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探検戦線、異状アリ。鍋嵐山に向かえ

煤ヶ谷 〜 物見峠 〜 鍋嵐山 〜 辺室山 〜 土山峠

2010年3月14日(日)、天気:晴れ

行動時間 8:40〜16:10( 7h 30min)

探検メンバー : キリヤマ隊長、アンヌ隊員

 

我が隊は宮ヶ瀬湖の近くにある鍋嵐山を探検。

この山は、地図に登山道がない。ということは、

これは無名道の探検だ。

しかし、現地は地図で見る以上に地形が複雑で、道迷いの連続。

これ以上は危険だ、戻るべきとキリヤマ。

大丈夫だ、進むべきとアンヌ。

誰もいない山中で、夫婦喧嘩となる。

果たして、無事に鍋嵐山に到達できるのか。

そして、2人は仲良く下山できるのか。

 

 いくぞ、マイナールート探検隊。

 

静かなる里山、物見峠へ

仏果山、登山道入り口付近にある駐車場に

マイナー探検1号を駐車して、自転車の用意をする。

(08:42)

自転車で県道を厚木方面に下って、

煤ヶ谷のバス停付近を右折、谷太郎林道に入る。

(09:07)

谷太郎林道を進むと、すぐに分岐に出合うので

右へ進み、坂を登っていくと、

すぐに物見峠への登山道入り口に到着する。

ここに自転車を止めて、山道を進む。

(09:23)

農業用の道をしばらく進むと、すぐに細い道になり、
シカ柵を越える。

そして、植林の間を進む道になる。

道の両側が土手のように高くなっている道は、

いかにも里山らしい感じがして、とても心地がいい。

5分ほど進むと、倒木が道をふさいでいる。

ここは、斜面側に大きく巻くことにする。

倒木の根の上まで登る。

とても大きな木だ。

その先には、丸太橋があり、

さらに倒木をもうひとつ越える。

ゼンマイを見つけた。

里山探検では、こういった小さな植物を見つけられる楽しみがある。

 

この道は、しっかりと踏みしめられ、

安心して歩ける。

穏やかな上り坂が続く。

ハイキングに最適な道だろう。

今日は出発がいつもより遅い。

しかし、アンヌ隊員のおにぎりタイムは、もちろん定刻通りだ。

物見峠への分岐に到着。

ここにはベンチがある。(10:37)

物見峠までの登山道は、崩壊しているらしく、

迂回するよう警告看板がある。

崩壊地を越えろ

もちろん我が隊は、崩壊している登山道に

進む。行くぞ、マイナールート探検隊。

斜面を横切る登山道を進む。

残雪が登山道を覆っているところが続き、

登山道の端を歩かねばならない。

とても緊張する道だ。

しかし、崩壊しているところは

なかなか出てこない。

崩壊個所はすでに修繕されたのだろうか。

それとも残雪に隠れて見えないのだろうか。

登山道は丸太で縁取られており、

しっかりしているところが多い。

先行した探検隊の足跡を

そのままトレースして進む。

歩幅が大きいので、アンヌ隊員の歩幅と一致しない。

そして、ついにでた。崩壊個所だ。

登山道の一部が落ちている。

こうして物見峠に到着。(11:10)

物見峠は名前から想像すると、展望がいいのかもしれない。

この日はあいにく、遠方は見えなかった。

次に物見峠から辺室山への登山道を進む。

分岐がある。左が正解だ。

やがて、鍋嵐山への分岐に到着する。(11:30)

この分岐には、小さな祠がある。

ここで昼食をとる。

道がわからなければ、転進せよ

丹沢の登山ガイドには、鍋嵐山は上級コースとして紹介されている。

 「道しるべのない、ルートファインディングが必要なバリエーションルートの山である。

 地形図・コンパス・ GPSなど、しっかりした用意と準備をして出かけてほしい」

 (ヤマケイアルペンガイド「丹沢」(山と渓谷社))

むむ、これはソソられる。探検家冥利に尽きる山だ。

(11:55)

まずは、探検隊の歓迎看板が我々を迎えてくれる。

その先には、ロープ場がある。

今までのゆったりした一般の登山道とは様相が変わって

鋭い山稜が続く。

隣の辺室山が一望できるポイントに着く。

辺室山は、なだらかな稜線の山なので

なかなかどっしりとした感じがする。

 

ともすれば、見失いそうな踏みあとを拾いながら進んでいく。

両脇が切り立った尾根や

尾根を迂回するように登山道が進んでいる。

やがて小さなピークに達する。

あれ?

