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危険な巻き道でアンヌ隊員を救え。本間沢を攻略せよ

 

本間橋 〜 本間沢 〜 本間ノ頭 〜 本間橋

2010年9月18日(土)、天気:晴れ

行動時間 9:00〜14:40( 5h 40min )

探検メンバー : キリヤマ隊長、アンヌ隊員

 

ガイドブックによると、本間沢は初級の沢と書かれており、

難しい滝は巻くことができるとある。しかし、その巻き道は、

滝を登るのと同じくらい難しく、高度感のある崖では、

アンヌ隊員が固まった。果たして、高所恐怖症のアンヌ隊員は、

無事に滝を巻くことができるのか。

 

行くぞ、マイナールート探検隊。

 

*滝の高さについては以下を参照した:

 ヤマケイ アルペンガイド5 丹沢(山と渓谷社)

ヒル地帯を突破せよ

(アンヌ隊員のヒルのイメージ)

蛭ヒール星人は、アンヌ隊員を狙っている。

わたしには、あまり取り付かない。

先週、本間沢に来たのだが、ヒルの猛烈な襲撃で撤退した。

アンヌ隊員は、ヒルが大嫌いだ。

 

そういえば、2人で歩いていると、

後ろのほうの人がヒルに刺されやすいと聞いたことがある。

よし、今日はアンヌ隊員先行で行こう。

 

「魚止め森の家」の先にある駐車スペースに

マイナー探検1号を止める。(9:00)

本間沢の左岸(右側)の斜面を進む。

本間橋の先、ちょうど車を止めたところから登っていく。

この付近は、ヒルの聖地ともいうべき、ヒルの完全征服下にある。

そこで、ヒルの忌避剤「ヒル下がりのジョニー」を噴霧。

石鹸のように泡立つジョニーだ。

ヒルの巣窟、まっただ中。いざ行くぞ。

関ヶ原の戦い、敵陣を突破する島津隊になった気分だ。

 

管理道を拾いながら左岸を進んでいく。

かなり不明瞭なので、ただの踏み跡かもしれない。

しかし、それもやがて消えてしまう。

林道から堰堤を3つ越えてから、沢に入る。

なんと、ヒル襲来をまったく受けずにここまで来た。

石鹸、いや、ジョニーの勝利だ!!

 

 

 

こうして、本間沢を登り始める。

しばらくは、沢の感じが頼りなく、

Fナンバーの滝があるようには、とても思えない。

 

 

先週と比べて、水量が多い。一昨日の雨の影響だろうか。

沢の流れも勢いがある。

林道から約40分、

F1、10mにやっと到着。

(09:40)

増水だ、急流だ、水が冷たいぞ。

さぁ、ここからが探検だ。

行くぞマイナールート探検隊。

ガイドブックによると、この滝は、流れに沿って登れるそうだ。

しかし、落ち口のあたりは水の流れが強く、ちょっと不安だ。

また、今日は気温が低いので、シャワークライミングはとても無理だ。

流れを避けて、落ち口の少し下から崖を登ってみる。

うーん、高いなぁ。これでは、アンヌ隊員は怖がるだろう。

ここから登るのは、無理だ。

仕方ないので、右岸の斜面をいったん下り、

滝の下まで戻って、大きく滝を巻くことにする。

やはり安全第一、safety-firstだ。

この沢は、ヒルが多いので、滝を巻くときにはヒルが気になる。

しかし、ヒルに取り付かれることもなく、無事に沢に戻る。

F2、4m。

 

ここも豪快に水が流れている。

本日のゴール、本間ノ頭までの標高差は、約750m。

距離にして約2km。(カシミール3Dで計測)

短い距離でたくさん登る。したがって、水の流れも急なところが多い。

 

F2の先も、小さな滝を越えていく。

F3、2段10m。

ガイドブックによると、直登りできるとあるが、ここも水流が強い。

とても直登する気になれない。この滝は左から巻こう。

 

その前に、ここでいつもの修行だ。

うわっ、飛沫しぶきが、ものすごい勢いで飛んでくる。

水が冷たい。まるで矢に討たれるようだ。

 

えぇい、これも修行だ。行くぞ〜。

ワー、討ち死にする〜!!

転進!!

逃げろ〜!!

F3の巻き道は、滝の少し下流、左側にある。

溝のようなところを足を広げて登っていく。

けっこう登ってから滝を越える。

沢に下るのにも、苦労する。

F4、4m。

大きな岩が静かに座している。

ここは右から難なく越えられる。

F5、2段10m。水流沿いに登っていく。

細く長い流れが、先のほうまで続き、

その上には樹木の緑が見える。

 

なかなかテクニカルな滝が続く。

(我が隊のレベルが低いのかもしれない)

あまり難しいところが出てこないことを願いつつ、

先に進む。

F6、3m。

大きな岩の上から、こぼれるように水が流れている。

ここでも、修行にチャレンジしようとしたが、

あえなく退散。

 

気温が低い今日は、濡れた体がなかなか乾かない。

 

ゴルジュというほどではないが、

両岸が狭まったところを通過する。

トイ状になった滝を右側から越える。

 

F7、5m。

勢いがある流れが、飛沫しぶきを上げて落ちてくる。

ここも無理をせず、左側から巻く。

F7の中間部分から落ち口付近を望む。

大量の水が、どどーっと流れて落ちていく様は、

とても爽快感がある。

F7を越えてしばらく進むと、

明るいところに出る。

沢の中で明るいところに出ると、

とても楽しい気分になる。

F8、3m。ここは、流れに沿って登る。

その前に、ここで2度目の補給。

(細かいのまで入れたら4度目?)

