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奇跡のムーブで登れ。雷木沢だ

用木沢出合 〜 雷木沢 〜 水晶沢ノ頭 〜 白石峠 〜 用木沢出合

2011年 9月25日(日)、天気:晴れ、曇り

行動時間 8:50〜15:30( 6 h 40 min )

探検メンバー : キリヤマ隊長、アンヌ隊員

 

雷木沢には今年の8月にも登ったので、今回は2度目だ。

実は前回、雷木沢に登ったときは、探検記が書けなかった。自宅に戻ると、

どんな沢だったか印象がほとんどなく、ところどころ記憶も曖昧だ。

写真を見ても、ほとんど思い出せない。これは、おかしい。

誰かが、わたしの脳内メモリーを誤って(意図的に)削除したのか。

 

 これはどうやら、医者から処方されていた薬の副作用と思われ

(その薬は、後に別なものに変えてもらった)、誰かがわたしの命を狙って

いないことが明白になった。したがって、わたしにとっては初めての沢だ。

 

台風後の雷木沢を進め

用木沢出合にマイナー探検1号を駐車する。

(08:50)

白石沢沿いに林道を登って、

白石キャンプ場跡地に到着。

キャンプ場内にある赤い橋。

ここから沢に入る。

さぁ、行くぞ、マイナールート探検隊。

(09:00)

赤い橋の下は、沢が二俣になっている。

(もう一方は、モロクボ沢)

まずは、最初の堰堤を越える。

(この堰堤に、雷木沢と書かれている→)

もうひとつ堰堤を越える。

今度は左(右岸)から。

その先から沢に入る。

台風の通過に伴い、この日は、水量が多い。

すぐに、F1 に到着。(09:10)

直爆ではないが、なかなか見ごたえアリ。

いつもの修行をするキリヤマ。

人はよくこういう。

何のために修行をするのか、修行で精神は鍛えられるのか。

その答えは、わたしを見れば一目瞭然だ(寒がっている)

左岸(右側)から越えようと、途中まで登ったが、

途中のバンドを越えられずに断念。

そういえば、前回も同じことをした。

同じ過ちを二度以上することを、学べないヤツと

言われることがあるが、二度も学んだ、ともいえる。

 

 

こうして、右岸(左側)から巻く。

急斜面を登って、トラバースする。

 

その先、F1 と F2 の間にある壁を下る。

ちょうどいいので、懸垂下降の練習をする。

8環は、何度も使わないと、モノにできない。

とくに、中高年になってから8環を知った場合、

来シーズンまで使い方を記憶できないことがある。

(わたしがいい例だ)

 

2回に分けて懸垂下降

こうして F2 に到着。(09:50)

この滝は、水流沿いに登れるらしいのだが、

この日は、増水のため水流沿いは無理だ。

赤線が今回の登攀ライン。

前回はもっと右から青丸の所へ向かう

コースで登った。

(前回の登攀で撮影した、青丸部分)

 

キリヤマがフリーで先行する。

倒木の上まで到達。危険をかえりみず、果敢に挑む。

レストポイントにて下を撮影。すでにフリーで登れる高さではない。

 

これは初級者にありがちな、無謀な登攀だ。

ベテランクライマーから、お叱りを受けることは間違いなく、

今こうして無事でいられるのは、ラッキーといえる。

こうして、ラッキーキリヤマは、滝の上部に到達。

この後、自己確保の準備に手間取り、20分たってようやくロープダウン。

アンヌ隊員の確保のため、登攀中は撮影ができなかったが、

アンヌ隊員は、倒木を越えてから前回のコースを登ってきた。

F2 の上は、小滝をいくつか越えていく。

F3 に到着。(10:40)

ここは、左側(右岸)から巻く。

 

この滝は、とても、登攀意欲にかられる。

アンヌ隊員のビレイでぜひチャレンジしたいが、

彼女のビレイは、来シーズンに期待する。

この巻き道には大岩があり、バンドに沿って

巻くこともできる。しかし、前回ここを

進んだら、落ち口の真上に出てしまい、

懸垂下降で降りることになった。

(大岩のバンド→)

そこで、今日はうーんと大きく巻いて、

F3 の少し上流に向かって降りた。(11:00)

振り返って F3 の落ち口を撮影。

ここから先は、小さな滝が連続する。

水量が多いこの日は、とても気持ちがいい。

 

分岐を右に進む(写真左)。

左の支流もなかなか、きれいだ(写真右)。

大きな岩の横を登る。

前回なかった倒木のおかげで、登りやすくなっている。

 

また、分岐がある(写真左)。ここも、右に進む。

左の支流もグッド(写真右)。

水流をばしゃばしゃ豪快に進む。

これぞ、沢屋だけが味わえる喜びだ。

F4 は右から越える。

F5 に到着(11:20)。

ここは直登できないかと、ホールドを探したが

ちょっと難しい。腕を磨いて、来年になったらチャレンジしたい。

 

アンヌ隊員は、右側から。わたしは左側から登る。

その先は、小さな滝をいくつか越える。

最後の滝、F6を越える。

ここは、ホールドがしっかりしているので、

直登する。前回ここは、水が流れていなかった。

アンヌ隊員が軽く手をかけた大きな岩がごろっ

うぁ、あぶねぇ。

こんなに大きな岩が簡単に動くなんて。

もしもアンヌ隊員の足を直撃していたら、

岩に足をつぶされ、さらにその岩をどけることもできないかもしれない。

 

