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ビレイ訓練だ、確保せよ Part3。モミソ沢

モミソ岩 〜 モミソ沢

2011年 12月 4日(日)、天気:晴れ

行動時間 8:30〜13:00( 4 h 30 min )

探検メンバー : キリヤマ隊長、アンヌ隊員


 

 

マイナー探検1号を、烏尾山登山道の駐車スペースに止める。

 

今日のターゲット、モミソ沢は本谷沢を挟んで、

新茅ノ木沢とまさに十字路になっている。

新茅ノ木沢を下流に下って行くとすぐに、本谷沢に出合う。

モミソ沢出合には、モミソ岩があり、

ロッククライミングの名所だ。

今日も数多くのクライマーが挑んでいた。

我が隊も、モミソ岩の登攀を予定していたが、

大勢のパーティが登っていたので、

そのままモミソ沢を進むことにする。

モミソ沢は、モミソ岩の左側に流れている沢だ。

 

モミソ沢は、水量がとても少なく、

ガイド本によっては、沢シューズでなくても

大丈夫と書いてあるほどだ。

 

また、モミソ沢は、アイゼンをつけて登攀する人が多い。

アルパンクライミングの練習になるらしい。

前日に雨が降っていたはずだが、

すぐに沢は涸れてしまい、

いくつかの滝を越えて行く。

どれも簡単に越えられる滝だ。

モミソ沢は登攀するような、滝があまりない。

今日のターゲットは、最後の大棚だ。

その前に、モミソ沢の核心部、ゴルジュ帯を進む。

多少の流れはあるが、ほとんど濡れずに登れる。

流れがないので、本流を見落とさないようにする。

最初は、簡単だったゴルジュ帯も、

最後の方になると、難易度が高くなってくる。

このあたりは、沢登りでなく、ロッククライミングだ。

そして、ゴルジュ帯の最後に滝がある。

わたしが先に登攀する。ところが、

下から見ているより、はるかに難しかった。

アンヌ隊員には、お助けロープを出して、

わたしが確保した。

ガイド本には、大きな岩が挟まる

チョックストーンがあると書いてある。

思ったより小さい。

わずかに残る紅葉を楽しみながら

登って行くと、

今日のターゲット、大滝に到着。ここは、コンサートホールの

ステージのようなところだ。

いつものように、まずは巻き道から落ち口に向かう。

巻き道は左側(右岸)にある。

落ち口付近に、ハーケンを2つ打つ。

この間に、後続5,6人のパーティが我が隊に追いつき、

滝の下で休んでいる。彼らもこの滝を登るのだろう。

我が隊の活躍を見ている。

むむ、ここはかっこよく登りたいところだ。

こうして、懸垂下降を開始する。

アンヌ隊員に確保をしてもらって、

わたしの登攀が始まる。レストポイントにて、撮影。

この後、落ち口まであとわずかのところ、

右(左岸)にヘツるところが、少し苦労するが、

無事に登攀。

次は、アンヌ隊員。

まずは、懸垂下降。かなり高度感があり、

はじめは怖がって、なかなか降りられなかった。

登り始めはホールドがあり、レストポイントまで

余裕の笑顔。しかし、レストポイント以降は、

ホールドが少ない。ここで、アンヌ隊員が固まる。

「怖い!、落ちる!」

「大丈夫、落ちないよ、確保しているから」

ところが、落ち口の直下で右にヘツるところで、ムービングが

上手くいかない。下で見ているパーティは、こっちに注目している。

「怖い!怖い!」

「無理なら、ロープにつかまって登ってきていいよ!」

恥ずかしいでしょ! 大声で言わないで!

 

どうやらアンヌ隊員の感覚では、怖いより、恥ずかしいほうが

勝っているらしい。

 

こうして無事に登攀を終える。この先はゴーロが続く。

このまま沢をつめれば、堀山の家あたりに出るはずだが、

あまりに大回りなので、右側(左岸)の尾根で

戸沢に向かうことにする。

できれば、モミソ沢の出合いよりすこし上流を

狙って下りたい。

地図で地形を判断しながら、尾根を下って行く。

ここは読図力の試されるところだ。

 

尾根はやがて急な坂になる。

急な坂を下るときは、スリングを木に巻きつけて

それを補助にして下ると、安全だ。

左方向には戸沢の駐車場が見えている。

このまま下るとどこに出るのだろうか。

読図通りに行くといいのだが。

そして、突然視界が開けると、

そこはモミソ岩の真上。ドンピシャ、狙い通りだ。

 

モミソ岩の周辺は、クライマーでにぎわっている。

モミソ岩の下降は、皆が登っている右側のルートを避けて、

写真の左側から降りることにする。

 

下のテラスまで、10 m のロープで充分だろう。テラスから下は降りる道がある。

ところが、用意している最中に、なんと8環を落としてしまう。

”カーン、カーン、カーン” 沢に響き渡る金属音。

うわー、みっともねぇ。初級者はよく8環を落とすらしい。

これでわたしは典型的な初級者だ。こうして8環は、テラスより

もっと下の沢のほうに消えていった。人がいないところに落ちたのが幸いだが、

皆の注目を浴びてしまった。

 

まぁ、仕方がない。ロープにつかまって下ればいいか。

こうして、木の根に支点を取り、ロープ10mを輪にして、

ロープにつかまって下降する。残り2mほどロープは届いていないが、

この程度なら何のことはない。こうして、テラスに着地。

 

ところが、アンヌ隊員は、下まで届いていないと怖いという。

 

そこで、わたしは大声で叫んだ。

「最後のところは、クライムダウンすればいいよ〜!」

「え〜?クライムダウンってなに〜?」

「ええ?知らないのか??岩につかまって降りてくることだよ」

また! 恥ずかしいでしょ!大声でそんなこと言わないでよ!!

 

ここでも、アンヌ隊員の感覚は、怖いより、恥ずかしいほうが

勝っているらしい。

 

ようやく、アンヌ隊員もテラスに下りてきた。

テラスから下の沢までは道がついているので、難なく下れる。

クライマーの皆さんに、お騒がせしたことを詫び、林道に向かう。

 

こうしてマイナー探検1号に到着。

楽しい探検だった。

あとがき

本日、モミソ岩の下降で、8環を落としたときのことだ。

わたしとアンヌ隊員が下のテラスに着くと、

そこにいた男性が話しかけてきた。

「落としたのは、8環ですよね」

「ええ、すいません、ご迷惑をおかけしました」

「下の者にとってもらいますよ」

 

そういうと、テラスの下、沢沿いにいる仲間にロープを下ろして、

「8環をつけて!」といって、ロープで引き上げてくれた。

「ありがとうございます」と丁重にお礼を述べる。

 

こういったところで、お会いする方々は、優しい人が多い。

8環を落とすことは、下にいる人にとても危険なことだ。

本来なら、苦言を受けて当然なのに、そんなことは一言もいわずに

拾ってくださった。まるで、そうするのが当然といった感じで。

まったく頭が下がる思いだ。

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