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スピード感あふれる水流を大いに楽しめ。新茅ノ沢だ。

新茅ノ沢 〜 烏尾山 〜 仲尾根(廃道)

2010年8月21日(土)、天気:曇り

行動時間 7:50〜12:00( 4h 10min )

探検メンバー : キリヤマ隊長、アンヌ隊員

 

新茅ノ沢は、2年前、巻き道に苦労し、

越えられない滝に辛酸をなめる思いで登った沢だ。

(参考:No8:沢を登って山頂を極める。新茅ノ沢を探検せよ)

あれから我が隊の登攀技術は、進歩しているはずだ。

果たして、無事に頂上、烏尾山にたどり着けるのか。

そして下山に使う仲尾根では、踏み跡のはっきりしない道を、

迷わずに下山できるのか。

行くぞ、マイナールート探検隊。

 

ちょっとレベルアップの沢登り、新茅ノ沢

マイナー探検1号を戸沢林道、新茅荘の近くにある

駐車スペースに止める。(07:50)

林道を戸沢方面に10分ほど歩くと、

新茅ノ沢の入渓ポイントがある。

さぁ、行くぞマイナールート探検隊。

新茅橋の下をくぐる。

このあたりは、とても暗い。

最初の滝だ。

この滝は、左から簡単に越えられる。

やがて沢が明るくなり、

F1−7mが見えてくる。

(以下、滝の高さは「丹沢の谷110ルート」山と溪谷社より)

新茅ノ沢には、緊急用連絡用の看板が

設置されているので、滝のFナンバーが分かりやすい。

F1は、右側のザレ場を巻く。

しっかりした巻き道なので、安心して登れる。

F2−7m。

水量が多いこの滝は、ほぼ直暴だ。

ガイドブックによると、左側を登るらしい。

クライミング装備のない我が隊は、もちろん巻く。

巻き道は右側にある。

 

巻き道は、踏み跡もある。

ロープも設置されている親切設計だ。

F2を巻くときに、一緒にF3−5mも巻いてしまう。

ここから下を見ると、かなりの高度感だ。

(Fナンバーの看板が小さく見えるのが怖い)

F4−4m。

こぢんまりとした印象の滝だ。

岩の感じが左右対称に見えるのも面白い。

ここは右側を登る。

ホールドがしっかりしているので、

あまり怖くない。

 

F4の後は、小さな滝を越える。

そのあと、しばらくゴーロが続くと、

 

F5−12m、大滝だ。ここは、右側を登るらしい。

12mというと、電信柱くらいの高さだ。

この高さから大量の水が落ちてくるのは、実に豪快だ。

滝に打たれると、かなり強い流れに圧倒される。

ここで、日ごろの行いを反省する。

webで調べると、ここを直登りしている記録は、

ほとんどない。巻き道は左側にある。

巻き道には踏み跡がある。

右側は、崖になっており、かなり大きく巻く。

かなり登っても、右側には崖が続く。

前回は崖を登ったが、とても危険だった。

今回は、崖のところを通り過ぎて、

植林地帯のあたりから、登り始める。

 

続いて、崖の上を横切るように進んでいく。

やがて踏み跡が出てくる。

この道にしたがって歩いていくと、自然と沢に出る。

さらに沢を登って行く。

ここでアンヌ隊員のおにぎりコールになる。(08:50)

アンヌ隊員は、探検開始からきっかり1時間で

おなかが減ってくる。

この日のおにぎりコールも

沢に入ってきっかり1時間だった。

ホールドを探して、ルートを見極めろ

さらに進むと、F6−3m。

大きな倒木が滝に寄りかかっている。

ここはその倒木を利用して、右側から難なく登れる。

すぐ上に、F7−2m。

岩の溝を細く水が流れている。

ここは、右側から登る。

F8−1.5mは、なんとなく過ぎてしまう。

なんで、こんな低い滝にF番号があるのだろうか。

(崩れたのかな?)

新茅ノ沢は、登り初めからゴールまでの標高差が620mだ。

さらに水量が豊富なので、水流に勢いがある。

F9−7m。

むき出しの岩を、勢いよく流れ落ちてくる水。

その水が下の岩に当たって、飛沫しぶきを上げている。

ここで、また反省。

おお、冷たい!

ここは、左側を登る。

F9の上には堰堤がある。

大きな岩を重ねたこの堰堤。

こんな山奥に掘削機を持ち上げたのか。

さまざまな形をした岩が、重なり合っている。

隙間なく、ぴったり重なっている岩。

まるで城壁のようだ。

その上にも堰堤がある。

岩はどれも、ガッチリと組み合っている。

どうしてこんなことができるのだろうか。

 

さらに堰堤が続く。

もはや、崩れてしまっている堰堤もある。

堰堤マニアにとっては、格好の研究材料かもしれない。

堰堤地帯のあたりから、水が涸れる。

この付近は、地下に水が流れる伏流区間で

しばらく進むと、水がまた流れ始める。

F10−5m。斜めになったナメ滝だ。

これは簡単に登れる。

二俣に分かれているところを左に進む。

その先に、3段10mのルンゼ(深い大きな岩溝)がある。

深く切り込まれた岩の中を流れる水。

荒々しく、削られた岩。

見上げると、溝に吸い込まれるような感じだ。

ルンゼの頂上にある5mの滝を越えて、

すぐその次に、6mの滝がある。

続いて、4mの滝。

前回2008年にここに来たときに、かなり苦労した。

いままでこの沢にアンヌ隊員を連れてこなかったのは、

ここがあるためだ。

 

