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ロープワークをマスターして、滑落を防げ。マスキ嵐沢だ。

西丹沢自然教室 〜 大滝橋 〜 マスキ嵐沢

2011年 7月17日(日)、天気:曇り

行動時間 8:50〜14:00( 5 h 10 min )

探検メンバー : キリヤマ隊長、アンヌ隊員

(どうして1分でマスターできるんだ?)

「去年行ったマスキ嵐沢に、また連れて行って欲しいわ」

「アンヌ隊員は、高い滝を怖がるからダメ。危ないよ」

「でも、ナメ滝が気持ちいいから、もう一度行きたいわ」

 

我が隊の登攀用品は貧弱だ。

カラビナ2つ。10メートルのロープ(6mm)、スリング2本。

これだけで、アンヌ隊員を確保して安全に登れるだろうか。

インナークライミングでの経験、山の本やweb情報。

これらを調べ、わたしは決心した。

 

「よし、マスキ嵐沢に行こう。」

「わーい!」

「ただし、ちゃんとオレの言うことを聞くこと」

まずは、スリングで簡易ハーネスを作り、

次に、ロープワークの基本「ボーラインノット」をマスターだ。

 

お手本を見ながら結んでみるが、これがなかなか難しい。

むむ、なんとかマスターせねば。

練習すること約30分。なんとか、結べるようになった(3回に一回ぐらい)。

次に、アンヌ隊員に伝授する。

「これがマスターできなかったら、連れて行けないからね」

「わかったわ」

ところがアンヌ隊員は、なんと1分でマスターする。

 

「簡単ね。これなら明日大丈夫だわ」

「ま…まぁ、そうだね…」

こうして向かったマスキ嵐沢。しかし、当たり前の話だが、

現場では困ったことが連発。はたして無事にアンヌ隊員を確保できるのか。

 

西丹沢自然教室に、マイナー探検1号を駐車する。(08:50)

自然教室の職員、Kさんにご挨拶。登山届を出すと、

「マスキ嵐沢、わたしも行きたいです〜」とKさん。(お勤め、おつかれさまです)

自然教室から大滝橋まで、バスで移動する。(1人280円)

(09:10)

マスキ嵐沢まで、登山道を登っていく。

今日の森は、蒸し暑く、セミがたくさん鳴いている。

大滝橋から30分で、マスキ嵐沢の出合いに到着。

沢シューズに履き替える。

 

さぁ、行くぞマイナールート探検隊。(09:50)

マスキ嵐沢は、明るい沢だ。

ナメ滝がしばらく続き、

小さな滝をいくつか越えて行く。

F1、2段 7mを越える。

ここは、ホールドが豊富だ。

次に、F2、2段 6mを越える。

しばらく行くと、F3が見えてくる。

本日の、一番の難関だ。

この日は、日差しがとても強く、

写真が上手く撮れなかった。

 

この滝は、2段 15mで、最初の1段は

簡単に登れる。

 

(2010年7月のこの滝)

続く、2段目が危険だ。

アンヌ隊員は、高い滝に登ると足がすくんでしまう。

昨年は、この滝で危険な状態になった。

そこで今年は、わたしが先行で登り、滝の上からアンヌ隊員を

ロープで確保することにする。

 

この日は、テープ・スリングで作った簡易ハーネスを使う。

まずは、輪を作り、中央を八の字にする。

ここに足を通して、カラビナを装着する。

 

難易度が高い滝ではないので、この方法で問題ないと思っていた。

だが、その認識は間違いであったことに、このあと気がつく。

 

(登攀中の写真撮影は、困難です)

まず、2段目を、わたしが登る。

左側から登り、途中で流れを横切り、右側のルートを行く。

この水流を横切った直後が、とてもやっかいだ。

去年は、ここに立ち木の枝があったので、それをホールドにできたが、

今年はその枝がない。これでこの滝の難易度がグッとアップした。

滝の上に到着する。

次に、カラビナにロープを装着し、ロープダウンする。

あれ? ロープが下まで届かないぞ。

ロープの長さは、10 m だ。カラビナに装着している分を

差し引いても、8 m くらいは充分あるはずだ。

けっこう高い滝だな。

アンヌ隊員は少し登ってから、カラビナにロープを装着する。

 