道がなくなっている。

ヘンだな。

まさかここが鍋嵐山ではないよね。

ここはどこだろう。

どうやら道をはずしているようだ。

少し戻ってみよう。

ここに分岐がある。

ここからもう一度考え直しだ。

こっちは、先ほど進んだ分岐右、

分岐の左にも道が付いているが

先には道がなくなっている。

左ではないようだ。

もう一度、小さなピークのある方向、

右に進む。

テーピングがたくさん付いているところがある。

なにやら、ここがくさい

よく見ると、茂みの奥に道があるような気がする。

おお、道が続いている。

こっちが正解だろう。

細い尾根をたびたび立ち木がふさぐ。

足を滑らせたら、滑落だ。

緊張しながら迂回する。

このあたりまで来ると、

人がほとんど入らない静かな山に

気持ちが引き寄せられるような感じがしてくる。

そして、人知れずひっそりとたたずむモミの木との出会い。

自分の気持ちも静かになってくるような、

そんな落ち着いた気分になってくる。

ここでアンヌ隊員

「帰りにおでんを食べられるかしら」

「いいけど、なんで突然おでんの話題なの」

「朝、コンビニにおでんがなかったから」

(あまり理由になってない…)

アンヌ隊員は、植物に対してとても造詣が深いのだけど、

山に来ると、とにかくおなかが減るらしい。

さらに進むと、木の根に取りすがるような、急な坂になる。

丹沢の登山道では、このような坂には丸太の階段があるのが普通だ。

しかし、一般の登山コースから外れているこの道には、

もちろん丸太はない。

 

よし、木立の先に頂上が見えてきたぞ。あと少しだ。

やったぞ、ついに鍋嵐山の山頂だ。(12:54)

山頂から今度は、宮ヶ瀬湖方面に下っていく。

最初はいきなりの急坂だ。

ゆっくり少しずつ下っていく。

やがて残雪のある斜面になる。

足場が滑りやすく、とても危険だ。

一度足を滑らせたら、

斜面をスキーのように滑ってしまう。

持っているロープは、リュックの奥だ。

このような急な斜面では、取り出すことができない。

事前に出しておくべきだった。

すぐ下に見える鞍部まで下ってしまえば、

あとは雪がなくなる。そこまでの辛抱だ。

なんとか、鞍部に到着する。
そしてひとしきり登ると、

小さなピークに立つ。

ここで、地図を確認。

立ち木に隠れてよく見えないが、

目の前にピークが見える。

地形図を見ると、このピークはない。

なぜだろうか。

周囲をくまなく地形図と照らし合わせる。

現在地はここでいいはずなのだが、なぜ目の前の地形が一致しないのか。

 

時間もない。このまま下るのは危険だ。今日の探検は中止にしよう。

「戻るぞ、アンヌ隊員」

「えー大丈夫だよ、このまま下りましょう」

「いかん、戻るぞ」

「戻るのはいや。ここを下りたいわ」

誰もいない山中で夫婦喧嘩が始まる。

しかし、こんなところで夫婦喧嘩をしている場合ではない。

位置が分からないまま下るのは、危険すぎる。

ここは隊長の威厳を持って転進とする。(13:43)

辺室山を通過して帰還せよ

先ほどの残雪の斜面を登ってくる。

登る分にはそんなに危険ではない。

こうして、鍋嵐山の山頂に戻ってくる。

すぐに山頂を離れ、急な坂を下っていく。

振り返ると先ほどいた地点が見える。

矢印が先ほどまでいたピーク。

その右側に、やはりコブがある。

どうして地形図と一致しないのか。

その謎はいずれ解決するだろう。

今日はとても残念だが、何度もチャレンジするほうが、

探検がより面白くなる。

ロープ場を下っていく。

おーい、もっとゆっくり下ったほうがいいぞ。

と言っているそばから、

すっころぶ。

登山道の分岐へ戻ってくる。(14:31)

ここからはトレイルランニングで、

どんどん、下っていく。

仏果山、高取山の稜線がどっしりと座をかまえている。
やがて辺室山が見えてくる。
ひとしきり登ると、

辺室山の山頂に到着。

立ち木に囲まれた、展望のない山頂。

道しるべがポツンとあるだけだ。

そして土山峠までは、なだらかな下りになる。

やがてこの尾根のシンボルツリーにふさわしい

モミの巨木に出会う。

丹沢には、標高が低いところにモミの巨木が多い。

このモミの木の樹齢は、いったいどのくらいだろうか。

触れてみたり、軽く押してみたりすると、

力強いモミの感触が伝わってくる。

見上げると、枝っぷりもしっかりしている。

風が吹くと、合間から透けて見える空が、

キラキラと輝いて見える。

近くの地面には、モミの木の幼木がある。

こんなに小さな幼木が、あんな大きな木になるだなんて、

とても不思議だ。

しばらく下ると、祠が2基ある。

先ほどの祠と同様、コンクリート製の祠だ。

やがて県道が見えてくる。

このあたりが土山峠だ。

そして、県道をてくてくあるいて、

マイナー探検1号に到着。

充実した探検に今日も感謝だ。

あとは、自転車を回収する。

 

あとがき

 

大山三峰に向かう登山道にはこんな看板がある。

「無理をしないで引き返す勇気が必要です」と

最大級の警告表現で危険を知らせている。

今日の鍋嵐山への探検は、まさに勇気ある転進だ(我が隊に撤退はない)。

この山へ、いずれまたチャレンジするときがくるだろう。

待っていろよ、鍋嵐。

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