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気がつかなかった、ルートミス。大石山に登れ

寄 〜 雨山峠 〜 ユーシンロッジ 〜 大石山 〜 同角ノ頭 〜 檜洞丸 〜 西丹沢自然教室

 

2010年5月1日(土)、天気:晴れ

行動時間 7:20〜16:30( 9h 10min )

探検メンバー : キリヤマ隊長(単独)

 

今回の探検は、寄、ユーシン、大石山、檜洞丸の縦走を試みた。

(アンヌ隊員はコースがおにぎり向けでないことを理由に拒絶)

大石山は、現在とてもアクセスがしにくく、なかなか訪れることができない。

無事に大石山を取材できたキリヤマは、登山道をはずして歩いてしまう。

大丈夫なのかキリヤマ。

 

高低図

雨山峠を越え、ユーシンロッジへ
 

新松田駅からバスに乗り、終点、寄に到着。(07:20)

ここから登山道の入り口まで一般道を歩く。

 

やがて、寄大橋を左手に見ながらゲートを越える。(07:52)

ゲートから約20分、

登山道入り口に到着。(08:09)

ここから今日の探検が始まる。いつもの決めポーズだ。

三脚を出して、セルフタイマーで撮影。

いくぞ、キリヤマ。

登山道に入るとすぐに道が分かれるが、

どちらを行っても同じところに出る。

雨山峠までは、何度も沢を渡る。

沢をわたるポイントが、地図によって違う。

多くの地図でこの道は、現在の登山道と一致しない。

ただ、地図と登山道が一致しないことは、

今回の探検で気がついたことだ。

 

 

正しいルートはこれだ。

キリヤマ作成の地図「キリヤマップ」

(地図をクリックすると別ウインドウで表示)

わたしも、知らずに何度もここを歩いていた。

道を忠実にたどっていけば、迷わずに進めるので、

問題ないはずだ。

慰霊碑の横を通過して、さらに進む。

この慰霊碑について(これも別ウインドウで開くよ)

やがてヤセ尾根のクサリ場に出る。

先行を行く2人は、難なく越えていく。

このクサリ場は、地面が滑りやすい。

ちょっと緊張する。

 

このあとしばらくは、のんびりした道が続き、

やがて寄コシバ沢を越える。

 

 

崩れかかった鉄の橋と、丸太の橋を通過する。

丸太の橋は、危険なので上を巻く。

このあと、道は谷底を進むようになる。

大がかりな鉄のハシゴを登ると、

今まで陰になって見えなかった雨山が

不意にその堂々たる姿を見せて、目を驚かせる。

わたしは、ここから見える雨山がとても気に入っている。

そして、また谷底の沢沿いを進む。

登山道は寄沢の本流を進むのだが、

支流の方に間違えて進む人が多い。

この日も先行する探検家が支流に進んで

いくのが見える。ああ、間違えているなぁ。

「そちら間違えてますよ」と

親切に声をかけたが、

わたしも道を間違えていた。

この付近はテーピングがたくさんあり、支流にもテーピングがある。

(しかも、正しい登山道のテーピングと同じ色)

わたしのような未熟者にとっては、とても紛らわしい。

そして、雨山峠の直下にあるハシゴを登ると、

雨山峠に到着。(09:20)

昔の写真を見ると、かつてここから富士山が一望できたらしい。

現在では、立ち木でその全貌は見えないが、

雨山に少し登った所から富士山が見えるらしく、

探検家2人が登って行った。

雨山峠からユーシンロッジまで、

沢沿いのルートを下っていく。

とても険しい様相のルートだ。

荒々しい岩や急な崖は、

とても丹沢とは思えないほど迫力がある。

丹沢を知らない探検家に、ぜひ歩いてほしいルートだ。

やがて、とても危険なところに差し掛かる。

ここからは、立派な桟道さんどうがあるので、

安全に探検できる。

桟道を過ぎると、すぐに林道が見える。

県営林道、玄倉線だ。(09:50)

林道に立つと、すぐに青崩隧道の通行止めカンバンが目に付く。

青崩隧道は平成23年まで通行止めらしい。

 

林道をユーシンロッジ方面に進み、

橋を渡る。

橋の真ん中に立つと、眼前にこれから登る大石山が

ドッシリと座っている。

待ってろよ。これから行くからな。

ユーシンロッジに到着。(10:03)

現在は運営されていないが、荒れた様子はない。

しっかり管理されているようだ。

ユーシンロッジのお手洗いは、

絵本の古典「ちいさいおうち」を

イメージしたような建物だ。

(ちいさいおうち「岩波書店」)

ユーシンロッジは避難小屋として、解放されている。

ロッジの裏手に回ると、入り口がある。

ドアには間取り図が張ってある。

 

中に入ると、学校のような廊下だ。

電気もちゃんとしている。

部屋には、畳が敷かれ布団が2組ある。

カップ麺、レトルト食品もある。

 

もう一つの部屋は板張りで畳も布団もない。

水場は、水が止められているが、

とても整頓されている。

ユーシンロッジの玄関に戻ってくる。

ここには、公衆電話がある。

これはまだ使えるのかな?

