探検リストに戻る

 

畦ヶ丸へ向かう、謎の道を探検せよ

西丹沢自然教室 〜 畦ヶ丸 〜 権現山分岐 〜 西丹沢自然教室

2009年10月18日(日)、天気:晴れ

行動時間 7:30〜13:30( 6h )

探検メンバー : キリヤマ隊長、アンヌ隊員

 

畦ヶ丸、権現山の周辺には、謎の道が多数あるという。

その中の一つ、下棚付近の道は、西丹沢の迷宮と言われ

長年にわたって探検家を寄せ付けない道だ。

 そんなことは誰も言っていない。そういうかもしれないが、

2007年、わたしによって発見されてからは、わたしが言っている。

 そんな謎の管理道を勇気を持って進む、キリヤマ、アンヌ。

行くぞマイナールート探検隊。

 

下棚付近にある、謎の道

西丹沢自然教室の駐車場にマイナー探検1号を駐車する。

駐車場には車が少ない。

紅葉のシーズンにはまだ早いからか。

立派な鉄橋で沢を越える。

ここからは東海自然歩道だ。

人影が無いオートキャンプ場のサイトに

紅葉した木がぽつんと立っている。

夏休みの週末は、ここには地面が見えなくなるほど

テントがたくさん張られる。

大きな堰堤を越える。

加入道山、大室山のあたりに

秋らしいやわらかい雲がかかっている。

 

沢をわたろうとするアンヌ隊員。

こらこら、今日は沢登りではない。

ちゃんと橋を使いなさい。

 

家族づれのハイカーが先行している。

下棚、本棚を見に行くのだろうか。

丸太の橋をいくつもこえるこのルートは、

自然を楽しむ散策路として人気がある。

権現山への分岐を分けて少し先に進むと、

岩だらけの道は、

下棚の方向へ分かれる。

踏みあとにしたがって対岸を登ったところに

西丹沢の迷宮、謎の道がある。2年ほど前に気がつき、

いつか行って見たいと思っていた。

入口には、下棚へ行く登山者が迷いこまないように

ロープが張ってある。

近くには、「通行できま××(不明文字)」と書かれた

テーピングもある。おそらく探検家を励ます言葉だろう。

 

これぞマイナールート探検だ

よし、ここから今日の探検が始まる。

行くぞ、アンヌ隊員。

マイナールートの探検は、いつもわくわくする。

久しぶりの探検に、アンヌ隊員も楽しそう。

尾根に向かってしばらく急な坂を登っていく。

謎の道は、意外にもはっきりと踏み跡がある。

すぐに尾根に立ち、さらに進むと
キレット(ヤセ尾根)を通過する。

わくわくするような険しいところもあり、

とても楽しい。

謎の道は尾根を外れて、斜面沿いの道になる。

左下に下棚の上流にある2段の滝が見える。

道が山腹から尾根に進むと、

平坦な広いところに立つ。

ここからしばらくは尾根道だが、

大きな岩のあるところからまた尾根を分けて、

左方向、斜面沿いの道になる。

ここから道が険しくなってくる。

手を使って登ることが多くなってきた。

いつものように、佐々木小次郎スタイル。

ストックを背中に入れる。

急な坂をどんどん登っていく。

これはなんと、黄色の杭がある。

杭には番号が書かれており、数字が増えていく。

謎の道なのに、ずいぶんと管理されている。

両側から木々に包み込まれるように

尾根道を進んでいく。

モミの巨木と対話をするキリヤマ。

こうして手を当てると、木の中に流れる

水の流れを感じることができる。

もちろん、木の表面が振動しているわけではない。

ただ、木々に囲まれて道を歩いていると、

草木は生命をもっている、と感じる。

そして、毎日の生活では、

ほとんど意識することの無い、わたしの命。

森の中では、命というものを強く感じる。

そんなことを考えているとき

アンヌ隊員、「おなかが減ったわ」。

森の中で感じることは、人それぞれだ。

(ここで補給をとる)

