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背が立たないほど深い!玄倉川を越えろ。そして山神峠に向かえ

玄倉林道 〜 玄倉川 〜 雨山橋 〜 山神峠 〜 玄倉林道

2010年7月25日(日)、天気:晴れ

行動時間 8:00〜16:40( 8h 40min ) 探検メンバー : キリヤマ隊長、アンヌ隊員

 

この日わが隊は、玄倉川の探検を敢行した。

ユーシン渓谷といわれるこの川は、夏の沢歩きに最適だ。

この川は、泳いで渡らねばならないところがある。川底は足が届かないほど深い。

果たして無事に、アンヌ隊員を渡河させることができるのか。

 

そして、帰路は雨山橋、山神峠の登山道(山神経路)を行く。

この道は、昔の登山道で、現在は廃道になっている。

崩壊地が何箇所もあるこの道。果たして無事に越えられるのか。

 

ユーシン渓谷の谷底を進め

玄倉林道のゲート付近にマイナー探検1号を駐車する。(08:00)

駐車をするときに、女性二人がお声をかけてくださった。

ハッピー探検隊の2人だ。

 

元気もりもり、はつらつとした2人は、

丹沢探検隊では数少ない、女性の探検家だ。

ハッピー隊は林道を進み、青崩随道から玄倉川に入るらしい。

それでは、また後でお会いしましょう。

我が隊は、ここから沢に入る。

わたしは、数年間に今日と同じルートを歩いている。

今日はそのことを思い出しながら、探検する。

 

まずは、林道から河原に向かって作業道を進む。

河原に出ると、そこはとても広いところだ。

キャンプをしている人もいる。

とても広い河原だ。

静かに流れる沢の音が響き、真夏日にもかかわらず、

ひんやりとしたところだ。

大きな岩が埋まっている。

上半分には苔と樹木が生えているが、下半分には生えていない。

増水時に、この川がどこまで水位が上がるのか、

それがよくわかる岩だ。

この付近は、まだ沢を登っているという感じはない。

やがて前方に両岸が狭まったところが見えてくる。

玄倉川、ユーシン渓谷だ。

さぁ、ここからが探検だ。

行くぞマイナールート探検隊。

周囲の緑が溶け込んでいるように見える水の反映。

流れが静かなところでは、鏡のような水面を楽しめる。

今日の行程には、滝はない。

しかし、大きな岩がたくさんあるので、

乗り越えながら進んでいく。

この沢は、御影石がたくさんある。

アンヌ隊員が「御影石マニアには、たまらないね」と

何度もいう。御影石マニアねぇ…。

(そんなマニア、いるのかなぁ)

両岸は、切り立った崖。

玄倉川、ユーシン渓谷は、その谷の深さが魅力だ。

谷間の一番底を歩いているような感じがする。

水浴びをして、体を冷やす。

 

そして、

うーん、気持ちがいい。

(生きてます)

大きな岩が多くなってくる。

アンヌ隊員が岩を越えるのに苦労するようになる。

出発から約1時間、堰堤に出合う。(09:05)

この堰堤は越えられないので、ここからは林道を行く。

林道へ登る所は、堰堤から少し下流に行ったところにある。

写真で見ると、平らな地面に見えるが、

実際には、手を使って登るほどの急斜面で、

上の明るいところのさらに先が林道だ。

やわらかい土の急斜面だ。

ここはドライバーを使って登る。

土にまみれること、約10分。

林道に這い上がってきた。

 

ここからしばらく林道を進む。

林道に上がってから、15分ほどで青崩随道に到着。(09:30)

このトンネルは、平成23年まで通行止めだ。

トンネル内のゲート左側から、沢に降りられる。

この写真も平らな地面に見えるが、

写真の明るいところが河原で

この先かなりの急坂を下る。

河原に出ると、青崩随道が見える。

むき出しの荒々しい岩、切り立った崖。

ここは何度見ても、恐ろしい感じのするところだ。

モチコシ大滝で人生経験だ

しばらくは、広い河原を歩いていく。

御影石に光が反射して、まぶしい。

セミの鳴き声が、響いている。

ここは本当に神奈川県なのか。

そう思うくらい、山奥に来た感じがする。

ここで、先ほどお会いしたハッピー隊が、

はるか先を歩いているのが見える。

少し急いで追いつきたい。

だが、ここでアンヌ隊員のおにぎりコール。

そうだった。ここで食べると約束したんだった。

そこでいったん休憩する。

かなり大きな倒木が横たわっている。

増水時はこの倒木より水位が上がると思われる。

流されずにずっとあるようだ。

倒木を越えると、そこには小さな釜がある。

とても清らかな流れだ。

 

