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ビレイ訓練だ、確保せよ、Part2。堪七ノ沢

二俣 〜 堪七ノ沢 〜 大倉尾根 〜 二俣

2011年 11月5日(日)、天気:晴れ

行動時間 9:00〜17:20( 8 h 20 min )

探検メンバー : キリヤマ隊長、アンヌ隊員

 

今回は、ついに中級の沢、堪七ノ沢に挑戦だ。今年は、多くの

チャレンジがあった。立派な冒険家に与えられる「植村直己冒険賞」

にノミネートされるのも、そう遠くはないだろう。もしかしたら、

間違って直木賞を受賞するかもしれないが、それでもいいと思う。

 

堪七ノ沢、F5 12m は、わたしの憧れの滝だ。

ついにチャレンジする機会が来た。

行くぞ、マイナールート探検隊。

 

この日、二俣の駐車場は一台も止められないほどの満車っぷり。

マイナー探検一号も、遠く離れた場所に駐車して、

林道を歩いてきた。(9:00)

林道を進むと、登山道入口にある登山届けボックスに

登山届けを出し、まずは堪七ノ沢を越える。

登山者は皆、鍋割山に向かう。

やっぱり、鍋割うどんがお目当てかな?

そんな登山者を尻目に、我が隊は、

東丹沢で本谷沢についで人気のある、

堪七ノ沢を進む。

 

行くぞマイナールート探検隊!(9:40)

まずは堰堤をいくつか越える。

さすがは、人気のある沢だ。

ロープが設置されている堰堤もある。

こうして、F1に到着。

ここはまず、わたしがフリーで登攀して、

アンヌ隊員を滝の上からビレイ(確保)する。

あれ?、思ったより難しいぞ。

上り始めの部分は、ほぼ垂直だ。

慎重にホールドを探す。

 

途中に、残置スリングがある。

これを使って難しいところはクリアーだ。

本当は使わないで登りたかったのだが、

わたしの登攀技術では、使わずして登れない。

中間部の上は、ホールドがあるので、高度感さえ気にしなければ

問題ない。こうして無事登攀成功。

ついで、アンヌ隊員のビレイ準備だ。

落ち口付近には、残留ハーケン、スリングがある。

おそらく、下降用に設置したものだろう。

 

この後、アンヌ隊員も無事に登攀。

次に、F2 に到着。

ここは、流れの右側を登れる。

アンヌ隊員も、この程度の高さであれば

確保せずに登れる。中間のテラス以降が

ちょっと難しかったので、アンヌ隊員は

わたしがロープを出して確保して登った。

またしても残置だ。これも下降用だろう。

そして、立派な堰堤に出合う。

ここは右側(左岸)を登る。

F3 は、流れが直角に曲がっている。

釜が腰よりも深く、ザックが濡れてしまう。

夏なら濡れてもいいかもしれないが、

この時期に下着まで濡れてしまうと、

凍えてしまうので、壁をヘツる。

途中にある残置スリングで、どうにか通過できる。

滝の登攀は簡単だ。こうして、滝の落ち口に立つ。

するとアンヌ隊員が、少しあせった顔で

「大変!、今何時?!」

「ええ?? そろそろ11時だけど、なにかあったの?」

「いけない!、忘れているわ」

「何を?」

アンヌ隊員のおにぎりタイム。

出発から1時間20分。アンヌ隊員にとっては

20分のオーバータイムだ

続いて、F4 2段。

1段目は右側を簡単に登れる。

問題は2段目だ。 これは難しい。

途中まではホールドがあるのだが、

上部は、平坦なところをヘツらなければならず、

ここで少し苦労する。

残置スリングが2つある。

残念だが、アレを使わなければ、ヘツれない。

いつ設置されたものなのか、わからない。

こんなものに命を託すことになるのは、ちょっと怖い。

思いっきり引っ張って、強度を確認する。

さらに落ち口付近には、トラロープ。

これは使わなくても登れる。

この後は、堰堤をいくつも越える。

最後の堰堤は、ちょっと難しいので、

念のためお助けロープで、アンヌ隊員を確保する。

 