謎の道なのに、丸太で道が縁取られている。

こんなものまであると、

謎の道という表現を変えたほうがいいのかもしれない。

とても綺麗な尾根だ。

これぞマイナールートの楽しみといえる。

「猿のコシカケ」がある。

これはキノコではなく、樹液が固まったものなのかもしれない。

左側に植林地帯、

右側に原生林が続く道を進んでいく。

おや、道がはっきりしなくなった。

おかしいな。

尾根を忠実につめていけば、

そのうちまた道が見えてくるだろう。

畦ヶ丸への方向はあっている。

自信を持って言えるが、

そのときわたしは、道をはずしていなかった。

自信を持たないで言えるが、

そのときのわたしは、ほれぼれするほど男前だった。

道がなくなった

尾根は続くが

道はあいかわらず、はっきりしない。

まぁ登っている限りは、必ずどこかに到着するわけだから、

とにかく登っていこう。

しかし、よくよく考えてみると、

道を見失ったあたりから、黄色の杭を

まったく見なくなった。これは、どうもおかしい。

ちなみに、最後に見た杭の番号は20番台だった。

道が荒れているのか、それとも行き止まりの道だったのか。

もしかしたら植林地帯のあたりから、謎の道は尾根を外れて

違う方向へ進んでるのかもしれない。

 

さらに登っていくと、

車軸のようなものがある。

周囲には、一斗缶の残骸やヘルメットが散らばっている。

この付近は、平らな広い場所だ。

ここはかつて何かの作業場だったのだろうか。

 

 

作業場から少し先で、補給タイム。

地図で確認すると、道はなくなったが、

間もなく畦ヶ丸の稜線だ。

このまま登っていくことにする。

畦ヶ丸の稜線が見えてくる。
だんだん、ヤブっぽくなってくる。

先ほどの美しい尾根とは違い、

木がたくさんあって進むのに苦労する。

マイナールート探検の目的は、あくまで道を探検することだ。

しかしこれでは、道も目的も外している。

 

道はなく、尾根は荒れているが、

周囲にはブナの木がちらほら見え始め、

畦ヶ丸の稜線が違いことが分かる。

やがてヤブが終わり、

斜面をフリージグザグで登っていくと、

畦ヶ丸の稜線、東海自然歩道に到着。

謎の道を途中で見失ってしまったが、

無事に稜線に着いたので、ひと安心だ。

そして、稜線を畦ヶ丸の山頂まで進む。

畦ヶ丸は1292mの山で、丹沢ではそんなに高い山ではない。

しかし、その稜線はブナが多く、丹沢の魅力を感じさせる。

森の空気が体にしみこむ感覚を楽しみながら

さらに稜線を進むと、

 

畦ヶ丸の山頂が見えてくる。

ここから権現山まで尾根にある道を探しながら

下っていく。

 

山頂にはベンチがあり、何人か休憩している。

挨拶を交わし、会話が始まる。

クマがいる道を探検だ

 

 

どこから登ってきましたか、と聞かれ

下棚と本棚の間にある道をつめてきた、と話すと、

とても興味をもたれた。そこで地図を見せて説明すると、

「ええ? そんなすごいところを登ってきたんですか」

とみんなに言われる。

 

うーん、ちょっとオーバーに説明してしまった

 

そして、これからどこに行くのか、と聞かれて、

この山頂から権現山への道を地図で説明すると

「そんなところにも道があるのか」

「わたしたちには、とても無理だ。すごい」

などと言われる。いかん、カッコつけすぎた。

 

説明したことをちょっと後悔していると、

まさにこれから進もうとしている、権現山への道から

人が来た。この人は、なぜか興奮気味だ。

 

わたしたちが、権現山までの様子を聞くと、

道は明瞭で問題ない、とのこと。

しかし、

 

「クマを見ました」

 

ええ!?、クマ!!。

行くのやめようかなぁ…。

 

しかし、かっこよく説明した手前、

いまさら「やめます」と言いにくい。しかも、

「クマ鈴をつけていけば大丈夫でしょう」、などと

言われてしまい、引くに引けなくなった。

 

こうして、ベテランを装って山頂を後にする。

 

下り始めは、道が明瞭だ。

(クマは大丈夫かな)

ペンキの印もある。

(クマはいないよね)

しばらく下ると、ヤブ道になる。

(クマ…)

ヤブの中に道が明瞭に見えるので、

ここも迷わず進める。

(クマ〜!)