 

 

F8の上で小さな滝を越えられずに、大きく巻く。

ヘツるところがちょっと大変。

アンヌ隊員を救え

F9、3段20m。

本間沢を訪れる探険家は皆、そのすばらしさを称える滝だ。

細く長いトイ状の流れで、スピード感のある流れを

間近に見ていると、心がスーッとする。

 

流れをまたいで上りたくなるが、上のほうがホールドがなく、

無理に登らないほうがよさそうだ。

右側は切り立った崖で、左側を登ることができる。

ここからは見えないが、滝の上流にはさらに滝がある。

流れの左側をよく見ると、しばらく登ってから左にトラバースすれば

登れそうだ。でも、ちょっと高いぞ。

ここは、下流の左側から巻こう。

ところが、ここもけっこう高い。

ホールドはそれなりにあるのだが、高所が苦手なアンヌ隊員には、

ちょっと難しい。「どうしよう、怖い」と言い始める。

アンヌ隊員が固まった。

 

じっとしている時間が長ければ長いほど、恐怖感も、危険度も増してくる。

クライミングには、ある程度テンポが必要だ。

いかん、こうなると危険だ。

 

ホールドがあるとはいえ、それを見つけられなければ、登れない。

アンヌ隊員は、緊張して周りがよく見えていないようだ。

そこで、アンヌ隊員の真下に行って、ホールドの位置を細かく教える。

 

大きく深呼吸をして、気持を整えるアンヌ隊員。

ようやく動き出し、危険個所を通過する。よかった。

 

巻き道の上部は、右に移動する。一見、なんでもない巻き道も、

高所では緊張して思うように体が動かなくなる。そして、思考が停まる。

こういったときには、やはり深呼吸が効果的だ。

 

こうして、巻き道をクリアー。ホっとするアンヌ隊員。

よし、これでまた隊長の信頼がアップしたはずだ。

 

しかし、ここで、今度はわたしが足運びをミスして、戸惑う。

あと少しのところ、なのにトホホ…。

アンヌ隊員は、難なく越えられたのに、

これでまた隊長の信頼が、ダウンしてしまう。ああ…。

 

F9上段。

太い流れのダイナミックな力を感じさせる滝だ。

ほぼ直暴のこの滝は、ホールドがなく直登は難しい。

巻き道は左にある。

これは簡単に巻ける。

F9の上は、とても綺麗なゴルジュだ。

水流が、両岸の草木の中央をさらさらと流れている。

F10の手前にある滝。

Fナンバーもない滝だが、なかなかテクニカルな滝だ。

本間沢には、こういった滝が多い。

 

最後のツメに注意しろ

F10、10m。最後の滝だ。

水の流れが下の方で広がり、扇のような形になっている。

下の方を見ると、幾千もの水の流れがあるように見える。

本間沢で一番きれいな滝だろう。

 

ベテランはこの滝を直登するらしい。

直登りするには、登攀技術と身の確保が必要だ。

滝の上部のホールドが乏しく、安易に取り付くと危険だろう。

ここは右から簡単に巻ける。

F10の上流にも、小さな滝がある。

ここは簡単に越えられる。

最後の滝を味わいながら進んでいく。

そして、水がジョボくなってくると、

左にガレ場が現れる。(12:13)

ガイドブックによると、このまま沢をツメて登るらしいのだが、

この先は沢が荒れており、とても暗い。これでは、進む気になれない。

そこで、今日は沢をこのままツメるのではなく、

ガレ場を登ることにする。

やはり明るいところを進みたくなるのが、本能だ。

ところが登り始めると、かなり急な坂で、けっこう苦労する。

しまった、沢をツメればよかったか。

ここは、ドライバーを使いながら登っていく。

 

フジアザミの花がたくさん見える。ガレ場によく見られる花だ。

鋭いトゲを持っているこの花は、探検家にとってとても厄介だ。

なぜか進もうとする、まさにその場所に生えていることが多い。

(そして、大抵は他に逃げようがない)

しかたなく、チクチクと刺されながら進むのだ。

 

この日、草をつかんで登ろうと

思いっきり握った草は、「ぎゃ!!」

フジアザミだ。

この日の手袋は、指先のない手袋。

親指にトゲが刺さってしまう。

(痛い…)

だいぶ登ってきた。振り返ると、榛の木丸がよく見える。

登って来た本間沢は、早戸川の支流にあたる沢。

山々の深い谷間にある沢を登って来たことが、よくわかる風景だ。

 

このあと、本間ノ頭の北尾根に到着。せっかくなので、

頂上まで登ることにする。

こうして本間ノ頭へ到着。(13:00)

今日も楽しい探検だった。

下山は、本間ノ頭の北尾根を使って、

マイナー探検1号に到着。(14:40)

 

すばらしい探検に祝福を。

 

あとがき

・この日の本間沢は、前日の雨による増水で、滝を登ることができなかった。

 いずれまた、チャレンジしたい。

・車に戻ると、手紙がワイパーに挟まっている。おお、さすらいの探検家のスギさんだ。

 そうか、来ていたのか。お会いできなくて残念だ。

 

・ユーレイ隊員が書いた「関ヶ原の戦い、島津隊」が、おもしろかった。

 せっかくなので、ここに載せる。

 

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