左から細くながれる水流。底まで届いている光。

長年の水の流れで、丸くなった岩。まるで庭園のようだ。

自然の造詣とは思えないほど、とても整っている。

やがてモチコシ沢と出合う。(10:22)

モチコシ大滝を見に、ちょっと立ち寄る。

モチコシ沢出合いは、細いゴルジュだ。

この奥に、大滝がある。

すぐに大滝が見えてくる。

ハッピー隊の2人がいるのが見える。

下から見上げるモチコシ大滝。

切り立った岩壁を荒々しく流れる水流。

そのスケールの大きさは、圧巻だ。

こうして下に立っていると、わけもなく恐ろしくなってくる。

 

修行をするキリヤマ。

いててて、背中が痛い。

ひとしきり遊んだ後は、玄倉川に戻る。

モチコシ大滝から下りるのも大変だ。

玄倉川に戻ってきた。

ここから、ハッピー隊と一緒に進む。

しばらく進むと、大きな釜がある。

泳ぐには最適な広さだ。

 

さっそく。

クロール!

 

遊んでいるうちに、

ハッピー隊は先に行ってしまった。

少し先の釜で、ハッピー隊と休憩がてら談話。

ハッピーさんは、丹沢山塊のバリエーションルートをこなす

ベテランの探検家だ。そして、その装備は、まさに沢屋そのもの。

(ちなみにわたしのタイツは、ウニくろ)

ここで、ハッピー隊と分かれて、先に進む。

この先に、いくつか難関がある。

ミッションPart1、アンヌ隊員を無事に渡河させよ

また、釜がある。

中央が深い緑色なので、あそこはかなり深いだろう。

スイスイーっと、

おお、背が立たないほど、深い。

この釜は大きく巻けば越えられる。

そして、次の釜は、大きな岩に阻まれ、

巻くことができない。

釜はやはり背が立たないほど深い。

岩の隙間から、沢の上流にザックを置いて、

体だけで、釜を越えることにする。

キリヤマ先行で、岩をヘツって越える。

そしてこの後、釜の先にある岩を越えるのに苦労する。

深い釜が連続して出てくる。

ここは、左から難なく越えられる。

何のことはない斜面なのだが、

つかむところがないので、一気に駆け上がるように

登らなければならない。

そして、ついに来た。ここが、本日の最難関だろう。

両岸が切り立った岩の合間、深いゴルジュの釜だ。

今までで一番濃い緑色だ。これは深いぞ。

まずは左の岩をヘツってトライする。

左の飛び出ている岩の上を進む。

(キリヤマ先行で、振り返って撮影)

この岩をヘツっていくと、上流側に下りるところが切り立っている。

ロープが設置されているが、垂直のツルっとした岩なので、

ロープをつかんで腕の力だけで降りることになる。

しかもロープは短く、下まで届いていない。無理をして下ると危ない。

 

これは無理だ。引き返してくる。

しかたない、ここは泳いでわたろう。

 

アンヌ隊員は、ちょっと怖がっている。

実は、アンヌ隊員は水泳が苦手なのだ。

プールでは泳げるのだが、沢の流れに逆らって泳げるほど

力強く泳げない。しかも川底は、背が立たないほど深い。

 

まずは、わたしが泳いで向こう側(上流)にわたる。

次に、アンヌ隊員が左の岩の上から、上流の岸に向けてザックを下ろす。

それをわたしが受け取る。

 

これで、ザックはOKだ。

そして、わたしは下流に戻ってくる。よし行くぞ。

こうして、アンヌ隊員と一緒に渡河を始めた。

 

 

水に体が浮いてしまうと、流れに逆らって進めないアンヌ隊員。

アンヌ隊員の腕をわたしが持って、立ち泳ぎで上流に進む。

背が立たないほど深いところは、距離にして3、4mほどだ。

 

こうして上流の岩のところに到着。よし、あとは岸に上がるだけだ。

ところが、アンヌ隊員はなかなか岩に手が届かない。

岸に上がれるちょうどその場所から、こちらに向かって

水が勢いよく流れてくるからだ。

岩に手が届かなければ、水に押し戻されてしまう。あせるアンヌ隊員。

 

アンヌ隊員を支えながら、流れに逆らって必死に泳ぎ続けるキリヤマ。

2人とも足が川底についていない。早く岩をつかませないといけない。

ここでアンヌ隊員は、あわてて水をガバッと飲んでしまう。

これがいけなかった。パニックになるアンヌ隊員。

いかん、これはおぼれるパターンだ。明日の朝刊見出しは、

「自称探検家・なぜか登山中に溺死」

このままでは、まずい。よし、行くぞ。

 

近くの岩に、左手をつく。そして右手でアンヌ隊員を力の限り押し出す。

「おりゃー!!」。どうだ、岸まで届いたか。

おお、アンヌ隊員が自力で前に進んでいく。

よかった、岸に上がれた。

 