アンヌ隊員が登ってくると、ロープを引く。

ロープは、常にピンと張ってある状態にしておく。

こうすれば、たとえアンヌ隊員が滑落しても、

わたしが、ロープを持っているので大丈夫だ。

2人の体重の差分を考えても、わたしの体重で充分に支えられる。

ただしこれは、滝が垂直でなく、斜めの滝の場合だ。

 

ところがこの滝は、水の流れを横切るところが垂直に近い。

もし、アンヌ隊員が勢いよく滑落したら、わたしも耐え切れない。

一緒に仲良く滑落だ。

 

さらに、わたしが立っている位置は、

アンヌ隊員の動きのが見えるところ。

つまり、滝の落ち口のギリギリ。

 

こういうときは、枝や岩と自分をロープでつないでおく、

つまり自己確保をするのが普通だ。

しかし、それにはロープが足りない。カラビナも足りない。

それに気がついたのは、アンヌ隊員が登り始めてからだ。

もう引き返せない。

 

(確保中の写真撮影も、困難です)

アンヌ隊員は、水流を横切った後、

ホールドに手が届くだろうか。

とにかく、できるだけロープを張っておこう。

 

アンヌ隊員は、手が届かないところも、飛びつくように移動する。

自分が確保されていると思って躊躇せずに行動できるのはいいが、

確保しているわたしは、かなりヒヤヒヤしている。

 

無事に難所を通過してアンヌ隊員が登ってきた。

ここからは、斜めのところでホールドもある。

よかった、これで安心だ。

アンヌ隊員、無事に登頂!

続いて、F4、2段 15m。

ここも、日差しがとても強く、

写真が上手く撮れない。

 

去年は、右側から巻いたが、

巻き道の土がやわらかく、アンヌ隊員は

滑落の危機を体験した。

(2010年7月のこの滝)

今年は、滝を登ろう。

下からルートを探ると、なんとか登れそうだ。

でも、上のほうがよく見えない。うーん、大丈夫かなぁ。

 

先行で登るわたしは、ロープ無しで登るので、

途中で登れなくなると、大変なことになる。

巻き道を登って、ロープを出したほうがいいのかなぁ。

 

すると、ここで天の助けが。

後ろから男女2人のパーティが来る。

彼らに先行してもらえれば、ホールドの位置が分かる。

 

2人を下からよーく観察。大丈夫だということを確認。

よ〜し、行くぞ。

まずは、わたしから。

登ってみれば何のことはない。

けっこうホールドがしっかりしている。

上から見ると、けっこう高いな。

これでは、アンヌ隊員は怖がってしまうだろう。

アンヌ隊員は、ホールドがあっても、怖がると動けなくなる。

やっぱりロープを出して正解だ。

 

準備ができて、ロープダウン。今度は下まで届いたかな?

「届いたか〜?」と大声で叫ぶが、沢の音でかき消されてしまう。

そうか、こういうときのためにホイッスルが必要なのか。

 

今度は、難所もなく、スイスイ登ってくる。

しかし、それでもわたしは緊張している。

もし、アンヌ隊員が、ズルっといったら

わたしは踏ん張らなければならない。

こうして、無事に、登頂。

よかった!

あとは、危険な滝はない。

F5を登り、その上は、水が涸れてくる。

 

その先は、二俣を右に進む。(11:50)

次のF6は、ホールドが豊富で楽しく登れる。

そして、F7は右から巻く。(12:00)

こうして、最後のツメに到着。(12:20)

ここで、登山靴に履き替える。

マスキ嵐沢は最後のツメでヤブこぎがなく、

すっきりと尾根に出られる。

尾根の直下が、特にきれいだ。

まるで円形ステージの中央に立っているようなところ。

胸がすうっとなるような気がする。

こうして、権現山からの尾根に到着。(12:30)

すごいぞ、マイナールート探検隊。

あとは、登山道を通ってマイナー探検1号に。(14:00)

楽しい沢登りだった。

 

あとがき

我が隊の沢装備は、少なすぎる。

これは、わたしの脳と同じだ(さらに心も貧しい)。

スリングで作った簡易ハーネスは、ロープで常に引いていないと、

足下に下がってしまう。やはり本物のハーネスが必要だ。

ロープも足りない。カラビナも。ホイッスルも。

今日の探検は、沢の装備を購入する決心がついた探検だった。

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