受話器を取って、十円を入れると、

お、使えるぞ。

せっかくなので、我が家に電話してみる。

もしもし、アンヌ隊員、いまユーシンだ。

大丈夫、まだ道に迷ってない。

非常用の十円がある。なかなか配慮が届いている。

わたしも十円をいくつかおいた。

同角山稜を探検だ

さぁ、ユーシンロッジの探検はこれで終わりだ。

ここからが本日のメイン探検だ。大石山に向かう。

ユーシンロッジの正面左手にある立派な鉄橋を越えて、

その先を右折する。

すると、左方向に同角山稜の入り口がある。

ここから、同角山稜の長い縦走が始まる。

登り始めてすぐに、今までとはちがって、

傾斜がグッと急になってくる。

 

ユーシンロッジから大石山まで

累計高低差、約916m、距離1.8km

 

これはすごい傾斜だ。すぐに息が切れてくる。

少しペースを落として、ゆっくり登っていく。

すると、ひとしきり登った先に東屋が見えてくる。

きれいな東屋だ。

登り始めてすぐのところにあるので、

あまり使う人もいないだろう。もったいない。

東屋を過ぎると、しばらく平坦な道になるが、

すぐにまた、急坂になる。

鉄のハシゴやクサリも登場する。

だいぶ高度をあげてきた。

振り返ると、鍋割稜線が見える。

青崩隧道の通行止めにより、歩く人が少なくなったと

思われるこの道だが、トレースは明瞭で、歩きやすい。

これなら、安心して探検ができる。

そして、斜面をトラバースして、右にカーブした先に、

突然、ドッシリとした大きな岩が出現する。(11:00)

大石山の由来になった大石岩だ。

あまりに大きく、その全貌はカメラに収めることができない。

大石岩を巻くように登山道を進む(振り返って撮影)。

背後(?)に回ると、大石岩の上部を覗くことができる。

大石岩の上部から玄倉川の方を望む。

雨山から鍋割山の稜線も一望できる。

大石岩の上に立って記念撮影をしたいのだが、

とても怖くて、そんなことはできない。

軟弱な記念撮影になる。

さぁ、大石岩を堪能した。

次は、大石山のピークに行くぞ。

クサリ場や、鉄のハシゴを越えて

大石山の山頂に到着。(11:30)

山頂は立ち木も少なく、周囲の山々を見渡せる。

ベンチもあり、休憩ポイントになる。

 

ここからは、東丹沢が一望できる。

蛭ヶ岳から右に引いた線が、とてもきれいだ。

 

ここを訪れる探険家は皆、この景色をほめ称えている。

ここから望む東丹沢は予想通り、いや予想をはるかに越えてすばらしい光景だ。

 

風がちがう。山の色が違う。

山頂にはわたしの他は誰もいない。

まるで丹沢山塊を一人占めにしているようで、とても気持ちがいい。

 

はしゃぎすぎだ。

やがて、ユーシンロッジでお会いした2人のパーティが

到着する。1人ではしゃぐのもこれで終わりだ。

わたしは、先に出発することにする。

山頂を離れると目の前に、

石小屋ノ頭がその姿を見せてくれる。

左方向には、西丹沢の山々が、

そして群山の上に悠然と富士山が浮かんでいる。

急な斜面を、クサリを頼りに下っていく。

地面が細かい石でザレているので、滑りやすい。

かなり長いクサリ場だ。

(下から上に向かって撮影)

 

このあと、明瞭な登山道を進む。

ハシゴやクサリ場が次々に現れるこの稜線は、

丹沢でも屈指の難ルートといえる。

東沢乗越へのルート分岐に到着。

ここは、右方向に進む。

ここにある道しるべは、東沢乗越のルートを指してしまっている。

同角稜線の周囲は、とても急な斜面が多い。

間違えたルートを進んでしまうと、とても危険だ。

やがてベンチのあるピークに到着。

ここがおそらく、石小屋ノ頭だろう。

ここからは、西丹沢の大観をほしいままにできる。

深田久弥は、丹沢山塊をこう語った。

「ただ表尾根を歩くだけでなく、その奥深くに入れば、

 山の規模は大きく複雑で、容易にその全貌をつかめない」

(深田久弥「日本百名山」)

深田久弥が語った丹沢の奥深いところ。

それがまさしく、今わたしの目前にある。

 

