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源造尾根を調査だ。ナイフエッジに注意しろ

神ノ川ヒュッテ 〜 広河原 〜 源造尾根 〜 檜洞丸

2009年12月29日(火)、天気:晴れ

行動時間 8:00〜15:20( 7h 20min)

探検メンバー : キリヤマ隊長、アンヌ隊員

 

今回は、源造尾根を探検する。この尾根道は林道歩きが長く、

アクセスしにくい。したがって、人気のないマイナールートだ。

 美しいブナ林を堪能するキリヤマ隊長を待っていたのは、

崩壊した尾根。そして踏み外せば命はないナイフエッジ。

隊長としての威厳を保ちつつ、危険な個所に挑むキリヤマ。

これは訓練に最適なコースだ。

 いくぞ、マイナールート探検隊。

 

今回の写真は、画像が荒れてます(カメラの設定を間違えた)。

ワイルドな画像をお楽しみください。

 

源造さんによろしく

神ノ川ヒュッテ付近に、マイナー探検1号を駐車。

ここから、広河原まで林道を進む。(07:55)

ゲートを越え、まずヤタ尾根入口を通過。

次に、風巻ノ頭への入口を通過して、

孫右衛門沢の滝を右手に見る。

滝の上部は見えるが、下部は橋の下になっており

全景を見ることができない。

立派な滝だが、その全景を写真に収めるのは困難だ。

続いて、孫右衛門トンネルを通過。

沢を挟んで左手には、風巻ノ頭から袖平山までの稜線が見える。

そして、小洞トンネルを通過する。

林道の下には、神ノ川が大きく流れている。

緑が多い時期とはちがい、灰色の景色だ。

(2008年10月のこの場所→)

周囲の木々はすっかり葉を落として、ホウキのよう。

神ノ川を下に見ながら、ずっと林道を進んでいくと、

立派な鉄橋、ヒワタ沢橋を渡る。

神ノ川ヒュッテから約45分。

林道が大きくカーブするこの地点から、

沢沿いに進む。(08:40)

眼下には広河原が見える。名前の通りとても広い河原だ。

植物が生えていないところをみると、

この川幅いっぱいに水が流れることがあるのか。

 林道から、源造尾根を一望できる。

 

ここでアンヌ隊員は、これからの探検に備えて補給をとる。

たくさん食べた。いよいよ源造尾根の入口に向かう。

この道しるべがなければ、入り口を見つけるのは困難だろう。

 

この付近は、秋にはフジアザミが

たくさん咲く。少し刺激的な表情を

持つのこの花。しかし冬のこの日、

フジアザミはひとつもない。

(2008年10月のこの場所→)

このあとも2つ道しるべがある。
道しるべにしたがって、堰堤の上流を反対岸に渡る。

反対側に渡ると、また道しるべがある。

ここからが源造尾根。

いよいよ探検の始まりだ。(09:00)

源造尾根の入口付近は、

落ち葉がつもって、道が少し不明瞭だが、

しばらく登ると、道が明瞭になってくる。

植林帯の中をジグザグに登っていくと、

やがて稜線に到達する。広河原から10分ほどだ。

尾根に出たら右折して進む。

(右折して、源造尾根の方向を撮影)

ここを逆コースで下ってきたときは、

846m方向へ進んでしまいそうになる。

わかりづらいポイントだが、

テーピングが目印になるだろう。

 

ためしに846m地点に行ったが、何もないピークだった。

源造尾根を進んでいくと、意外にも道は明瞭だ。

源造尾根は、山と高原地図では点線で記されているので、

かなり荒れた道を想像していた。

 

周囲の様相から、林業の作業はここ数年

なされていないことが想像される。

やがて右下に彦右衛門沢が見えてくる。

この沢は、彦右衛門さんに由来した沢なのだろう。

先ほどの孫右衛門さん、そして彦右衛門さん。

どちらも江戸時代の一般的な人の名前だ。

このあたりは、古くから人が入っていたのだろう。

そして今歩いている源造尾根の由来は、

この先の右下にある源造小屋谷だ。

源造さんの小屋のあった谷、といったとこだろう。

昔はこのあたりにキコリや猟師が入ったのか。

歴史の深みを感じる道だ。

後方には、風巻ノ頭が見えてくる。

こうして眺めていると、美しく気高い。

名山の風格をもっている山だ。

葉の落ちてしまった周囲の樹木の合間を

縫うように歩いていく。

山は眠ってしまっているように静かだ。

今日は、標高1600mの檜洞丸を目指す、

なかなか登りでのあるコースだ。

●累計標高差

 ・源造尾根(ここ):570m

 ・コース全体:1150m

根だけが残った巨木がある。

スペインのサグラダ・ファミリア風だ。(→)

この付近にある植林は、木と木の間が少し離れているので、

枝葉が多い。冬になっても葉を落とさない常緑樹は、

植林地帯にもかかわらず、原生林のような感じがする。

 

枝は伐採されていないようだ。

植林の間引きも行われていないのかもしれない。

そのおかげか、少し離れて見ると樹形がきれいだ。

本来のスギ、ヒバの形、三角形になっている。

左手に見えるはずの、蛭ヶ岳は深いガスにおおわれて、

まったく見えない。

このあとも、急な坂をずんずん登っていく。
ナイフエッジな尾根を越えよ

やがて標高1100mを越えると

ブナがちらほら見え始める。

少し開けた場所に出る。

ブナの原生林が広がる。

お弁当を広げて、ゆっくりしたくなるようなところだ。

緑の多い暖かい日になら、一息入れただろう。

ここは、金山谷沢の支流の源頭部だ。

まっすぐ下に向かって谷が続いている。

ずっと先まで見ていると、引き込まれそうな感じだ。

だが、ここはとても道が分かりにくいところでもある。

あちらこちらにテーピングがあり、逆コースで下ってくるときは、

見落とさないようにしたい。(登るときには問題ないが…)

