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屏風岩山を南稜ルートで極めよ(2)

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しばらく進むと、この道を下りに使ったときに

間違えやすいところがある。(振り返って撮影)

尾根が広い上に、踏み跡がはっきりしていない。

しかも周囲には「エセ尾根」もある。

 

付近にテーピングがある。

このテーピングを見落とさないようにすれば大丈夫だろう。

しかし、登山の指南書によるとテーピングに頼る登山は危険であり、

基本は地図とコンパスだという。テーピングはあくまで参考なのだろう。

 

広い稜線を歩いていく。

踏み跡がついているのが、わずかに見える。

落ち葉や雪が積もったら、道がわからないだろう。

コンパスを頼りに北方向に向かって進む。

 

右側には植林、左側に原生林。

その間を進む。

 

基準点がところどころにある。

むむ、間違いなく尾根を歩いている。

大丈夫だ。

 

ミツマタが咲くのは来月だろう。

つぼみだが、良い香りがする。

 

しばらくは、なだらかな稜線が続く。

とても気持ちのいいところだ。

このあたりが最初のピーク、951m地点と思われる。

 

そして、また急な坂を登り始める。

 

右側には中川温泉付近の山々が

ちらほら見えてくる。

 

細い稜線になったり、広くなったりを繰り返しながら進んでいく。

とにかく北を目指して登ればいいはずだ。

相変わらず、道は不明瞭だがところどころに測量点もある。

道迷いしていない。

 

これでキリヤマ隊長の信頼度と好感度が

アップしたことだろう。

さらに、男っぷりもアップしただろう。

 

道が大きく右にカーブするところだ。

「山と高原地図」に“迷”マークがある。

間違えやすいところなのだろう、道しるべとテーピング、

さらに木に赤ペンキで注意を促している。

 

こちらは、今まで来た道、二本杉峠方面を撮影。

(振り返って撮影)

確かに、一見すると登山道が見あたらない。

 

道しるべの後ろに尾根が続いているが、この尾根の先は

地図で見る限りでは、地蔵平に向かっている。

逆コースで来たときは、道しるべにしたがい、

こちらに迷いこまないようにしたい。

 

屏風岩山に向かってさらに進んでいくと、

こんもりと盛り上がったような稜線が続く。

 

先ほどから、アンヌ隊員はお昼ごはんをどこで食べるか

しきりに気にしている。

確かに、付近にはゆっくり食べられるところはなさそうだ。

まぁ、屏風岩山の山頂で食べられるだろう。

 

やがて、広い稜線になる。

踏み跡はあるのだが、落ち葉が積もってはっきりしない。

 

このあたりで食事にしたら、気持がよさそうだ。

しかし、あまりおなかが減っていない。

もう少し先まで進むことにする。

 

あれ? 道がないぞ。いかん、探すんだ。

道が見つからないとお昼ごはんが食べられないぞ。

 

あ!、あそこに見える、と

ルートファインディングするアンヌ隊員。

お昼がかかっていると真剣になるのか。

 

どうも、キリヤマはすぐに道を見失う。アテにならん。

しばらくは、アンヌ隊員に先行してもらう。

 

またしても、下ってきたときにわかりにくいところだ。

(振り返って撮影)

アンヌ隊員の左後方向が二本杉峠なのだが、

道は右方向に見えてしまう。

(正しい道にはテーピングがある)

 

やったぞ、屏風岩山の山頂が見えてきた。

 

屏風岩山の山頂に立つ。(11:14)

二本杉峠から1時間45分。

ついに南稜線ルートを攻略したぞ。

感動だ!

 

しかし、感動は大きいが、なんだかさみしい山頂だ。

木立の中の山頂は展望もなく、道しるべがぽつんと立っているだけ。

 
 

この道しるべは、T・NARU氏、1994年の作品だ。

10年以上を経て作品に風格が出てきている。

 

道しるべの上には、各方向の行き先が書かれている。

 

そして近くには、小さな道しるべが立っている。

 

昼食はどうしようかな。

狭い山頂なので、もし他の探検隊が来たら迷惑になる。

さらに木陰で寒い。先ほどの陽だまりで食べておくべきだった。

すっかりお昼モードになっているアンヌ隊員には申し訳ないが、

もう少し我慢してもらう。

 

がっくり肩を落とすアンヌ隊員。

陽だまりを求めて山頂を後にする。

そして、残雪のある尾根を

すべらないように下っていく。

 

目の前に畦ヶ丸が見えてくる。

 

屏風岩山の山頂をすぎると、

道がはっきりしてくる。

 

先に進むと、右方向に檜洞丸が見える。

 

良く見ると、あの山は何だろうか。

双眼鏡で見てみると、山頂に山小屋がある。なんと三ノ塔だ。

こんなに離れていても見えるのか。

すごい存在感だ。

 

やがて笹のヤブ地帯を通過する。

 

大きな倒木がある。

 

このあたりには管理道が数多くあり、

間違わないように注意看板がある。

 

よしここなら、

少し広いところがあるし暖かい。

ここで昼食をとろう。

 

さぁ、おなかがいっぱいになって

元気が出てきた。行くぞ!

