探検リストに戻る

 

おしるこが、うまい。尊仏ノ土平から塔ノ岳を目指せ

二俣 〜 後沢乗越 〜 鍋割山 〜 尊仏ノ土平 〜 塔ノ岳 〜 小草平 〜 二俣

2010年12月25日(土)、天気:晴れ

行動時間 8:40〜17:10( 8 h 30 min )

探検メンバー : キリヤマ隊長、アンヌ隊員

 

尊仏土平から塔ノ岳のルートは、一般の登山ルートとしてガイドブック

にも紹介されている。けっしてマイナールートとはいえないのだが、

2008年に玄倉林道の青崩随道が通行止めになってからは、

アプローチがとても困難になった。

したがって、このルートで登頂する人は、激減したはずだ。

ということは、これはもはやマイナールートだ。

行くぞ、マイナールート探検隊。

思いがけない強風。鍋割山へ

東丹沢、県民の森の駐車場に、

マイナー探検1号を駐車する。(08:40)

ゲートを越えて、

二俣まで、林道を歩いていく。

四十八瀬川を渡る。

ここは、いつも水溜りがある。

今日は凍っている。

 

もう一つゲートを越えると西山林道と出合う。

ここを左折する。

周囲の木々は、すっかり落葉してしまい

周囲の景色がスッキリ見える。

 

「山の恩人 尾関広氏之象」のそばを通過し、

二俣の分岐を通過する。(09:00)

橋が設置されている沢を渡る。(堪七沢)

この立派な橋は、最近架けられたものらしい。

以前は小さな丸太橋だった。

渇いた地面に冬を感じさせる長い影が、

薄く見える。

もう一つ沢を渡る(本沢)。

ここにも立派な橋が設置された。

 

鍋割山のボッカ車の脇を通り過ぎると、

ミズヒノ沢を渡る。(09:25)

 

堰堤を左から越えると、

沢のガレ場を進む。

ここは後沢乗越沢というらしい。

道しるべを過ぎると、沢の右側を登り始める。

いよいよ本格的な登りが始まるのか。

と思ったら、森の中の平坦な道になる。

常緑樹の青々とした葉がきれいだ。

ここは下草にも緑が残っており、

まるで春の森のようだ。

春先の芽吹く時期、

この道はスギやヒバの香りがして、

とても癒される。

 

やがて、沢のようなガレ場を通過すると、

いよいよ急な沢が始まる。

道しるべがあるカーブを過ぎると、

この道、唯一の危険個所だ。

道が狭まっているところに、

木の根が張り出している。

後沢乗越が見えてくると、

つづら折の道を登っていく。

そして、後沢乗越に到着。(09:50)

休憩を取ろうと思ったが、

ここはとても狭いところなので、

もう少し登ることにする。

 

後沢乗越を過ぎると、さらに急な沢になる。

この日は、風が強い。(横浜、風速 8 m)

左方向(北西)の風が尾根に吹き付ける。

急な坂なので、汗をかくが、

ダウンジャケットを脱ぐと、

冷たい風が容赦なく体に突き刺さる。

平らなところに出る。

ここで休憩しようと思っていたが、

風が強く、長く止まっていられない。

さらに登っていくと、

後沢尾根の分岐を過ぎる。

(1000 m と書かれた木がある)

この道の探検記はこれだ。

No26:後沢尾根の道は、どこに続くのか

この尾根にも、木道が増えてきた。

登山道から少しは慣れたところに

石像と木像がある。

小さくて見過ごしてしまいそうだ。

(踏み跡がついている)

平らなところ、その2に出る。

やはり風が強く、休憩ができない。

水分補給のみで、さらに進んでいく。

 

冬の青空は、とても透き通っている。

じっと見ていると、宇宙まで見えそうだ。

周囲には霜柱がたくさんある。

よく見ると、カールしている。

それを見たアンヌ隊員、「水あめみたいだね」

(また食べ物ネタだ)

