戸沢 〜 セドノ沢左俣 〜 新大日 〜 戸沢 2010年9月5日(日)、天気:晴れ 行動時間 9:10〜14:40( 5h 30min ) 探検メンバー : キリヤマ隊長、コノハ隊員(木の葉隊員)
組んではいけない二人が組んだ。 「丹沢駆け巡り」のランナー木の葉さん。 そして道迷い探検家キリヤマ。 わたしが「キリヤマ隊長と語ろう」に書き込んだ、 勇気ある希望者へ宛てたメッセージ。それに木の葉さんが応えてくれた。 マイナールート探検隊、初の体験入隊者だ。
行くぞ、コノハ隊員。 |
マイナー探検1号を戸沢に駐車する。(09:15)
この日の戸沢は、満車。 はじっこの方に、ちっちゃく止める。 |
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さぁ、今日は、コノハ隊員と探検だ。 彼はスラッと背が高く、 その人柄はとてもマイルドで慎み深い。 今日はコノハ隊員の先導で探検する。 頼むぜ相棒。 |
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書策新道をしばらく進む。 源次郎沢への道しるべを通り過ぎ、 水無川本谷の右岸を進んでいく。 前方には、10人ほどの沢屋のパーティが歩いている。 |
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とても大きな堰堤がある。 まずはこれを越える。 この堰堤を越えるための巻き道もある。 |
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巻きに道はクサリがあるが、 我が隊は、堰堤の左端に設置されているロープで 堰堤を越える。 |
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堰堤の壁は垂直で、ロープにある輪っかに足をかけて チカラまかせに、エイヤっと登る。 無理をせず、巻き道を使ってもいいだろう。
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堰堤の上は、水無川本谷の流れの中を進む。 大きな岩の合間をサラサラと流れる水が、とても心地いい。 |
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黙々と進むコノハ隊員。その歩みは、とても速い。 さすがは、ランナーだ。 これがあの「丹沢駆け巡り」の走りなのか。 (くぅ、負けられねぇぜ) |
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いかんせん、このハイペースでは、 ちょっときつい。 早くも遅れ気味、あせり始める。 あの、ちょっと速すぎませんか、コノハさん… (なんて言えないよなぁ) |
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水無川本谷は、水量が多く、大きな岩がたくさんある。 身軽な足取りで、大岩をさっさと越えていくコノハ隊員。 |
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こうして、水無川本谷F1が見えてくる。 |
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これがあの名高い、F1、10m。 とてつもなく大きい。これで、10m? うそだろ。 50mの滝に見えるぞ(オーバーだ)。ほぼ垂直のこの滝。 ダイナマイトな爆流が、迫力を持って胸に迫る。 |
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やおらカメラを取り出す、コノハ隊員。 そうか、急いでいたのは撮影のためか。 どうやらコノハ隊員は、沢屋のパーティより早く ここに到着したかったらしい。 |
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滝の真下に立って見上げると、 細かい水滴が体にあたり、とても爽やかだ。
滝の左側を登っているパーティがいる。 うーむ、あそこまで登るのか。けっこう高いぞ。 |
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よし、次は我が隊の番だ。 巻き道には、クサリが設置されている。 かなり太いクサリだ。 |
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巻き道には、うまい具合に岩の溝がある。 クサリにしっかりつかまって、溝を登って行けば 安定して登っていける。 |
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見ない方がいいのだが、うっかり下を見てしまった。 おお、高い…。過去に登った滝の中で一番高いぞ。 背中がムズムズするというか、腕が震えるというか、 とにかく、あまり下を見ないほうがいいだろう。 |
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最初のとりつきは順調だが、最後のところ、落ち口付近の足場が良くない。 コノハ隊員の足取りも慎重になる。そして、無事にクリアー。 次は、わたしだ。
最後の2mくらいはクサリがなく、ロープがある。 そのロープにつかまって体をぐいっと引き寄せる。 このとき左手の力が必要だ。う〜む、怖い。 こうして、なんとかわたしもクリアー。
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滝の上に立ち、あらためて下を撮影。ガイドブックの説明を読むと、 「初心者は、巻き道でもザイルで確保すること」とある。 げっ!フリーで登っちゃったよ。 |
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F1の上には、すぐにF2がある。 これも左にクサリが設置されているが、 直登するには、難しそうだ。 |
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すると、ここで後ろから登ってきた男性が、 滝の前に立ち腰に手を当て、じっと岩を見つめている。 むむ、ベテランか。ルートを読んでいるようだ。
しかし、その姿はスニーカーにTシャツ姿。 装備は、肩にかけたロープのみ。水も食料もない。 なかなか、かっぷくがいい。その後ろ姿からは とてつもない気迫が感じられ・・・ないんだよな、全然。 なんだか、散歩がてらちょっときました的なノリ。 本当にこの人、大丈夫なのかなぁ。
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ところが、彼はクサリに取り付くと、一気に登っていくではないか。 おお、すごい。コノハ隊員と二人で、あぜんとする。 よく見ると、かっぷくのいい体はメタボではなく、筋肉だ。 山では、本当にいろんな人にめぐり会う。 |
