻いて、沢に降り立つ。

続いて、二俣。(12:30)

右には見事な滝があるが、こちらには進まず、

左方向へ進む。

大きな岩の上を、滑るように水が流れて行く。

ここが水晶沢のハイライトだ。

こんな山奥に、人知れずこれほどの美しい滝があるだなんて、

丹沢は本当にすばらしいところだ。

この日は、問題なく登れたが、

自然教室のKさん情報によると、季節によっては、

岩がヌルヌルしているらしい。

水流の右側を慎重に登って行く。

さて、今日はエイト環による下降の訓練をする。

昨晩、アンヌ隊員に家の柱でエイト環の使い方を教えた。

彼女にとって、初めての懸垂下降だ。

懸垂下降は、右手のロープを緩めないと下れないのだが、

下り始めるときに緊張して、右手を緩めるのがとても怖い。

3メートルほどの岩だが、なかなか下れない。

もっと右手の力を緩めないと、下れないぞ。

ありゃりゃ、向こうへ行ったぞ。

体勢を立て直して、

無事に着地。

何度か繰り返して、ようやく右手の力を抜くことが

できるようになってきた。

懸垂下降は、下り始めるときがちょっと緊張するが、

実際に下ってしまえば、怖くない。

別な場所でも訓練。

この日、アンヌ隊員はすっかりマスターして、

何度も懸垂下降を楽しむ。

我が隊の探検史上、初めての激しいヤブコギだ

充分に訓練をした後は、さらに沢をツメていく。

やがて、涸れ沢になる。

ここで、沢シューズを登山靴に履き替える。

こうして、沢の源頭部をつめて行く。(13:50)

しばらくすると、雨が降り始める。

そして、しだいに強くなって来る。

沢から斜面を登って支尾根を目指す。

ドライバーを使って登って行く。

やがて目の前には、背丈ほどのスズタケが群生。

スズタケの群生は、人が入ることを拒むように、

隙間なく生えている。それをムリヤリかき分け登って行く。

 

雨足がさらに強くなってきた。まさに大粒の雨。スコールのようだ。

都会でこんな雨が降ったら、ゲリラ豪雨だろう。

 

森の中、スズタケの中にいるのにもかかわらず、雨粒は容赦なく体を叩く。

周囲は夕方のように暗くなってくる。その上、雷までなっている。

雷の音が頭の真上で聞こえると、とても怖い。


 

とにかく高いところを目指して、登っていこう。そうすれば必ず登山道に出るはずだ。

しかし、本能的にスズタケの少ない楽なほうに進んでしまう。

すると斜面をトラバースしてしまう。ここは我慢して、スズタケをかき分けて登る。

 

まるで滝の真下に立っているように雨が降っている。

体を伝わって登山靴の中にも水が入ってしまう。靴の中は完全に水没している。

いつまでたっても稜線が見えてこない。本当にこのまま登っていけば大丈夫なのだろうか。

アンヌ隊員が「わたしたち、遭難している〜」と叫んでいる。

わたしは「登っているんだから、遭難じゃない」とムリヤリ否定する。

 

20分ほどたつと、なんだかわたしは、妙に発奮してくる。

体を叩く豪雨、雷の大きな音、スズタケの群生。

これらが野生的な感覚を呼び覚ましたようだ。

スズタケをかき分けるのも快感にすら感じ始める。こうなると怖いものは何もない。

 

おりゃー! どっからでもかかってこい!

 

こうしてガンガン登って行くと、2人の距離が開いてしまう。

「隊長が見えなくなったぁ〜」とアンヌ隊員の声が聞こえてくる。

ちょっと調子に乗りすぎたか。

このときは、アンヌ隊員も気持ちがハイになっているようで、

いつものような弱音が出てこない。人間の体はよくできていると思う。

 

ヤブ漕ぎ30分。やっと登山道に出た。(14:20)

場所は、ジャガクチ丸と水晶沢ノ頭の間。

すごいぞ、マイナールート探検隊。

 

しばらく登山道を進んで、水晶沢ノ頭にあるベンチに到着。

ここでようやくホッと一息。気持ちも和やかになってくる。

 

相変わらず雨が強く降っている。雷も大きく鳴っている。

ここでなかなか時間がとれなかった「おにぎりタイム」にする。

おにぎりを食べていると、すぐ真上で雷の音。

平地の雷とは違い、大音響が腹に響く。

まさか落雷はしないだろうが、なんとなく怖い。


そう思ったとその時、空が鋭く光った。来るぞ。

すさまじい大音響。鼓動が激しくなる。

「はぁ、山で聞く雷は、かなり怖いよね」

このおにぎり、おいしい!!

「人間は本能的に雷が怖いんだねぇ」

野沢菜ワサビが入っているわ!

「雷、怖くないの?」

「あぁ、野沢菜ひとつ、落としちゃったぁ

(いつものように、脚色なし)

 

いったい、アンヌ隊員は度胸があるのか、

それともただの食いしん坊なのか。

下山は、一般の登山道を下る。

水を得た森が、輝くように美しい。

白石峠に到着。(14:50)

やがて、雨が止んでくる。

ここから、白石沢沿いの登山道を下って行く。

 

先ほどの豪雨で、白石沢がすっかり濁っている。

アンヌ隊員が、「コーヒー牛乳だ」といっている。

(カフェ・オレではないところがミソらしい)

キャンプサイトを眺めながら、県道を歩く。(16:30)

西丹沢自然教室に行くと、Kさんが

「そろそろ戻ってくると思っていました。12時くらいに F1 だったでしょう?」

おお、そのとおりです。さすがはKさん。

こうしてマイナー探検1号に到着。(17:00)

すばらしい探検だった。

 

あとがき

水晶沢は、水が涸れたら早めに左右どちらかの尾根に乗ったほうがよさそうだ。

沢をまっすぐツメて行くと、急な斜面や激しいヤブコギを強いられる。

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