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標高差350mのドラマ。ショチクボノ頭へ進め

西丹沢自然教室 〜 白石沢キャンプ場跡地 〜 ショチクボノ頭 〜 善六山 〜 善六ノタワ 〜 西丹沢自然教室

2011年 2月 20日(日)、天気:曇り

行動時間 8:40〜14:20( 5 h 40 min )

探検メンバー : キリヤマ隊長、アンヌ隊員

 

皆さんは、ご存知だろうか、西丹沢の隠れた名峰、ショチクボノ頭を。

一般の登山道からのアクセスが困難なこの山は、国土地理院の地図、

昭文社の地図に名前の記載が無い。

 しかし、数多くの探検家がその山頂に達しており、探検家の集会を

やったという伝説さえある。いったい、どんなすばらしい山なのだろうか。

こうして我が隊は、ショチクボノ頭への探検を試みた。

 

行くぞ、マイナールート探検隊。

 

登山届けは、申し訳ない?

いつものようにマイナー探検1号を、

西丹沢自然教室の駐車場に止める。(08:40)

まずは、西丹沢自然教室にご挨拶。

自然教室の職員さん、Kさんが、みんなに登山届を出すよう呼びかけている。

Kさんと少しお話をしたが、我が隊には登山届のことを言わず、

「それでは、お気をつけて」と言うだけ。いわゆる顔パスだ。

しかし、それでは申し訳ないので、きちんと登山届を出すことにする。

 

登山届に「ショチクボの頭、善六山」と記載する。

Kさんは、他の登山者と話しをしていたので、

女性職員さんに登山届けを渡すと、職員さんがギョっとして尋ねてくる。

 

「初めて行くのですか(疑)」

「はい、初めてです(笑顔)」

「地図は? 2万5千分の1地図は持ってますか(疑)」

「はい、持っています。(笑顔)コンパスも持っています(笑顔!)

 

女性職員さんは、笑っていない。

どうやら我が隊のことを、遭難予備軍と心配しているようだ。

(それは確かに間違いではないが…)

女性職員さんは、登山届をKさんに見せて確認する。

我が隊の登山届を見たKさん、

「あぁ、大丈夫です。常連さんです」。

はい、常連さんです(道迷いの)。もしくはベテランか!?

 

登山届けに、地図に記載されていない「ショチクボの頭、善六山」が

書いてあれば、確かに職員の人も心配になるだろう。

登山届を出さないで山に入るのは、申し訳ない。

でも、出しても申し訳ない結果になった。

探検家はつらい…。(猛省)

 

これからも、自然教室に行ったときは必ず挨拶をして、

職員さんに顔を覚えてもらうようにしよう。

そうすれば、地図に載っていない山に登る探検愛好家が

いることを知ってもらえるだろう。

こうして、県道を白石沢の方に歩いていく。

木々が葉を落とした冬のキャンプサイトには、

誰もいない。夏の混雑がしのばれる。

しかし、バンガローは、ほぼ満室。

冬のキャンプは、バンガローが人気だ。

プロパンガスが設置されているところを見ると、

暖房設備があるのだろう。

これなら、冬でもキャンプを楽しめる。

今日のターゲット、ショチクボノ頭は、

ここ、用木沢出合い付近からも登れる。

今日は、この先の白石キャンプ場跡地から狙う。

ゲートを越えて、林道を進む。

 

しばらく進むと、白石キャンプ場の跡地に

モロクボ沢と白石沢の合流地点がある。

林道を離れて、沢を渡る。

こんもりと見えているこの丘から

ショチクボノ頭、頂上を目指す。

 

(国土地理院の地図に加筆→)

ここから山頂まで、距離約 1km、標高差約 350m。

よし行くぞ、マイナールート探険隊。(9:40)

しかし、どこから登り始めればいいのか。

目の前にある斜面は、とても急な上、ホールドも乏しい。

しばらく、あたりをウロウロする。

「あそこから登れそうよ」

おお、でかしたぞ、アンヌ隊員。

少し下流から登れそうだ。

よし、わずかだが踏み跡がある。

ここからいよいよ登攀だ。

踏み跡をたどって、崖を登っていく。

かなりの急斜面だが、木の根につかまっていけば

大丈夫だ。

 