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そういえば出発前にコノハ隊員は、水無川本谷に進んでもいいと言っていた。 次は、あの滝を登るのか。うーん、ちょっと難易度が高いなぁ。
「あの、コノハ隊員。いつの間にか、水無川本谷に入っていますね」 「ここからセドノ沢に向かいます」 ホ…よかった。このまま本谷を進むのは、ちょっと無理だ。 |
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セドノ沢への分岐は、今のぼってきたF1の上にある。 F2に気を取られていて、セドノ沢分岐を見落としていた。
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セドノ沢の滝は、難易度が高いぞ |
こうしてセドノ沢を進んでいく。 水無川本谷とくらべ、水量が少なくなる。 大きな岩がごろごろして、沢をただ歩くだけでも 気を抜けない。 |
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セドノ沢、F1、5m。 沢が大きく左にカーブしている。 |
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ここでも、熱心に撮影するコノハ隊員。 |
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この滝は、通常左側にあるクサリを使って巻く。 しかし、ここは上部がよく見えない。 |
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滝を登ったほうが簡単そうに見える。 右側が登れそうだ。 よし、コノハ隊員、ここを行こう。 |
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とりつきが逆層の岩で、難儀する。 しかし、そこを越えてしまえば、後は楽だ。 |
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次に、わたしがチャレンジ。 逆層の岩を越え、滝を勢いよく流れる水流を見る。 ここまでは、余裕で登れた。 しかし、この滝は、最後のヘツるところがちょっと難しい。 |
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コノハ隊員に足場を教えてもらうが、 わたしはそこに足が届かない。 (彼は、足が長いのでラクラク越えられたのだ) 設置されているスリングとロープにつかまり、 短い足を、おりゃーっと広げて なんとか、クリアー。 |
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滝の上には、カラビナの支点がある。 ここは、ザイルで確保して登るほうがいいだろう。 |
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続いて、F2、6m。 右から登る。 登り始めてみると、意外にホールドが乏しく、 慎重に登る。 |
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F2の上で、沢は二俣に分かれる。セドノ沢右俣と左俣だ。 今日は、左俣に進む。 |
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左俣に進むと、すぐに3mの滝。 ここは、水流に沿って登る。 |
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小さな滝をいくつか越える。 そして、ミニゴルジュの滝。 小さいとはいえ、ちょっとテクニカルな滝だ。 ここも水流沿いに登る。 |
次に、F3。 ナイフのように切れ味のいい水流だ。
右側から登れそうな感じもするが、 上部にホールドがない。 水流沿いに、両足を広げて踏ん張れば 登れそうだが、ザイルの確保が欲しい。
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ここは、左側に鎮座する大岩を登る。 ホールドをほとんどもたないこの大岩は、 途中で進めなくなっても、孤軍奮闘するしかない。 先ほどのF2に続いて、登攀能力が問われる滝だ。 |
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F3を無事にクリアーして、F4、5m。 その先もいくつか滝を越える。 |
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F5、13mが先に見えてくる。 F5は2段の大滝で、直登りはできない。 大きく巻かなければならない。 巻き道は、うんと下流にある。
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撮影のために滝に近寄ってみたが、 巻き道まで下るのに、ひと苦労だ。 |
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ようやく、巻き道の登り口まで戻ってきた。 左側の尾根に向かって登る。 |
軽やかに巻き道を登る、コノハ隊員。 立ち木や根っこにつかまりながら登っていく。 やわらかい土の斜面には、ドライバーが有効だ。 |
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ずんずん登っていく。 いったいどんだけ大きく巻けばいいのか。 |
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F5大滝のかなり上流まで登ったところで ようやく下り始める。
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ようやく沢に到着。 この後も、小さな滝を越えていく。 |
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やがて、水の流れが少なくなってくる。 それに伴い、沢に緑が多くなってくる。 |
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F7手前にある滝。 ここは、左を登る。 |
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次のF7までは、細い谷間に大きな岩がある。 途中、左から入る支流に出合う。 |