なんと恐ろしいことだ。ところがアンヌ隊員は、

「あら、あぶないわねぇ」と、おばさんモード。

おいおい、もうちょっとびっくりしてくれよ。

水が涸れてくる(12:00)。

分岐があり、ここから支尾根に進むと

水晶沢ノ頭に出る。前回はここから登った。

今回は、さらに沢をツメて行く。

涸滝を越える。ホールドはあるのだが、

岩がもろく、慎重に登る。

ガレ場がすぎると、やわらかい土の斜面になる。

水の流れた跡にそって、登って行く。

土がやわらかく、登りにくい。

ここでは、ドライバーを使って登って行く。

やがてシカ柵が見えてくる。

シカ柵の間から、稜線に向かう。

水晶沢ノ頭から少し離れたところへ出る。

よし、探検成功だ。

すごいぞマイナールート探検隊。

(13:00)

 

下山は、登山道で。

台風通過のため、倒木が多い。

白石峠に到着。(13:30)

 

白石沢沿いの登山道を下って行く。

最初の丸太橋は、問題なし。

Speak English !!

 

ベンチのところで、休憩をしている3人がいる。

おゃ、外人だ。

「こんにちは」

「カニチハ、加入道山へは、どうやて、いくのですか?」

おお、質問された。

そこで、わたしはイギリス仕込みの英語で尋ねた。

“マップは?”

“NO ありません”

よし、通じるぞ。

 

わたしは地図を取り出し、

“なう・ここ・ あんど・ここ白石峠・ここ加入道山”

“Oh 遠いですね”

 

わたしの流暢な英語のおかげで、スムーズな会話が進む。

“加入道山のあとは・どこにいくーの?”

“オムロ山”

ええ?いまからじゃ大室山は無理だぞ。

“帰りは、バス? オア・カー?”

“バス、19:00のバスに乗ります”

無理。絶対に間に合わない。

 

“ユー・ヘッドライト?”(あなたはヘッドライト?)

“NO、もてません”

おいおい、真っ暗な山道は歩けないよ。

“ライト・ノー・ダメ・5時・イン・ザ・ダーク・加入道山リターン・グッド”

3人は、わたしの英語にすっかり感心しているようだ。

すっかり調子付いたわたしは、いくつかのクエスチョンをする。

“アー・ユー・アメリカン?”

“アメリカ人、イギリス人、ドイツ人、です”

“ワーク?、トラベル?”

“高校の英語の教師をやっています”

なんだ、どおりでわたしの英語が通じるわけだ。

 

それにしても、地図もなしに、どうやってここまで来たのかな?

それを尋ねると、彼が見せてくれたのは、A4サイズの用紙に印刷された

テキストだけの解説。どうやら、行き方が書いてあるようだが、台風の後、

登山道はズタズタのはずで、よくここまで来られたものだ。

 

結局、彼らは加入道山まで行って、戻ってくることに計画を変更した。

わたしの英語のおかげといえよう。こうして、記念撮影。

「Say イエーイ!」というと、全員キメポーズ。

さすがは欧米人。ノリがいい。

(欧米人はどうして、こんなに明るいのだろうか。いつも不思議だ)

さらに下って行くと、橋が水没している。

ここは飛び石で渡る。

次の渡河は、沢の幅が広く、流れも速い。

よし、流木を使って橋の代わりにするぞ。

 

これも、いけるかも。

もう一本!うう、重い。

ふいー疲れた。

腰が痛い。

しかし、頑張った割には、まったく役に立たず。

 

しかたがないので、わたしは、裸足で、

アンヌ隊員は、沢靴に履き替えて渡河する。

 

この先の渡河ポイントは、

すべて橋が流されていた。

 

沢靴がなかったら、渡れなかっただろう。

先ほどの外人は、裸足にスニーカーだった。

白石峠からの登山道、名物丸太橋も

このとおり、流されている。再生を願う。

こうして、マイナー探検1号に到着。(15:30)

すばらしい探検に、祝福を。

 

あとがき

今日の渡河で、わたしは、裸足で靴を手に持ってわたるとき、バランスを崩した。

そのとき、靴をうっかり落としてしまった。

すぐに追いかけたいのだが、なんせ裸足だ。追いつけるわけがない。

 

これはまずい。

アンヌ隊員は、先に沢を渡っており、対岸で登山靴に履き替えている。

わたしが靴を流してしまったことに気がつかない。靴は虚しく、流れて行く。

 

わたしは、ただ、叫ぶだけ。「あああああああ!!!」。

わたしのテノールに気がついたアンヌ隊員が見たものは、

片足の靴しか持っていない、わたしのマヌケな姿。そして、下流に流されて行く靴。

すぐに追跡するが、靴は堰堤に飲み込まれて行く。ああ、もうダメか。

まだ買ったばかりのトレイルランニングの靴だったのに…。

 

しかし、アンヌ隊員はそれでも、堰堤の先に下りて、さらに追跡。そしてゲット!!

でかしたぞ!アンヌ隊員。

そこで、今日の教訓。

・脱ぐなら持つな。登山靴(登山靴はザックの中にいれよう)

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