こうして、本日のメイン、F5 に到着。(12:20)

ほぼ直爆、12メートルの大滝。この滝を登るために

ここ堪七ノ沢を遡行する人も少なくないという。

 

わたしの憧れの滝。ついに登るときが来た。

アンヌ隊員のビレイ(確保)なら安心だ。

まずは、左側(右岸)にある谷間を登って

この滝の落ち口に向かう。

 

谷間からヘツって進む。

ここは、慎重にヘツる。

落ち口に行くと、残置ボルトがある。

これはこのまま使えそうだ。

もう一本、支点としてハーケンを打ち込む。

アンヌ隊員にもハーケンの練習をしてもらう。

さぁ、まずは懸垂下降だ。

高度感あり、角度はほぼ垂直の壁。

 

懸垂中にビクビクしていたら

ヒザを壁に打ちつけた。痛い!

 

レスキュー隊員よろしく、足で壁を蹴るように、

一気に下降(したつもり)。こうして、滝の下に到着。

あらためて見上げると、12メートルの大滝に圧倒される。

 

アンヌ隊員の準備ができ、ホイッスルが鳴る。

いよいよ登攀だ。

下部は、左側に溝があり、それを利用すれば

簡単なのだが、そんなものは利用せずに、まっすぐ登りたい。

そう思って何度かまっすぐルートにチャレンジするが、どうしても

落ちてしまう。そのたびにアンヌ隊員のビレイに助けられる。

 

あきらめて、左側の溝を使って中間部まで登る。

下から見ると分からないのだが、上部は、意外にもホールドが少なく、

ビレイなしではとても危険だ。実際、わたしは上部で二度ほど

ビレイに助けられた。もし、ビレイがなかったら

二度滑落し、二度死亡していた

 

こうして、F5 を攻略。

緊張感がとけ、座り込むキリヤマ。

この後、もう一度登攀をした。

名ビレイヤー、アンヌ隊員に感謝したい。

そして、ハーケンやカラビナの撤収を開始。

今日はたくさんの道具を使ったので、撤収も大変だ。

しかし、アンヌ隊員は、わたしの撤収を見ているだけで、

おにぎりタイムに突入。

仕方ないので、一緒におにぎりタイムにする。

次は、ゴルジュ帯だ。

ここは、シャワークライミングしたいところ。

堪七ノ沢は、夏にオススメの沢だ。

 

11月初冬、さすがに水を浴びるのが嫌で、

水流を避けて登って行く。

上部では、わたしは水流沿いを登ったが、

アンヌ隊員は、階段状の右岸を登って行く。

 

しかし、階段は途中までしかなく、

しかも、そのあとヘツることができなくなってしまう。

これはまずいな。この状況では、お助けロープが出せない。

ここは自力で何とかしてもらうしかない。

しかし、ちょうどいいところに、残置ハーケンを見つける。

それを使って、懸垂下降。無事に着地。

 

夏と比べると、冬のほうがルートの選択が少なくなり、

レベルがアップしてしまう。

ガイド本によれば、ゴルジュ帯を通過した後は、

ゴーロが続き、大きな滝もないらしい。

そこで、沢から離れ大倉尾根を目指す。

およそ30分で、大倉尾根に到着。

堀山の家の少し上くらいのところだ。

(15:50)

ノンビリ下山をしてきたので、

すっかり暗くなってしまった。

楽しい探検に感謝だ。

(17:20)

 

あとがき

今回のことで学んだことは、

・登攀の方法は三つある。 正しい方法。 間違った方法。 わたしの方法だ。

・シュートを狙えるのは、シュートをする勇気をもつ者だけだ。

 大滝で滑落できるのは、確保されている者だけだ。

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