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F7、8m。 まっすぐに落ちる水流が、さわやかさを感じさせる。 この滝は、左側がつるっとして、右は逆層。 げっ、これでは、登れない。どうしよう。
「コノハ隊員、これはもしかして、行き詰まったのでしょうか」 「いえ、撮影したら、先ほどの支流に進みます」 ホッ、よかった。 |
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少し下ったところから分かれている、支流を進む。 こちらは、流れはショボいが、かなりの急な斜面だ。 |
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しばらく登ると、書策新道に出合う。 このまま支流を進むのかな、と思っていたら、 |
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書策新道を進むと、セドノ沢に戻れるらしい。 こうして、再びセドノ沢に入る。 |
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しばらくは、書策新道に沿うように水流を登っていく。 やがて、白竜の滝と出合う。 |
うわさの鉱山を探検せよ。表尾根に向かえ |
書策新道が沢を横切り、右斜面を登り始めるあたりで、 左側の斜面に踏み跡がある。
「キリヤマさん、鉱山の採掘場を見に行きましょう」 おお、うわさに聞く採掘場はここにあるのか。 |
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踏み跡に沿って、ロープが張られている。 けっこう見に来る人が多いのだろうか。 |
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ロープの先で、突然開けた場所に出る。 周囲をぐるりと崖に囲まれたところだ。 |
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崖にぽっかりと空いた穴。 これが鉱山採掘の入口だ。2つある。 |
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中に入ってみたが、もちろん真っ暗で撮影はできない。 どのくらい深いのか知りたくて大声で叫んでみた。 「キリヤマ隊長、すごいぞ〜」 エコーがまったくかからない。 おそらくすぐそこで行き止まりだろう。 |
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鉱山の採掘場を見学したあとは、 セドノ沢をひたすら登っていく。 やがて水が涸れて、岩の合間を縫うように登っていく。 |
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花にカメラを向けるコノハ隊員。 わたしは花の名前をよく知らず、コノハ隊員に度々聞いてしまう。 この日は、イワシャジンのほか多くの花を撮影。 コノハ隊員のホームページには、花の写真が多数あり、 その写真は、花への優しさに満ちているものが多い。 つつしみ深いコノハ隊員の人柄をよく表している。
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しばらく登ると、目の前に壁が立ちはだかる。 どうやら行く手を壁に阻まれたようだ。 「コノハ隊員、これは壁ですね」 「はい、これは壁です」 「これは、行き詰ったのでしょうか」 「いえ、登れます」 ええ?こんなところ登れないぞ!
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と思っていると、滝のようなところがある。 水が涸れていなければ、ここが滝だろう。 ここを左側から巻く。 |
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その先も、小さな涸れ滝をいくつか登る。 この付近は、岩がもろく崩れやすい。 浮石をつかまないように、注意しながら登っていく。 |
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小さな滝を越えていく。 ロッククライミングのようで、とても楽しいのだが、 たくさん登ってきたので、もうおなかいっぱい、といった感じだ。 |
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登れば登るほど、霧が濃くなってくる。 いよいよ最後のツメだ。 |
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ぽっかりと開けたところに出た。 先がよく見えないが、 おそらく表尾根の稜線だろう。 |
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新大日から少し塔ノ岳側のところに出た。 すごいぞマイナールート探検隊。(13:15) (やっと登場できた)
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たった今、登ってきた斜面を見つめるコノハ隊員。 万感、胸に迫る思いだ。 |
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下山は、政次郎尾根を使う。(13:50) |
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大倉尾根と同様に、ここも階段の整備が進んでいる。 |
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50分ほどで、戸沢まで下りてくる。(14:40)
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こうして、マイナー探検1号に到着。 すばらしい探検だった。 コノハ隊員のおかげで、 セドノ沢を攻略できた。
コノハ隊員に祝福を。 |
・ガイドブックによると、セドノ沢は、中級の沢になっている。
初めて行く沢で、しかも中級となると、いきなりアンヌ隊員を連れて行けない。
わたしが先に調査をしたかった。しかし、単独で初めての沢に入るのは
ちょっと勇気がいるので、掲示板で体験入隊を募集したところ、木の葉さんが
引き受けてくれた。おかげで、無事にセドノ沢を攻略することができた。
さて、調査の結果、水無川本谷のF1がザイルの確保無しでは、
アンヌ隊員には無理だ。さらに、そのさきセドノ沢のいくつかの滝も、
確保が必要だ。ロープワークをマスターしてからアンヌ隊員を連れていこうと思う。
・今回、この探検記を執筆するにあたって、木の葉さんから写真をいただいた。
水無川本谷、F1で修行するキリヤマだ。滝の美しさと、キリヤマの勇士が
見事に映し出されている。写真家の腕がいいと、男っぷりも上ることがよくわかった。