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早戸大滝を攻略せよ。ヒルの攻撃にアンヌ隊員が大変だ

本間橋 〜 伝道  〜 雷滝 〜 早戸大滝 〜 

太礼ノ頭 〜 円山木ノ頭 〜 本間ノ頭 〜 本間橋

2010年6月26日(土)、天気:曇り、雨

行動時間 7:50〜15:30( 8h 20min )

探検メンバー : キリヤマ隊長、アンヌ隊員

 

今回は、早戸大滝を探検する。

この滝は、日本の滝百選に選ばれており、全貌が見えないその姿から、

幻の大滝と呼ばれる。

 わたしは2度目の早戸大滝、アンヌ隊員は初めての探検だ。しかし、

ヒルの攻撃に加えて、なぜか道迷いするキリヤマ。本当に大丈夫なのか。


雷滝、早戸大滝のハイキングコースを進め

早戸川林道、本間橋あたりの駐車スペースに

マイナー探検1号を駐車する。(07:45)

 

まずは、林道を歩いて魚止橋を越える。(07:50)

次に、魚止橋を越えて左折すると、

林道をショートカットできる

道がある。

ショートカットした先の林道を進む。

 

林道わきには、バス停などにヤマビルを

持ち込まないよう注意書き看板がある。

蛭ヒール星人の侵略をこれ以上許さない

ために、下山後はコニャロメタイムを

実施してほしい。

※コニャロメタイムは、M-K探検隊より伝授された、

 由緒正しい退治方法です。

魚止橋から15分ほどで、林道の終点に到着する。

ここから登山道が始まる。

登山道の入り口には、

立て看板がたくさん立っている。

なんと、早戸大滝までのハイキングコース案内看板もある。

実際には早戸大滝までのハイキングコースはないはず。

案内看板は、親しみのあるテイストで描かれている。

「さぁ、みんなも行こうよ、早戸大滝へ」的なイラスト。

さらに、右上の榛ノ木丸では「やっほー」している。

榛ノ木丸にも、メジャーな登山道がないはずだが…。

(ベテランの探検家にとって、大滝まで道のりは軽快なハイキングなのか)

榛の木丸に向かって道が付いている。

こちらからも大滝に行かれるらしい。

我が隊は、伝道沢を越えるルートを進む。

伝道沢をわたるとすぐに登山道入り口がある。

よし、いくぞマイナールート探検隊。

しばらくは、伝道沢の近くを進んでいく。

この付近は踏み跡がたくさんある。

さらに、テーピングもたくさんあり、

どれが本当の道なのか、とても悩ましい。

 

やがて、道はすぐに急な坂になり、

斜面を横切るように登った先からは、

尾根沿いの道になる。

そして、シカ柵に沿って進んでいくと、

造林小屋の廃屋が見えてくる。

 

ちょっと頼りない丸太橋を3つほど渡る。

最後にわたった丸太橋は、前回来たときよりも新しくなっている。

(振り返って撮影)

その先には岩場があり、ロープを使って越える。

こういったロープ場は、ベテランの探検家に

なったような気にさせてくれる。

やがて登山道は、早戸川の河原に出る。

ここで早戸川を渡る。

この橋は増水すると流される事がある。

2007年9月に来たときは、この橋が流されていて、

渡河できなかった。

渡河をして、しばらく左側(右岸)を歩くと、

沢にせり出すように岩場がある。

ロープがあるので、これを使って越えろということだろう。

わたしが先行で、続いてアンヌ隊員。

岩の上に立つと、岩場をへつる(横ばい)のための

ロープがある。ワイルドなルートに、アンヌ隊員も

大喜びだ。

 

ここは足場も乏しく、ロープにすがりながら進む。

これは、ハイキングというより、アスレチックだ。

ここまでとても順調だ。これなら

早戸大滝まで、楽しく探検できるだろう。

2回目の渡河だ。(08:55)

ここでアンヌ隊員は補給をとる。

この橋も、増水時には流されてしまうだろう。

少し進むと、岸が狭まってくる。

先行している沢屋のパーティは水の中をどんどん進んでいくが

我が隊は、左岸の河原を進む。

そして、河原がなくなった。よし、ここで渡ろう。

アンヌ隊員は、ここで沢シューズに履き替える。

わたしは、沢シューズを持って来なかった。

渡河のときだけサンダル履きになるつもりで

ビーチサンダルを持ってきた。

準備ができて、渡ろうとしたそのとき、

右側(左岸)の壁にロープと矢印を見つける。

なんとこれは、渡らずにここを進め、ということだ。

沢シューズになったアンヌ隊員。

足元がまったく滑らず、快適に岩を乗り越えていく。

わたしは登山靴なので、ちょっとスリッピーだ。

沢に沿って進めばいいのだが、どこを歩けばいいのか、

ちょっと迷うところが多いこのルート。

テーピングがたくさんあって、とても助かるが、

釣り師や林業のテーピングかもしれないので、

慎重に進む。

これは戦いだ。アンヌ隊員を救出せよ

すぐに雷滝への分岐に出合う。

この辺りを雷平というらしい。

(09:15)