ひと息して、攻略した釜を上流から眺める。

無事に渡河できてよかった。

 

そして、すぐ上流にまた釜がある。

左の壁は表面がツルっとしている一枚岩だ。

この釜も、泳いで渡河するしかなさそうだ。

 

先にキリヤマが泳いで調査する。やはり背が立たないほど深い。

しかも、この釜も岸に上がれるちょうどその場所から、

水が勢いよく流れてくる。先ほどの釜と同じだ。

よし、今度は失敗しないぞ。

 

まず、わたしがザックを背負って渡河。ザックを上流に置く。

いったん下流に戻り、次にアンヌ隊員の腰にロープを縛り、

そのロープを持ってわたしがもう一度、上流に渡河する。

 

わたしは上流に立つ。そしてアンヌ隊員が上流に向かって進み始めると

ロープをひっぱる。アンヌ隊員は浮くことはできるので、

スイスイとこちらに進んでくる。

 

よしこれだ。このやり方なら安全だ。

最初からこのやり方を思いつけばよかった。

次回ここに来るときは、浮き輪を持ってこよう。

 

こうして無事に釜を越えて先に進む。

そのあとも深い釜があるが、これは巻くことができる。

とはいえ、表面がツルっとしている大岩がたくさんあるので、

越えるのにとても苦労する。

 

このあといくつかの大岩を越える。

岩を越えるのに、ほとほと疲れてきた。

そのとき、玄倉ダムの水門が見えてきた。

 

岩との格闘もここで終わりだ。

沢を離れて林道に上がる。

アッチ沢が流れ込んでいるところが、ごつごつしている。

あそこから登ろう。

 

左から水流を横切って、

トンネルのあたりに向かって登る。

こうして、玄倉林道に到着。(11:50)

まずは、玄倉川を突破。

すごいぞ、マイナールート探検隊。

靴を履き替えて、一休み。

そして、次の探検に向けて出発する。

 

玄倉ダムを上から眺め、

トンネルを3つ越える。

 

3つめのトンネルは、つるはしの跡が残っているような

とても古いトンネルだ。確か、このトンネルも

危ないといわれているはず。工事しないのかな。

トンネルを過ぎると、ゲートがある。

これは鍵がかかっておらず、開けることができる。

 

鍵がかかってなくてよかった。

ガードレールの向こう側は、断崖絶壁。

とても越えられないところだ。

 

さらにトンネルを2つ越えると、

山神峠への登山道(山神経路)の入口がある。

この道は、玄倉林道ができる前に使われていた道らしい。

山と高原地図2004年版(昭文社)には、この道が点線で記載されている。

入口には、登山道が崩壊していることを告げる看板がある。

 

ここで昼食をとっていると、男性2人が林道を歩いてくる。

装備からして沢屋さん。しかもかなりのベテランだ。

話を交わすと、ここまでは我が隊と同じコースで、

これからユーシンロッジに泊まって、明日は檜洞沢に

行くらしい。

 

ミッションPart2、崩壊地を越えろ

さぁ山神峠まで崩壊地を乗り越える。

わたしは数年前にここを通過したことがある。

あれから、崩壊は進んでいるのか。

よし、行くぞマイナールート探検隊。(12:50)

まずは、急斜面を登っていく。

この道は山の斜面を横切る道なので、

登りはここだけだ。

この道には、道しるべがたくさんある。

こんな荒れた道なのに道しるべがしっかりあるのは、

なんとも不思議だ。

登りの道が終わり、斜面を横切る道を進み始めると、

すぐに崩壊している丸太橋がある。

これは左の土塁の上を通る。

この道は崩壊地がとても多いが、

崩壊していないところは、穏やかな感じのする森だ。

続いて、二重の丸太橋。

ここは、橋を渡れる。

小沢を越える。

ほとんど水は流れていない。

ここで、この道、前半の大崩壊地に到着。(13:15)

手すりのついた橋の残骸がある。

この谷を越える橋が崩れてしまったらしい。

webで調べてみると、なかなか立派な橋だったようだ。

斜面を横切る踏み跡がある。

ここを越えれば、この探検記も面白くなりそうだな。

どれどれ、少し進んでみる。

う〜む、ちょっと危ないかなぁ。

ここは探検記より安全を選ぶことにする。

まず、谷を大きく巻くために、斜面を登っていく。

次に、崩壊地の上部を横切る。

ここではドライバーを使う。

前半の大崩壊地をクリアーだ。

こうしてまたしばらくは、穏やかな道を進む。

モチノキ沢を渡河する。

この丸太橋は、崩壊寸前だ。

ゆっくり、そおっとわたる。

道は崩壊しているが、

道しるべだけは、しっかり残っている。

 