平らなところその3に到着。

写真で見ると、なんとも和やかなところ。

風の強さが写真に写らないのが残念だ。

 

そういえば、台風のレポートの定番は、

荒れた海。風に耐えて中継するレポーターだ。

風は見えないので、風で動いているものを

撮影しないと、見ている人に訴えることができない。

 

この写真も、穏やかな冬の日差しの中を進む探検隊

と見えるだろう。だが実際には、とても強い風が吹いている。

 

平らなところその4。

風に吹かれ困難の中を進むアンヌ隊員。

(もうちょっと緊張感を出して欲しい)

両側を木々に囲まれたところを通過すると、

左側(西)の展望ポイントに到着。

ここでしばらく西丹沢の山々を眺める。

しかし、アンヌ隊員は寒さに耐えられず。

「寒いわ、早く行きましょうよ」

平らなところその5。

寒いので止まれず、

おにぎりが食べられないアンヌ隊員。

そろそろ限界か。

「鍋割山の山頂、東側なら風が遮られるよ」

「そこでおにぎりを食べましょう」

右側(東)の展望が開けるところが一箇所ある。

鍋割稜線、大丸が霧氷している。

いよいよ山頂が近づいてくる。

「おにぎり♪おにぎり♪」

アンヌ隊員、喜ぶ喜ぶ。

鍋割山の山頂に到着。(10:50)

ところが鍋割山の山頂は広く、

東側(右側)の斜面に立っても風が強い。

もちろん、西側(左側)はすごい風だ。

アンヌ隊員、がっかり。

 

鍋割峠に向かって少し下ったところに

いつも一息入れるポイントがある。

そこで、休憩をとることにする。

鍋割山から鍋割峠の方に下っていく。

3分ほどで、いつもの休憩ポイントにすぐ到着。

風が強い。すごく寒い。あれ!?

そうか。ここは北西の斜面だ。

(キリヤマのアホ)

しかたないので、立ったまま、素早くおにぎりを食べる。

尊仏ノ土平への分岐に到着。(11:20)

(この看板の後ろに道がある)

威厳を保ち、尊仏ノ土平を目指せ

さぁ、ここからが今日の探検だ。

行くぞマイナールート探検隊。

得意のジャンピングポーズだ。

この斜面は北側。さらに寒い。

やわらかいはずの地面は、硬く凍り付いている。

日影の斜面を、いきおいよく下っていく。

ひゃー、寒いの何のって、

そんなに急いだら危ないよ、などといってられない。

黙々と下るアンヌ隊員。

表情は見えないが、

かなり険しい顔になっているだろう。

急な坂を下り終えると、平らなところに出る。

道はここから、いったん登りになる。

登り始めると今度は、南東の斜面だ。

すると、とたんに暖かくなる。

こんなに差があるなんて…。

ダウンジャケットを腕まくりする。

オカラ沢方面への分岐を過ぎる。

国土地理院の地図では、オカラ沢へ下る道しか

載っていない。だが、「山と高原地図」には

これから進む、尾根コースも載っている。

 

(国土地理院の地図に加筆、以下同様→)

道は、あまりはっきりしないが、

尾根をはずさないように進めば大丈夫だ。

やがて尾根が広くなってくると、

ちょっと不安になってくる。

途中で右折するポイントがある。

ここには木にペイントがしてあるので、

大丈夫だ。

 

東側の斜面に開けたところがある。

ここは風もなく、とても暖かい。

ようやくゆっくりできる。

(アンヌ隊員は、もちろん食べる)

ここからは、これから登る塔ノ岳がよく見える。

山頂は霧氷で真っ白だ。

(ズームして撮影)

 

こうして、さらに下っていくと、

尾根は、やがて植林地帯になる。

やがて、尾根が広くなって、ただの斜面になってくる。

あれ?、これはおかしいな。

ここは尾根のはずなんだけど、

こんなにはっきりしない??