分岐を知らせる看板がある。雷滝は右方向だ。

地図で現在地を確認するため、しばらく立ち止まる。

ところがここで、足元にヒルが出てくる、出てくる、

とにかく、たくさん出てくる!

まさに多勢に無勢。とても勝ち目はない。

どうやら雷平は、蛭ヒール星人の完全支配下にあるらしい。

立ち止まらずに、どんどん進むことにする。

すぐに河原がなくなる。

沢を渡るべきか、それとも沢の中を石を越えながら

進むべきか、判断に迷うところだ。

立ち止まって考えていると、

またしてもヒルが足元から登ってくる。

さっきよりもさらに多い。その数、とても数えられないほど。

 

と、ここで、アンヌ隊員

「うわー!!」

「いっぱい! いっぱい!!」

「きゃーたくさん!」

 

そうだ、思い出した。

アンヌ隊員はヒルの攻撃を受けると、

発狂するんだった

 

ヒルの攻撃はどんどん激化してくる。

とにかく、ここを移動したほうがいい。

アンヌ隊員は半狂乱だ。

「もぉ滝、見ない!」

「帰る!!」

などと騒ぎ始める。

 

(話している言葉が、単語だけになっている)

しかし、せっかくここまで来たのに

ヒルごときで撤退するのは、あまりにもったいない。

なんとかアンヌ隊員をなだめすかして進む。

 

沢シューズを履いていれば、沢の中を歩けるのだが、

登山靴で岩を越えながら沢の中を登っていくのは、ちょっと危ない。

 

結局、沢を渡ることにする。

沢を渡って少し進むと、

カーブが見えてくる。よし、あの先に雷滝があるはずだ。

そして、ついに見えてきた。雷滝だ。

なんと素晴らしい。感動だ。

 

なぁ、アンヌ隊員。苦労してここまで来て

よかったな。

聞いていない…。

アンヌ隊員はヒルショックで感情がなくなっている。

このロープの先を進むと雷滝の真下に出られるので、

記念撮影をしたいのだが、しかたない。あきらめよう。

 

こうして雷滝を後にする。

 

おお、アンヌ隊員、速い!!

とっても追いつけない。

あっという間に分岐まで戻ってくる。

立ち止まらずに、早戸大滝の方へ進む。

丸太橋をわたる。

丸太橋、というより、丸太を寄り合わせたもの

といった感じだ。

よし、ここなら、ヒルがいない。

とにかく、アンヌ隊員を落ち着かせよう。

おにぎりを食べさせる。

アンヌ隊員の沢シューズは、完全防備なので、

ヒルが靴の中に入れないことを

よくよく説明する。

これで少し安心したアンヌ隊員。

それでも、河原を歩くとヒルが寄ってくるので、

アンヌ隊員は沢の中を進むことにする。

わたしは、沢シューズではないので、

沢をわたらなければならない。

サンダル履きの渡河だ。

無事に渡河。ここでなぜかポーズ。

こんなことをやっていたら、ヒルに吸血された。

(アホだ)

河原のどのあたりを歩けばいいのかを示す

ケルンがたくさんある。

これなら安心だ。

アンヌ隊員は、沢の中を歩いている。

雷平から先は、沢の中を歩いたほうが

かえって安全なようだ。

こうしてまた沢を渡る。

今度は、丸太がかかっている。

利用するにはちょっと細すぎるが、

ここが渡河のポイントだということがわかる。

なぜか見つからない早戸大滝

そろそろ早戸大滝が見えてくるはずだが、

まだ先なのだろうか。河原はなくなった。沢の中を進む。

 

途中で沢が二叉に分かれている。左の支流の先に、滝が見える。

「ねぇ、あの大きな滝が早戸大滝なんじゃないの」

「ちがう。左は支流だ。あれは、ぜんせん関係ない滝だよ」

 

前回ここに来たときの記憶では、

とにかくまっすぐに進んでいけばいいはずだ。

しかし、アンヌ隊員は、なにかおかしい、道を間違えている、という。

 