数メートルほど登ると

植林地帯の斜面になる。

しばらく登って見下ろすと、

うわー! けっこう高いなぁ。

 

逆コースで、ここまで下りてきた場合は、

尾根沿いに沢に下らず、少し下流方向から下るといいだろう。

尾根に取り付くと、あとは尾根沿いに登っていく。

けっこうな急斜面だが、危険なところではない。

落葉した明るい森を登っていく。

冬は、葉が落ち、光が届く。

夏は、葉が生い茂り、光をさえぎってくれる。

木々の合間から明るい空が見えると、

自然の摂理に、ひたすら感心する。

この世は、本当によくできている。

少し登ると、シカ柵が登場する。

このシカ柵はちょっとやっかいだ。

尾根のギリギリに設置されているからだ。

シカ柵の反対側に行くことができれば、

安全なのだが、シカ柵には扉が無い。

このおかげで、尾根の難易度がグッと上がる。

それでも、シカ柵沿いに登っていく。

 

あれれ。これは危ない。柵の左方向は、崖だ。

木につかまり、三点確保でじっくり越える。

この先、しばらく細いところを通過するが、

両腕がふさがって、撮影ができなかった。

無事、危険個所は通過したが、

それでも、まだシカ柵は続いている。

シカ柵の網をつかむと、滑ったときに指をケガするので、

網をつかまないように、アンヌ隊員に指示をする。

続いて、大木の根とシカ柵の合間を通る。

今日の探検は、もっとラクチンな尾根を想像していたが、

意外にも緊張するところがある。

ようやく尾根が広くなってくる。

やがてシカ柵は、右の斜面に向かっていく。

クマが怖くて、探検ができるか?

ここから先は、フリージグザグで登っていく。

こういうときは、なんとかく楽なところを選んで

歩いてしまう。

ところが、ふと気がつくと、足下にはシカの足跡がずっとついている。

どうやら、わたしはシカの通り道をトレースしているようだ。

シカも楽な道を歩きたいのだろう。

しばらく登ると、なだらかな尾根になる。

 

明瞭な踏み跡を見つける。

踏み跡は、突然現れ、その先でぷっつり消えている。

山で度々見かけるこういった道は、ケモノ道なのだろうか。

のどかな風景が続いている。

だんだん気持ちがゆったりとしてくる。

この尾根は、季節をかえてもう一度歩いてみたい。

大木と対話するキリヤマ。

この尾根は比較的、若い樹木が多い。

この大木も、老木の風格はなく、まだまだ若々しい。

古い倒木は、新しい生命の苗床になっている。

これも自然の摂理だ。

こうして、ショチクボノ頭、山頂に到着。(11:00)

山頂には、ショチクボノ頭を記す道しるべがなく、

なだらかな大地があるだけだ。

ショチクボ山頂公園、といった感じのところ。

近くの木に、山の名前が書かれた札がかかっている。

それでは、三角点のところを頂上と考えよう。

よし、登頂成功だ。

すごいぞ、マイナールート探検隊。

 

(国土地理院の地図に加筆→)

続いて善六山に向かう。

ここからは、なだらかな尾根が続くだろう、

と思っていたが、

 

すぐに尾根が細くなり、

険しい道になる。

細い尾根を下っていくと、次に善六山への登り返しが始まる。

 

そして、アンヌ隊員が、先行で歩いていると、

急に立ち止まった。

「もしかして、あれ、クマかしら」

「ええ! 本当か?」

少し先に黒いものが見える。

 

「まずいぞ。もしクマだったら、逃げるところが無いぞ」

「怖いわ、すぐに戻りましょうよ」

待て。もしかしたら、木の幹が黒くなっているだけかもしれない。

よし、歌って確認してみよう。

 

「♪ キリヤマ隊長、すごいぞ〜 ♪ 」

黒いものは、微動だにしない。よし、もう一発。

「♪ マイナールート探っ検っ隊っ ♪ 」

やはり動かない。もしかして、眠っているのか。

そうだ、カメラのズームで確認しよう。

 