「なんかヘンよ、また間違えているわ、きっと」

「うーん、へんだなぁ」

「他に尾根があるんじゃない?、戻りましょう」

今下りてきたところをもう一度登っていく。

これでは、どっちが隊長かわからない。

(ああ、隊長の威厳が…)

先ほどの休憩したポイントまで戻ってくる。

あらためて、地形図をよくみる。

他に尾根はない。どうやらこの方向でよさそうだ。

わははは、どーだ!!

(威厳回復)

道は無いが、はっきりしない尾根を下っていくと、

だんだん尾根が見えてくる。

右方向に沢がある。

「よし、ここから下るぞ」

「本当にここでいいのぉ?」

「間違いない、あれはきっと鍋割沢だ」

そういいながらも、ちょっと自信がない…。

とにかく、下っていく。

出たところは、だだっぴろい、河原。

堰堤もある。鍋割沢だ。

わははは、どーだ!!

(威厳回復、しつこい 

広い河原を渡る。沢は、ほとんど涸れている。

さえぎる物が何もないところなので

とても風が強い。

塔ノ岳と書かれた看板がある。

ここが塔ノ岳だ(ちがう)。

堰堤を左から越え、その先に塔ノ岳への道がある。

この付近まで来ると、風がおさまってくる。

メイン探検の前に、ここでランチだ。

しばらくすると、男性が下山してきた。

登山道の状況をうかがうと、まったく問題ないとのことだ。

体力の回復していないキリヤマは、大丈夫か

さぁ、いよいよ塔ノ岳に向かうぞ。(13:00)

行くぞ、マイナールート探検隊。

塔ノ岳まで、2.5 km らしい。

これから長い登りが始まる。

最初は、なだらかな登りだが、

尾根に向かってからは、けっこうきつい坂道だ。

わたしは、年末の激務にダウンして会社を数日間休んだ。

そして、疲労が回復しないまま迎えた今日の探検。

ここの登りは、かなり厳しく感じられる。

だが、実際はそんなに急な坂ではないかもしれない。

いつもなら、アンヌ隊員に

歩くペースが早すぎる、といわれるのに、

今日は、アンヌ隊員に付いていくのがやっと。

まいったなぁ。

はひ〜!疲れた。

落葉したあとの、明るい陽が差す森の中を

一歩一歩、ゆっくりと登っていく。

スローペースの登山は、体だけでなく、

感覚もゆったりとしてくる。

木々に、夏のような命の力強さは感じられない。

冬は、眠っているのだろう。

それでも、木々に命がないわけではない。

木でできている椅子や机には、命はないが、

根を張って大地に立っている木には、必ず命がある。

わたしたちも命をもって生きている。

しかし、命は眼で見ることができない。

木の命も見ることはできないが、必ず命はある。

たった今、目の前に立っているこの木に命がないのなら

わたしたちにも命がない。

わたしたちは生きている。命をもっている。

そして木も生きている。命をもっている。

大木を抱きこみ、見上げるとき、そのことを強く感じる。

そんなことを考えながら、

常緑樹の多い地帯を過ぎると、

1234 m 付近に到達する。ここは何にもない平坦な丘だ。

ずいぶんと登ってきたが、まだ半分くらいだ。

左(北)には蛭ヶ岳、不動ノ峰の稜線がバッチリ見える。

右足の付け根が痛い。

下るときは痛くないが、登るときに痛い。

おそらく筋肉が疲労しているのだろう。

休憩も兼ねて、ストレッチで体を伸ばす。

やぁ、はじめましてキリヤマです。

ベッカムに似てますが、キリヤマです。

あなたの幹の中には大地からの水が

流れているんですね。

周りの皆さんも、はじめまして。

皆さん、根から枝の先まで、大きな命ですね。

わたしたちで言うと、爪の先から髪の先までかな。

こうして、今年になって新設された

木の階段を登っていく。

この日は、右足が痛いのでゆっくり登っていく。

しばらく登ると、不動の清水がある。(14:30)