わたしは、沢に沿って進めばいいとしか思っていないので、

アンヌ隊員の言うことには、聞く耳を持たない。

(よほどあせっていたのか、写真も撮っていない)

 

小さな滝や、ミニゴルジュが出てきても、真実一路。

とにかくまっすぐに進む。岩を登ったり下ったり、

登山靴で進むにはとても危ないところを、ムリヤリ進んでいく。

 

キリヤマ、なんでこんなに危ないんだ、いい加減にしろ

と少しキレ気味。それでも、まだまっすぐ進む。

やがて登山靴ではどうしても進めなくなってしまう。

アンヌ隊員が、絶対に間違っていると何度も言う。

 

ここに来てやっと、これはおかしいと思い始める。

そして、地図を取り出すと、

「あれ?、違うぞ、さっきの二叉を左に進むのが正解だ」

 

ホレ見たことか、とアンヌ隊員。

トホホのキリヤマ。

 

こうして二叉の分岐まで戻ってくる。(11:06)

先ほどの滝をよく見ると、確かに早戸大滝だ。

どうして見間違えたのだろう。

 

「ごめん、やっぱりアレが早戸大滝だ」

「さっきはぜんぜん関係ない滝だって言い切ったわ」

「いやいや、上のほうしか見ていなかったから」

「あんなに大きな滝をどうして間違えるの?」

アンヌ隊員、ここぞとばかしつっこんでくる。

 

それにしても、あの滝がぜんぜん関係ない滝だとすると、

いったい早戸大滝は、どんだけでかい滝なんだ、ということになる。

 

こうして、早戸大滝への道を進む。

早戸大滝へは、沢を詰めていけば

到着するのだが、岩場を越えるのに

苦労する。

 

巻き道があるので、こちらから進む。

ロープがたくさん設置されている、

かなりの急な斜面だ。

少し登ったこのあたりから

大滝の全景が見えるはずなのだが、

木々に隠れてしまっている。

斜面を下っていく道がある。

どうやら大滝の真下に向かう道のようだ。

よし、ここから下ってみよう。

しかし、アンヌ隊員はヒルが嫌で、

もう沢には戻りたくないという。

仕方ない。わたしだけ下ろう。

しかし、沢に下りてもやはり木々に遮られて

大滝があまり良く見えない。

このまま沢を詰めれば、大滝の真下にいける。

真下に行くか。

 

しかし、待たせているアンヌ隊員のことが心配なので、

あまり長居はしたくない。

せっかくここまで来て残念だが、ここで引き返すことにしよう。

アンヌ隊員のところまで登り返して、

巻き道をさらに登っていくと、大滝の上のほうがよく見える。

きれいだ。さすが早戸川、滝の本場だ。(滝に本場があるのか)

 

しかしアンヌ隊員は、早く尾根を登ろう、という。

「ヒルにみんな持っていかれたわ」、

「気力、知力、感性、食欲、すべて持っていかれたわ」と、

独特の感覚を述べる。

ヒルショックから立ち直れないアンヌ隊員は、

とにかく、ここから逃げたいらしい。

 

この道は、早戸大滝の落ち口付近を通過して、

丹沢三峰の稜線に向かっている。

しばらく進むと、斜面を横切る道を通過する。

ここから、はるか下の方に沢が見える。

今日一番スリリングなところだった。

大滝新道と書かれたお皿のある分岐に到着。(11:30)

ここから、落ち口へ下れる。

落ち口のそばまで行くと、

「これ以上近づくんじゃねぇぜ」

と言わんばかりのロープがある。

その向こう側は、あぁ怖ろしや。

まさに水が落ちるその場所。その向こう側に見える木々。

この2つの遠近感が違って見える。

さすが、約50mの落差のある滝。

遠近感までがちがう。

丹沢三峰へ退散せよ

早戸大滝を後に、丹沢三峰までの尾根を進む。

踏み跡がはっきりしない急な坂を、ぐんぐん登る。

尾根に鎮座する大岩を越えて、

さらに木の根だらけの切り立った稜線を越える。

やがて傾斜が少し緩んでくる。

道は不明瞭だが、わずかにテーピングがあり、

なんとなく目印になる。

アンヌ隊員、ここに来てようやく気持ちが回復してくる。

傾斜はきついが、

丹沢らしい原生林の木々が豊かなところだ。

 

やがてフキの葉がたくさんあるところを過ぎると、

丹沢三峰の稜線に到着。

(瀬戸沢ノ頭〜太礼ノ頭のところ)