やがて平らな広いところにでる。

クマがいないことを確認して、一息つく。

左方向へ促す矢印がある。

この矢印は、先ほど山頂で会った人が

「迷いやすいのでつけました」といっていた矢印だろう。

まだ、ペンキの臭いが残っている。

この付近は道が不明瞭だ。

矢印にしたがって左方向の尾根に進むと、

またペンキの印がある。こちらで正しいようだ。

尾根は、広くなるところもあり、

そのたびに周囲を見渡して、道を探す。

道は相変わらず不明瞭だ。

登りで使うには問題が無い道だが、

下りで使うにはちょっとわかりづらい道だ。

踏み跡は少しあるが、

管理道ではないので、不明瞭なところが多い。

おまけにクマのことが気になってしょうがない。

いつ出てくるか、びくびくしながら進む。

切り株が見えると、

「わぁ、クマ」

少しでも物音がすると、

「クマだぁ」

下りなのに、心拍数が上がる。

周囲の木々はとても美しいのに、

わたしの心は、見えないクマにとらわれている。

 

クマ鈴だけでは怖いので、大声で歌う。

歌はもちろん「マイナールート探検隊のテーマ(作詞作曲キリヤマ)」だ。

1079m地点と思われる場所に到着。

ここで、昼食。

さらに下っていくと、

分岐に到着。

ここからは、管理道だ。

管理道は下棚沢の方に向かっている。

振り返って今、下りてきた来た道を撮影。

逆コースで畦ヶ丸に向かうときは

管理道に進まないようにするといい。

(赤のペイントが目印だ)

先ほど不明瞭だった道が

すこしはっきりするようになる。

やはり管理道は分かりやすい。

いるぞ、近いぞ

先ほどのクマを見たという場所は、

そろそろのはずだ。

慎重に、ヒヤヒヤ、そして歌いながら進むと、

突然、動物の臭いが、しかもかなり強い

この臭いは、シカではない。

何か大型の動物の臭いだ。

近くにいるぞ。アンヌ隊員、気をつけろ。

周囲を見渡すが、動くものの姿はまったく見えない。

物音もしない。そこにあるのは、動物の臭いだけ。

それにしてもかなり強烈な臭いだ。

青空を背景に権現山が見える。

とてもきれいだが、ここは危険だ。

すぐに離れよう(逃げよう)。

 

急いで進んでいくと、

すぐに、分岐に到着。

鬼岩沢からの管理道と合流する。

(この道の探検はNo46 権現山への管理道を見つけろを見てほしい)

キレット(ヤセ尾根)を通過すると、

権現山への分岐に到着。

ここまでくれば、おそらく大丈夫だ。(根拠なし)

あとは、権現山の登山道を下って
東海自然歩道に合流。

そして、マイナー探検1号に到着。

クマをこわがったことさえ除けば、

度胸と勇気に満ち溢れた探検だった。

感想

・駐車場で、お声をかけてくださった探険家がいた。ドブ鼠さんという沢を中心に探検活動をされている方だ。

 その日も沢を極めるらしく、ザックにはカラビナ、ハンマーもあった。彼のホームページを見ると、

 単独で活動するその勇士に驚嘆する。まさに一流の探検家といえるだろう。

 これからも、彼の探検には目が離せない。

 ドブ鼠徘徊記:http://www.geocities.jp/tanzawadobunezumi/

 

・ドブ鼠さんの情報によると、本日の登りで探検した謎の道は、我々が道を失った付近から大きく左に進み、

 1079m付近に行くらしい。おそらく、権現山に向かっていたときに見かけた管理道だろう。

 いずれ再チャレンジしてみたい。

探検リストに戻る

このページのTOPへ