丹沢今昔(奥野 幸道、有隣堂)」によると、

塔ノ岳がブナの木に覆われていたころは、

ここ不動の清水には、豊富な水が流れていたそうだ。

この日は、ホースからチョロチョロと水が流れているだけ。

触れてみると、そんなに冷たくない。


水場には、ご神体(石碑?)が祭ってある。

右の石碑は、行者ヶ岳や塔ノ岳にあるものと同じだ。

左の石碑は、少し欠けているが、昭和36年と書かれている。

以前ここに祭られていた

ご神体(石像?)が脇にある。

左にあるのは、馬頭観音のかけらかな。

わたしは石碑のご神体より、

以前のご神体とその周りにある石に、非常に興味がある。

これらの石は、もっともっと古いご神体なのだろうか。

そして、山頂までの階段を

ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり。

そして、ついに塔ノ岳の山頂だ。(14:50)

すごいぞマイナールート探検隊。

(バンザイ・ジャンプだ!)

小草平ノ沢で思う

尊仏山荘で休憩しようかと思ったが、

花立山荘におしるこがあることを思い出す。

「アンヌ隊員、花立でおしるこを食べようか」

「いいわね、そうしましょう」

下山は、大倉尾根。

源次郎尾根の分岐を過ぎ、

花立山荘に到着。

さぁ、おしるこだ。

寒かった体に、暖かいアンコがしみわたっていく。

ああ、なんて幸せなんだろう。

(400円なり)

 

こうして、大倉尾根を下っていく。

次に、堀山の家のある小草平分岐を、

二俣方向へ下る。ここから植林地帯。

道がはっきりしなくなるが、

尾根が明瞭なので、とにかく下っていけばいい。

しばらく下ると、右折のポイントがある。

まっすぐ下ってはいけない。

このあたりは、道が明瞭で、

テーピングもある。

ここから先は、木の合間を縫うように

道が続いている。

やがて、道が斜面沿いに進み始めると、

小草平ノ沢に出合う。

ここは、沢をわたって反対岸の道を進む。

間違えて沢を下る人が多いらしく、

テーピングで通せんぼしてある。

周囲の木々には、テーピングがたくさんあるが、

なんの意味か分からない人も多いだろう。

(わたしも分からない)

この沢に丸太橋があれば、

あるいは、県の設置する

しっかりした道しるべがあれば

迷う人は、いなくなるだろう。

(看板があるのだが、気がつくには、小さすぎる)

 

沢をわたってから、下流方向を撮影。

テーピングの通せんぼは、切れやすいのではないか。

ちょっと心配だ。

小草平ノ沢(勘七ノ沢)の左岸を下っていく。

森の中が暗くなってきた。

こうして、二俣に到着。(16:50)

どうやら陽のあるうちに、森を抜けられた。

後は林道を歩いて、

マイナー探検1号に到着。(17:10)

すばらしい探検に、祝福を。

 

あとがき

地図に無い、小草平ノ沢

堀山の家から二俣に向かうとき、小草平ノ沢を越える。このとき、沢を越えずに

沢沿いに下ってしまうパーティが多いと聞く。

(わたしも沢沿いを下っていくパーティを目撃したことがある)

なぜなのか。それは、以下の地図を見て欲しい。

地図によっては、小草平ノ沢の記載がない。小さな沢は、地図に記載されないからだ。

この日、花立山荘で聞いた話では、堀山の家から小草平ノ沢に到着したパーティが、

地図に沢の記載がないために、登山道をはずしたと勘違いした、とのことだ。

そのパーティは、堀山の家まで登り返し、夜遅くに大倉に到着したらしい。

やはり地図を見るときは、等高線をよく見るようにしたい。そうしないと、

現在地を見失うことになる。なお、「山と高原地図」2009年版の裏側、

表尾根の地図には小草平ノ沢の記載があり、「渡河あり」と書かれている。

探検リストに戻る

このページのTOPへ