うむ、木の幹だ。間違いない。よかった。

もしも、クマなら、この探検記がもっと面白くなるところだった。

まぁ、こんなところにクマがいることは、

ちょっと考えられない。(根拠なし)

こうして善六山へ登っていく。

アンヌ流、ベジタブルな登山を楽しもう

平らなところに出た。ここで昼食にしよう。

今日は、キリヤマの創作料理を食べる。

アンヌ隊員は、ベジタリアンなので、

植物の料理しかたべられない。

(さらに、サラダ油、オリーブ油もだめ)

この日のメニューは、トマトソースのショートパスタ。

トマト缶、キャベツ、たまねぎ、隠し味にビネガー。

これはミネストローネではないか、どこが創作だ! というかもしれないが、

ベーコンやコンソメを使ってない。パスタにもオリーブ油をかけてない。

日本ではあまり一般的ではないが、欧米にはベジタリアンが多い。

ポールマッカートニーや、マイケルジャクソンも、ベジタリアンらしい。

ベジタリアンの多くは、宗教上や思想上の理由によるものだが、

アンヌ隊員の場合は、健康上の理由だ。

ベジタブルな食生活をしているアンヌ隊員。

ベジタブルな生活をすると、

植物の気持ちが伝わってくることがあるらしい。

山を歩いていると、アンヌ隊員は、

樹木の視線を感じることが度々あるという。

わたしは、探検記でたびたび樹木の話を書くが、

これは、アンヌ隊員の影響を多分に受けて、

自分でも感じるものを探しているからだ。

こうして善六山に到着。(12:00)

ここにも山頂の目印はない。

ここからは、畦ヶ丸が一望できる。

畦ヶ丸に向かう登山道からは、畦ヶ丸はよく見えないので、

その全貌を間近で見るのは初めてだ。

善六山から善六ノタワに向かう。

タワとは、峠のことだ。

 

尾根は明瞭だ。

一般の登山道から、間違えて入らないようにロープが設置されている。

よし、登山道と合流だ。

 

善六ノタワに到着。今日の探検はここまで。(12:15)

あとは登山道を使って、自然教室に向かう。

途中のベンチで、ヤマザキのアンパンを食べる。

これは、さすらいの探検家、すぎさんのブログで

「最強のギア」として紹介されていた、アンパンだ。

このパンは、コンビニでの入手が難しく、

スーパーマーケットで前日に購入している。

しかし、アンヌ隊員は、我慢できず前日の夜に食べてしまう。

だから今まで、探検に持ってくることができなかった。

食べてしまうと、山にもっていけない。(当たり前だ!)

そこに気がついたアンヌ隊員。そうだ。前日に2つ買っておけばいい。

こうして、アンパンを持ってくることができた。

登山道をしばらく下っていくと、

沢沿いの道になる。

おや、この風景は見覚えが無いな。

この道は何度も歩いたことがあるのに、

また、道迷いしたのか。

しばらくすると、見覚えのある丸太橋。

よし、これで大丈夫だ。

 

当たり前だが、自然は常に遷り変わる。

歩いたことのある道だからといって、道迷いしないとは限らない。

途中で、本棚に寄り道。

 

本棚の直前で、岩を登れずに苦労するところがあるはずだが、

それもなくなった。やはり変わっているようだ。

登山道をしばらく下り

次は下棚に寄り道。

その後も、登山道を下っていくと、

沢の流れが変わっているところがあった。

おそらく、増水により流れが変わったのだろう。

こうして西丹沢自然教室に戻ってくる。

 

西丹沢で大人気のボビーがいる。

相変わらず食べ物を上げないと、つれない。

自然教室で、Kさんにお声をかけ、

西丹沢の近況を伺う。

そして、Kさんと記念撮影。

こうして、マイナー探検1号に到着。

楽しい探検だった。(14:20)

 

あとがき

自然教室の掲示板を見ると、クマ情報があった。

なんと、白石沢。先ほどいた山のすぐそばだ。

さっきは、何の根拠も無く、こんなところにはクマはいない、

と思っていたが、すぐそばにいたとは。

 

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