この滝は、上部にホールドが少なく、難儀する。

あとちょっとのところで越えられない。

前回からくらべ、登攀技術は少しは進歩したはずだ。

今度は越えられるはず。

周囲をよく見ると、巻き道が左にある。

この巻き道は、前回は見つけられなかった。

もしダメなら、無理せずに巻き道を使うおう。

 

ここで、アンヌ隊員に下りるように指示。

わたしが登ってルートを探すことにする。

 

どうやら上部でいったん水流を左に渡ると、

水流の溝にホールドがありそうだ。

ホールドの位置をアンヌ隊員に伝えて、

いったん下りる。そしてアンヌ隊員が再チャレンジ。

 

水流をわたるアンヌ隊員を見ていると、ヒヤヒヤした。

横方向への移動は、危険だ。

下までは3mほどの高さ、ほぼ垂直。

確実にホールドしているので、まず大丈夫だが、

もしも滑落すれば、間違いなくケガをする。

 

難所をクリアーして、その上部にある

5m、3mの滝を次々に越える。

ここは、ホールドが豊富なので問題なく登れる。

続いて、上部に岩が挟まっているCS(チョックストーン)だ。

水が涸れているので、大きな岩の全体が見える。

この大きな岩は、いつからここにあるのだろうか。

 

ここは右側を登る。

最初の一歩がちょっと苦労するが、そのあとは問題なく登れる。

 

 

 

 

ガレ場をずっとつめていくと、

また、ルンゼ(岩溝)がある。

ルンゼの合間に、小さな滝もあり、

側面をヘツって越えるところがある。

このあたりは、岩がもろくヘツるのがちょっとこわい。

ルンゼを越えると、ようやく山頂が見えてくる。

沢を登ってきた後の急坂は、かなりキツイ。

 

少し先に頂上が見えてくると、頂上から男性が大声で話しかけてくる。

「こんにちは〜、烏尾山荘の主人を見ませんでしたか」

「わたし達は沢を登ってきましたので、会いませんでした」

「烏尾山荘は、10時に開くはずなんで、そのへんにいるかと思って…」

 

烏尾山のご主人は、沢から登ってくるのだろうか…。

 

こうして烏尾山に到着。(10:20)

沢に入ってから2時間30分だ。

道迷いするな。廃道の仲尾根を進め

山頂で昼食をとり、続いて下山だ。(10:40)

下山は仲尾根を探検する。

地図では廃道扱いの道を、勇気を持って進んでいく。

しばらく草原地帯を行く。

このあと、笹ヤブ地帯を通過するはずだ。

ついに来た。猛烈な笹薮に突入!

 

と思ったが、

なんと笹がすっかり刈られている。

廃道なのに整備されている。

 

(2008年7月のこの付近)

これは、歩きやすい。

しかし、刈ったあとの笹が残り、

笹の根っこも残っているので

つるつると滑る。

(アンヌ隊員は4,5回スベった)

植林地帯を進む。

途中に、くねっとした木がある。

 

そして、植林地帯を越えると、

おお、道しるべだ。

三角点だろうか。

「神奈川縣」という表記は、明治、大正時代の表記だ。

しかし、この石はそんなに古そうに見えない。

気持ちが晴れやかになるような、広い草原地帯に出る。

目の前は大倉尾根だ。

ここはかなりの急坂だ。

それが分かるように横から撮影してみた。

草原地帯をまっすぐに下ってくると、

森の中に道が続いている。

森のなかを踏み跡に沿って進むと、また道しるべがある。

道しるべの後ろには、はっきりと踏み跡があるが、

ここは、左折らしい。

前回ここに来たときは、ここで間違えのだ。

左折してしばらくは、

踏み跡がはっきりしない斜面を下っていく。

やがてまた、踏み跡が現れる。

この付近は、虫がたくさん飛んでちょっとうるさい。

 

 

踏み跡は、やがて斜面を横切るように進むようになる。

植林地帯の入口に、3つ目の道しるべがある。

隙間なく生えている植林地帯を

あまりはっきりしない踏み跡を頼りに下っていくと、

やがて戸沢林道が見えてくる。

林道に到着。作治小屋のすぐそばだ。

頂上からきっかり1時間だった(11:40)。

よし、道に迷わずに仲尾根を制覇したぞ。

すごいぞマイナールート探検隊。

あとは林道を歩いて。

マイナー探検1号に到着。

すばらしい探検に祝福を。

 

あとがき

・新茅ノ沢は、滝が次々に現れ、あきさせない。

 しかも、ホールドがしっかりしている滝が多く、

 なかなか登りごたえのある沢だ。

 

・下山に使った仲尾根でアンヌ隊員は、右目のあたりを虫に刺される。

 ブユかなにかと思われるが、翌日腫れ上がってしまい、大変だった。

 長袖にタイツ、手袋。山では肌を出さないのが基本だが、顔だけは出ている。

 やはり防虫ネットをかぶる必要があるのか。

 

・新茅ノ沢F5の上で休憩していると、下から単独の男性が来た。

 あれ?、装備がウエストポーチだけのこの人(Mさん?)、

 山中で彼に会うのはこれで4回目だ。もちろん、彼は私たちのことを知らないだろう。

 それにしても、山中で同じ人に何回も会うのも珍しい。

 もしかしたら、今までも気がつかないだけで、同じ人に何度も会っているのかもしれない。

 4回目のこの日も彼と山の挨拶を交わし、後姿を見送った。

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