次の補給は、一軒小屋避難小屋で大福をとることにする。

 

しばらく進むと、大滝峠に到着。

 

ここには、壊れたベンチがある。

 

もうひとつ壊れたベンチと看板の残骸がある。

看板には何が書いてあったのかわからないほど

朽ち果てている。

 

地蔵平への道が残っている。

しばらく下ってみたがヤブ道だった。

 

地蔵平と反対側にも踏み跡がある。

こちらは管理道らしい。

 

地蔵平へ多くの人が行き来していた頃、

ここは主要な峠だったのではないだろうか。

今では忘れられた峠のようにひっそりとしている。

 

大滝峠上に向かってしばらく行くと、鹿柵を越えるハシゴがある。

アルミの脚立ではなく、木でしっかり作られたタイプだ。

 

しばらく進むと、

おお、またしても立派な木のハシゴがある。

うーん、登ってみたい。

 

大滝峠上までもう少しのところで、旧東海自然道の分岐がある。

この旧東海自然道は廃道だ。かつてこの道は奥野歩道と呼ばれていたらしい。

 

道しるべには左方向が、信玄平、右方向が畦ヶ丸と書かれているのが読める。

松田警察署のホームページにある

「ニシタンだより(山岳パトロール2月12日号)」によると、この近辺で

単独登山者(当時73歳)が2001年4月から、行方不明になっているそうだ。

丹沢にはこうした知られざるあまたの行方不明者がいるのだろうか。

 

注意看板がある。

「これより先、大滝峠上より信玄平間は、

沢多く登山経験者向きのルートです。

通行には、十分注意してください」

 

さらにそばには、「これより先沢多し 足元注意」

と読める看板がある。

こんなに注意看板だらけだと、興味がわいてくる。

いずれは踏破してみたいルートだ。

 

さぁ、先に進もう。

少しきつい坂を登っていくと、

 

大滝峠上が見えてくる。

 

ここで少し休憩をとる。(12:39)

 

ここからは、東海自然歩道なので、

しっかりした道が続く。

 

右手には先ほど通過した尾根と屏風岩山が見える。

 

峠から沢に降りてくると、

残雪が目立つようになる。

 
 

沢沿いに道が進んでいる。

川の流れが絵を広げたように美しい。

 

この道はところどころで、切り立った崖の上を通過するので

注意が必要だ。

 

だいぶ下ってきた。

そういえばこの先の一軒小屋避難小屋で

何かすることになっていたはずだが、

はて、なんだったろうか?。

 

「ここで何かするんじゃなかった?」

とアンヌ隊員に聞くと、間髪をいれずに

大福!」と答えた。

 

ああそうだった。大福だった。

それでは、ここで大福タイムとする。

(13:17)

 

小屋の周りを調査すると、

 

おお、またしても教訓だ。今度はクマバージョンだ。

クマったとは・・・苦しい中にも自然愛を感じさせる一句だ。

(ざぶとん1枚)。

↑風巻ノ頭、休憩所

 

↑加入道山、避難小屋

 

そして避難小屋のなかは

いつものとおり、きれいだ。

 

小屋の裏手には、石の階段があり

階段を登ると、

 

石碑と祠がある。

石碑は磨耗しており、判読ができない。

一軒小屋避難小屋の名前のとおり、ここには一軒の家があったそうだ。

(参考:「丹沢今昔―山と沢に魅せられて」奥野 幸道(有隣堂) )

戦前には集落があったらしいので、その頃の名残かもしれない。

 

 

さて、一軒小屋避難小屋を出発して、

大滝橋まで下っていく。

このあたりは、大きく道が崩れているところが3箇所ある。

まず、最初の崩壊個所だ。

ここは丸太橋を鉄パイプで補強してある。

 

次は、もっとしかっりした橋だ。

この渡橋はすごい急斜面に設置されている。

はるか下まで谷間が続いているこの場所に

いったいどうやって設置したのか、わからない。

クレーン、足場、ヘリコプター、そして人力。

不思議だ。

 

 

3つ目の橋だ。

これも設置が難しそうだ。

「背の高い人でも届かないね」

とアンヌ隊員。

そりゃ無理だ。

 

切り立った崖、深い谷間を通過するこの道は、

整備されていなければ、丹沢屈指の困難なルートになっているはずだ。

さすがは東海自然歩道。自然のダイナミックさを感じさせつつ、

安心して歩くことができる。

 

ベンチのある峠を左折して下っていくと、

 

マスキ沢沿いに進んでいく。

 

ここから先は、丸太橋で沢を何度も越えて進んでいく。

 

大滝だ。

いつもは木の陰に隠れて見えない。

落葉の時期にだけ、ここから見える。

今日のルートでは、大滝峠、大滝峠上、大滝橋、と

地名に何度も登場する、まさにその大滝だ。

 

やがて登山道は、林道になる。

 

大滝橋まで林道を歩く。

 

そして大滝橋に到着。(14:30)

止めておいた自転車で中川橋までサイクリングだ。

 

大滝橋から中川橋まではずっと下りなので、

ラクチンラクチン。

 

ビュンビュン飛ばして下っていく。

 

15分間のサイクリングで、中川橋まで来た。

 

そして、マイナー探検1号に到着。(14:47)

 

感想:

・西丹沢の奥深くにひっそりとたたずむ山、屏風岩山。その登山道は歩く人が少ないためか、踏み跡も乏しい。

 しかし、人が歩かない静かな山道こそ、心にしみ入る山歩きになる。この道は、まさに極上のマイナールートだ。

 今後も我々探検家を魅了してやまないだろう。

・このたびの探検でもルートを誤ることがあったが、結果オーライで楽しい探検だった。

 隊長への信頼度もさらにアップされたと信じたい。

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