続いて、同角ノ頭に向かう。

険しい登山道を登っていくと、

同角ノ頭、キレットに到着。

キレットとは、稜線の一部が急激に切れ落ちている場所のことだ。

橋の下は、崖だ。

丸太橋がなければ、とても越えられない。

キレットを通過した後は、

滑りやすい細かな石の登山道になる。

同角ノ頭の山頂に到着。(13:10)

山頂には誰もいない。

自分の立てる音のほか、何の物音もない。

静かな日よりだ。

同角ノ頭をたたえ、我が隊のテーマソングを歌うキリヤマ。

山頂でしばらくノンビリすごす。

道迷いしてるぞ、なぜ気がつかないのか

さぁ、ここからは木道が続く登山道だ。

昨年、ここを歩いた記憶もある。

ひたすら道に沿って歩いていけば、

石棚山稜、テシロノ頭付近の分岐にいたるはずだ。

お、さっそく木道だ。

これから木道をずっと歩くはずだ。

そしてこの写真を最後に、わたしは登山道をはずして歩いていく。

後に、このときのことを振り返ってみても、

どこから道をはずしたのか、よくわからない。

 

だが、このあと長く続くはずの木道も、鞍部の中ノ沢乗越も通過しなかった。

このことを考えると、山頂を下り始めてすぐに道をはずしたらしい。

おそらく、左折のポイントを逃したのだろう。

 

しかし、わたしはそのことに気がついていない。

正しい登山道を歩いていると思い込んでいる。

ともすれば見失いそうな踏み跡だ。写真を撮っておこう。

なんかヘンだ。こんなに、分かりづらい道だったかな。

(早く気がつけ)

そろそろ長い木道や、中ノ沢乗越の道しるべがあるはずだ。

(ないない)

おかしいな。まぁ、とにかく我慢して歩けば、

石棚山稜、テシロノ頭分岐に到着するはずだ。

(おいおい)

ついに、道がなくなった…。

(戻れ)

少し高いところに登ってきた。

登山道はない。

(戻れ〜!)

おお、これは登山道だ。

なんだ、わずかに道をそれただけだ。

(わずかじゃないぞ)

このとき、どうやらツツジ新道の手前に出たらしい。

道をはずしてからの軌跡は想像だ。

このとき、わたしはまだ気がついていない。

この先に長い木道、中ノ沢乗越があると思っていた。

目前には見たことのある山、これは大室山だ。

あれ ??。 今は石棚山稜、テシロノ頭分岐に向かっているはずだ。

(ここが石棚山稜だ)

なんでこの山が見えるんだろうか。

まぁ、細かいことは気にしないでいいか。

(こらこら)

 

あれ??、ここはツツジ新道だ。

石棚山稜は、どこにいったの?

テシロノ頭分岐はなくなったのか?

(ちゃんとあります)

こうして、檜洞丸の山頂に到着。(14:36)

ゴールデンウイークの初日の今日、

たくさんの人出を想像したが、

時間が少し遅いせいか、探検家の姿はあまりない。

さぁ、ツツジ新道を下るぞ。

ここで、大石山で一緒だった探検家にまた会う。

 

わたし:「ツツジ新道にいつの間にか到着しました」

探検家:「登山道を外れてトラバースする道がありました」

うむ、その道をわたしは進んだらしい。

しばらくは、出会った探険家と一緒にツツジ新道を下ってくるが

わたしはバスの出発時刻の前に沢で水浴びをしたかったので、

先に行く。

ツツジ新道は走るつもりだったので、

トレイルランニング用の靴をはいてきた。

 

ゴーラ沢出合を通過。

その後も、走って下る。

こうして、西丹沢自然教室のバス停に到着。(16:30)

出発してから9時間20分。長い探検だった。

あとがき

 

・今回の探検は、今まで何度も行きたいと思っていたのだが、長い道のりを考え躊躇していた。

 だが、「丹沢・駆け巡り」木の葉氏の写真や、最近いただいた東京H氏のメールに勇気付けられ

 決行する気になった。結果、大石山の山頂からの景観はすばらしかった。

 やはり無理をしてでも探検してよかった。

 

・同角ノ頭からの道迷いは、いったいどこを歩いたのか、とても不思議だ。

 疲れてかなりノンビリ歩いたはずなのに、標準コースタイムより10分以上早くツツジ新道に到着した。

 ヤマレコで探検記をアップしているY氏によると、あの付近に獣道があるという。その道を進んだのか。

 いずれ再訪して確認したい。

 

・バスの臨時便が出ていた。2台のバスが西丹沢自然教室に停車。

 そのうちの一台が、普通車の駐車場のスペースに大型バスを難なく駐車。

 当然だが、前方がはみ出ていた。

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