 

次の崩壊地は、手すりのクサリも崩落している。

やがて植林地帯を進むようになる。

ここまで荒れた道をずっと歩いてきたので、

植林地帯に入ると、なんだかホっとする。

 

板子屋沢をわたる。

この道は、沢を5回渡るが、

すべての沢に、沢の名前が書かれた看板が設置されている。

また植林地帯を離れ、原生林の中を行くと、

やがて周囲の木々がなくなって、

広いところにでる。

ここから見える西丹沢の山々は絶品。

スマートではない、ゴツゴツとした男性的な山だ。

見飽きることなく眺めてしまう。

土塁で整えられた道を進む。

玄倉林道ができる前は、この道でユーシンに入ったらしい。

わたしは今、そのころに歩いていた人と同じ道を歩いている。

そう思うと、その時代の人にめぐり合えたような気がする。

ベンチがある。こんな崩壊だらけの道に、

しっかりしたベンチが残っているのはなんとも不自然だ。

近くに石碑があるが、

文字は判読できない。

このあと、しばらくは植林地帯を歩いていく。

ヘビ小屋沢を越える。

激しく傾く丸太橋。

このあたりまで来ると、

丸太橋が傾いていることが普通になってくる。

ここは橋の下をくぐって、越える。

こうして、後半の大崩壊地に到着。(14:35)

ここが本日のメイン探険だ。

あまりに広範囲に崩壊しており、さらに木々に遮られ

その全貌を見ることはできない。

もちろん斜面を横切るのは難しい。

かなり大きく巻くことになる。

よし、大きく巻くぞ。

古いハシゴがあるので、ここから斜面を登っていこう。

しばらく急斜面のヤブこぎになる。

ここでもまた、ドライバーの登場だ。

今日はドライバーをよく使う。

シカ柵に出会ってからは、左方面に進み、

そのまま、シカ柵を見ながら登っていく。

ここは針金やバラ線が放置してあり

とても登りにくい。

すぐにシカ柵のドアがあるので、

ここをくぐる。

シカ柵の反対側は、荒れておらず、

登りやすい。

それにしても、かなりの急坂だ。

シカ柵につかまりたいのだが、

もしも足が滑ったときに指をケガする恐れがある。

アンヌ隊員に、シカ柵をつかまないように指示。

(しかし、しっかりつかんでいるアンヌ隊員)

やがて植林地帯の中に、管理道が見えてくるので、

そこに向かって進む。

管理道に沿って進むと、

またシカ柵沿いの道になる。

そして、シカ柵を越えると、

林業のモノレールがある。

これに沿って下れば楽だ。

かなりの急勾配だ。

こうしてベンチのある、広場に到着。

よし、大崩壊地をクリアーしたぞ。

ここで休憩。

 

 

次に植林地帯を進み、

この道の最後の沢、アッチ沢を越える。

こうして、山神峠に到着。(15:20)

 

大木に囲まれたこの峠は、自然への畏敬の念を感じさせる。

アンヌ隊員いわく、

「太古から続く、終わりのない時の流れを感じさせるところ」

そして、教訓作家の作品は、健在だ。

これも、終わりなく存在してほしい。

(頭の毛が三本「少ない」といいたい?)

さぁ、間もなく探検が終る。

玄倉林道まで行くぞ。

また崩壊地だ。

「日本百名崩壊地」を選べといわれたら、

この道は、絶対に落とせないだろう。

崩壊地マニアにオススメの道だ。

やがてシカ柵が現れる。(15:50)

このシカ柵の反対側に林道が見えてくる。

この林道は「山と高原地図」には載っていないが、

玄倉林道までつながっている道だ。

林道を下っていく。

タイヤの跡が残っているところを見ると、

最近も使われているのだろう。

およそ、30分の林道歩きで、玄倉林道に到着。

(16:20)

あとは林道をテクテク。

こうしてマイナー探検1号に到着。(16:40)

すばらしい探検に祝福を。

 

あとがき

・ユーシン渓谷は、深い谷間と切り立った崖が他の沢にはない魅力がある。

 来年もぜひ行きたい(浮き輪を持って)。

 

・玄倉川のルートは、初心者の沢登りルートとしてガイドブックに紹介されている。

 夏の沢歩きに最適なルートだが、増水時は沢の様相が一変する。

(増水時の玄倉川:2006年10月)

・山神峠から玄倉林道まで歩いた管理道は、「山と高原地図」には載っていないが、

 国土地理院の下記で確認できる。

 (地図の中心、十字のあるところが山神峠)

http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.aspx?b=352553&l=1390557

 

・マイナー探検1号に戻ると、ハッピー探検隊から置き手紙があった。ありがとうハッピーさん、Sさん。

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