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初めての雪山ラッセルだ。犬越路に向かえ

西丹沢自然教室 〜 用木沢出合い 〜 犬越路 〜(往復)

2012年 1月 25日(水)、天気:晴れ

行動時間 8:50〜12:40( 3 h 50 min )

探検メンバー : キリヤマ隊長(単独)

 

西丹沢自然教室のホームページにある最新登山情報に、

犬越路の直下の登山道は、腰の深さの積雪、とあった。

腰の深さの積雪かぁ。ラッセル登山だ。これは体験してみたい。

 

こうしてわたしは、1/25(水)用木沢出合から犬越路に一人で向かった。

犬越路直下、急斜面の積雪に立ち向かうキリヤマ。なんとか犬越路に

到着したい。

 

行くぞ、キリヤマ!


西丹沢自然教室の駐車場に、マイナー探検1号を駐車する。(8:50)

ここまで、道路はドライで、チェーンの必要はなかった。

西丹沢自然教室に立ち寄り、Kさんにご挨拶がてら登山届を提出する。

Kさんから、サングラスの携帯を聞かれる。

お気遣い、とてもありがたい。

用木沢出合まで、県道を歩いて行く。

目の前には大室山がよく見える。

いつもはテントがいっぱいのキャンプ場が

今日は、静かな雪景色になっている。

ツツジ新道入口には、トレースがない。

毎年、雪が多い時期には、檜洞丸まで

登れなくなることが多い。

青い空と、白い雪のコントラスト。

これは、世界共通の美しさだろう。

こうして、用木沢出合に到着。

この日は、作業者の方と思われる車が

停まっているだけで、一般の車両は

停まっていない。

 

(以下、右欄は2008年6月の同じ場所→)

大きな鉄橋を越える。

少し上流にある堰堤から聞こえてくる

沢の音が、寒々しい。

高いところから見る雪景色に、

しばし立ち止まって感動する。

 

このルートは丸太橋をいくつも越える。

丸太橋の作業をしている方にお会いする。

感謝しながら挨拶を交わす。

さらに橋をいくつか越える。

沢沿いにある歩道は、雪の重みで

垂れ下がる枝を避けながら進んで行く。

谷間の先に大笄が見える。

ここは広い河原だが、雪の積もった今日は

靴の下に、ゴーロの石をまったく

感じさせない。

日の当たらない谷間は、雪が少し青く見える、

うすぼんやりとした、淡い色だ。

この色はパソコンの液晶画面では、表示できない。

画像処理ソフトをつかって少し青くしても、同じ青色にならない。

世の中には、写真や映像では表現できない色がある。

それは、質感を伴った色だ。たとえば、金はその質感がないと、

金色に見えない。たとえ、金塊を撮影しても金色には写らない。

 

雪の淡い青色も、質感を伝えられない液晶画面では、

その本当の色を見ることができない。

だんだん雪が深くなってきた。

前の人の踏み跡に足を入れて歩く。

雪は凍っておらず、アイゼンは着けなくても大丈夫だ。

靴の上まで雪が届くほどの深さだが、

スパッツをつけているので、安心だ。

暑くなって来たので、

ベンチで衣服を整える。

 

ベンチをすぎると、道は沢を離れて、

斜面を登り始める。

植林地帯の坂道になる。

雪は、ヒザの下くらいまでの深さになってくる。

ちょっとしたピークに到着。

足取りは、いわゆるタコツボ状態で、

雪の中から足を引っこ抜くため、

何のことはない斜面でも、ひーこらする。

ピークをすぎると少し下る。

いつもなら、このあたりは緑がとても

きれいな所だ。

さらに進んで行くと、雪はどんどん深くなってくる。

撮影のため何度も足を止めるので、

そのたびにちょっと休憩になる。

周囲の風景はすべて雪に埋まっているので、

トレースと道しるべがなければ、

ここが登山道だということがわからないだろう。

雪の中の森は、静かできれいだ。

新雪なので、さらさらしている。

斜面を横切る。

雪の中に足をふかぶかと入れて歩いているので、

斜面を滑って落ちる心配はない。

おお、トレースがなくなった。

なんだ、ここで断念したのか。だらしない奴だ。

まだまだ、いけるじゃないか。

よし、オレは犬越路まで行くぞ。

ところが、トレースがなくなると、

とたんに足が疲れてくる。

雪をかき分けて進むのがとても大変だ。

 

犬越路まで0.5 km の道しるべがある。

あと500 m なら、頑張れば犬越路にいけそうだ。

さらに進むと、どんどん深くなってくる。

一歩踏み込むたびに、膝の上まで入り込む。

後ろの足を引っこ抜いて、また踏み込む。

この繰り返しが、すごく大変だ。

何度もスッ転んでしまう。

 

さらに、雪は腰のあたりまで深くなり、

いよいよ本格的なラッセルになる。

というか、ぜんぜん進めない。

ただもがいているだけだ。

 

こんなに深い雪の中を歩いた経験がなく、

そもそもラッセルってどうやるのかよく

分からない。

 

そういえば、新田次郎の小説「八甲田山、死の彷徨」では

軍隊の最前列の数人が横一列になって、雪を踏み固めながら

進んで行くシーンがあった。

 

よし、これだ。

こうして、その場で足踏みを繰り返して雪を踏み固める。

しかし、すぐに疲れて断念。やっぱり無理か。

 

次に、無理やりつま先を蹴りこんで、

前の雪を崩しながら進もうと試みるが

これもすぐに息が上がって断念。

 

次に、少しでも雪が深くないところを探ってみる。

岩が露出している付近はどうかな? ダメだ。

木の根元はどうかな? これもダメだ。

 

立っているところは、谷間の一番底のところだろう。

左右の斜面に進めばどうかな。うーん、もう疲れた。

 

まぁ、今日はラッセルを経験する事、写真を撮ることが

目的だったので、無理に犬越路に向かうこともないだろう。

後ろを振り返ると、もう帰りなさいという、優しい声が

聞こえるような気がする。ここで、転進を決める。

下りも雪景色を楽しみながら、

ノンビリ下ってくる。

 

急斜面で、お尻で滑ってみると、

雪がやわらかく、お尻が雪に埋まった

だけだった。

こうして、用木沢出合いに到着。

あとは県道を歩いてくる。

ノンビリ歩いていたら、寒くなってきた。

そういえば、今日は自分の 写真を撮っていなかった。

キリヤマ隊長、ここにあり!

西丹沢自然教室に到着。(12:40)

今日の探検は、これにて成功とする!

 

あとがき

雪山でのラッセルは、2人以上でないと、体力が持たない。

スノーシューがあればラッセルをしないで済んだかもしれないが、

自然教室のKさんの話では、この時期の新雪にはあまり効果がないという。

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