よし、これで今日の探検は成功だ。

すごいぞマイナールート探検隊。

(12:30)

ここからまずは太礼ノ頭に進む。

途中で、昼食をとって着替えを済ます。

この後、少し雨が降ってくる。

気温が高いのでレインウェアは使わず、

雨に濡れながら歩いていく。

風がとても強く、森全体が揺れるような感じだ。

ときおり強く吹く風に、樹木が大きく揺さぶられ、

葉の裏側の明るい色が見え隠れする。

そのため、木々の葉がキラキラと輝くように見える。

 

雨も強くなってくるが、自然からの恵みをからだで受け止めているようで、

雨に濡れるのも、かえって心地いい。

この日の丹沢三峰は、毎日の生活の疲れを吹き飛ばしてくれるような、

そんな気がする稜線だ。

 

こうして、太礼ノ頭、円山木ノ頭を通過する。

そして、本間ノ頭の名物、長いハシゴを越えると、

本間ノ頭に到着。

本間ノ頭尾根のルートを探検だ

さぁ、本日の探検、その2。

本間ノ頭〜本間橋の尾根を下る。(14:05)

 

この道は、「山と高原地図(昭文社)」で

破線表記で、さらに“急坂、ロープあり”と記載されている。

わたしは、この尾根の下降が2回目だ。

数年前、この入口には、通行禁止の看板があった。

しかし、今はない。

この尾根は、とても分かりにくく、

以前から取材したいと思っていた。

よし、マイナールート探検隊の出動だ。

下り始めてしばらくは、明瞭な踏み跡が続くが、

やがて通せんぼするように、道しるべがぶらぶらしている。

残っていてよかった。もし、この看板がないと、

左折のポイントがとても分かりにくい。(14:15)

 

このあたりから道が不明瞭になってくる。

そして、2つめの道しるべを通り過ぎると、

尾根も道も明瞭でないところになる。

しかし、一度は下ったことのあるこの道。

大丈夫、ここはキリヤマウェイだ。

 

3つめの道しるべを通過する。

やがて倒れたシカ柵沿いの道になる。

このシカ柵はしばらく続く。

そして、左折のポイントに到着。

保安林の看板が目印だ。

尾根もシカ柵もまっすぐ進んでいるが、

ここは左折だ。(まっすぐ進むとヌタノ丸に向かう)

 

先ほど早戸大滝を間違えただけに、

アンヌ隊員が信じられないという顔をしている。

実は、前回来たときはここをまっすぐに下ってしまい

とてもわかりづらかったので、はっきりと覚えているのだ。

左折の方向にも道はない。

テーピングがあるが、これはまったく目立たない。

少し下ると、ロープが設置されている斜面がある。

ここが本間橋への登山道だ。

ロープがなければここが登山道とはとても思えない。

どうだ、アンヌ隊員。今日のキリヤマはすごいぞ。

 

しばらく降りると、尾根が明瞭になってくる。

たくさんのロープが設置されている。

このロープのおかげで、道をはずしていないことが分かる。

今度は、尾根を通せんぼするように

ロープが設置されている。

 

ここは左折。左折の先は明瞭な道が続く。

相変わらずの急な坂、しかも地面が滑りやすく、

ロープがないと、とても難儀するだろう。

 

やがて小さな沢を越える。

逆方向から来たときは、このポイントは分かりにくい。

ケルンがあるが、沢から登山道があることが見えない。

 

このまま沢沿いに下っていく

炭焼き跡の脇を通過する。

 

植林地帯を下っていく。沢をもう一度わたる。

ヒルが出てきそうなので、

アンヌ隊員はどんどん下っていく。

 

最後に茂みの中を通り、

魚止め森の家(旧、丹沢観光センター)の

入口に出る。

こうして、マイナー探検1号に到着。(15:30)

今日も、すばらしい探検だった。

 

あとがき

・ヒルの退治には塩がいい。アンヌ隊員がヒルアタックを受けたときに

 沢シューズが白くなるくらい塩をかけた。もちろん足についているヒルは一発で昇天。

 しかし、直接かけないと効果がない。また、忌避剤、ヒルファイターはヒルを

 寄せ付けないが、こちらも沢を渡ると流されてしまう。

 

・東京H氏から賜った、「丹沢・道志山塊・三ツ峠」(山と渓谷社、昭和54年版)を見ると、

 本間ノ尾根のルートが明記されている。このルートは古くからあるルートなのだが、

 今ではあまり使われないのだろうか。道が不明瞭で、分かりにくいルートだ。

 3回ある左折のポイントを見逃がさないようにしたい。

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