やがて、1244m 地点の広いピークに到着。

広河原から1時間30分かかった。(10:32)

枝の合間から、こんもりとした檜洞丸が見える。

そして、はっきりしない道を進んでいくと、

ピークを下り尾根の鞍部に出る。

間違った方向へ進まないように、ロープが張ってある。

このロープがなければ、間違いなく、道をはずしていた。

道しるべもあるのだが、文字が薄くなって読めない。

とはいえ、正しいと思われる方向には、

まったく道がない。

むむ、これは道迷いしそうだ。

隊長としてカッコイイところを見せねば。

道はなくても、地形図を頼りに進んでいくと、

すぐに平坦な場所になり、踏みあとが出てくる。

ともすれば、見失いそうな踏みあとだ。

巨木のあるヤセ尾根を通って、

また、平坦な所になる。

このあたりは、天王寺尾根の感じに似ている。

やがて、ヤセ尾根の崩壊地に出る。

尾根の左側がえぐれるように崩れているところだ。

垂直に落ちる崖…を撮影したのだが、

写真では平らに見えてしまう。

(写真の奥が真下)

こんな感じ。

通りすぎてから、崩壊地を振り返って撮影。

とてもナイフエッジなところだ。

続いて、樹木に隠れているが、

もっと鋭いナイフエッジを通過する。

滑落しないように慎重に進む。

この付近に支尾根があるので、逆コースで下ってきたときに迷いやすい。

枝にからみつくようにテーピングがたくさんある。

(振り返って撮影)

こうしてヤセ尾根をずんずん登っていくと、

ようやく、ヤセ尾根地帯を通過。

次は急斜面だ。

ロープを頼りに登っていく。

その先には、またしても危険個所。

足元の右は急斜面の崖だ。

次々に危険なところが出てくる。

なかなかスリリングな道だ。

最後に、ひとしきり急な坂を登ると、
臼ヶ岳、檜洞丸の稜線に到着する。

よし、これで今回の探検は成功だ。(11:13)

広河原から約2時間10分かかった。

到着したところは、

金谷乗越あたりのクサリ場だ。

前回ここに来たときは、緑が濃かったが

今日は寒々としている。

(2009年6月のこの場所→)

源造尾根の分岐には、道しるべがあるが

文字は読めない。

臼ヶ岳方向を向いて源造尾根の入口を撮影。

<
ファンタジックな氷世界へ

次は、檜洞丸に向かう。

標高が上がってくると、常緑樹がなくなる。

そして、傾斜がグッと急になってくる。

しばらく登ると、青ヶ岳山荘が見えてくる。

青ヶ岳山荘を避難所代りに、

ここで昼食をとることにする。(12:10)

檜洞丸の山頂を見ると、木々が樹氷している。

霧のなかに白く浮かんでいる樹氷を

じっと見つめていると、気持ちが穏やかになってくる。

しばらくすべての憂いを忘れてしまう。

振り返って臼ヶ岳方向を望む。

緑の季節もいいが、冬は樹氷の楽しみがある。

(2009年6月のこの場所→)

昼食後、山頂に到着。

頬の痛いような凛烈りんれつな寒さ。

気温は相当低いはずだ。

こんなところには長くいられない。すぐに出発だ。

だが、厳寒の山頂でノンビリ過ごす男女のパーティもいる。

しかも、男性はセーター姿。寒くないのかな。

次は、熊笹ノ峰に進む。

ところがなんと、階段が真っ白に凍っている。

とても滑りそうで危険だ。ここで、アンヌ隊員に

「ゆっくり下れ」と指示を出す。

といっているそばから

アンヌ隊員は、すってんころりん。

(ウケをねらってるのか)

これから進む熊笹ノ峰が見える。

すぐ下のほうはもう凍っていない。

どうやら頂上直下だけが寒いようだ。

崖の手前まで凍っている階段。危険だ。

ここで滑ったら、まっさかさま。

頂上からものの10分も下ると、凍っていない。

これでビビらずに歩ける。

木の階段を下り、岩場を越えると、

ブナの美しい、熊笹ノ峰の稜線を進む。

そして、ヤタ尾根の分岐に到着する。

ここからゴールまではずっと下りだ。

2分ほど下ると、このブナに出会える。

ヤタ尾根のシンボルツリーだ。

ヤタ尾根はとくに危険な所もない、

安心して下れる登山道だ。

途中で尾根が広くなるところがあるが、

道しるべがしっかりしており、道を失うことはない。

ブナ林の中をゆっくり下っていくと、

やがて植林地帯の中を歩くようになる。

そして、林道を挟んで、

さらに植林地帯を下っていく。

標高が下がってくると、

常緑樹の緑がきれいになってくる。

そして、もう一度林道に出合う。

ここまでくればゴールは近い。

こうして、マイナー探検1号に到着。

今日も無事に戻ってきた。

 

あとがき

源造尾根は、木々の感じがなかなかやわらかく、

とても心地がいい。ぜひもう一度、緑の時期に歩いてみたい。

ルートファインディングに自信のある人は、下りで使っても面白いかも

しれない。ただ、道に迷うとどうなるかは、無責任なキリヤマには

わからないので、ご注意を。

 

 

檜洞丸の山頂には犬越路ルートへ進む人への注意書きがある。

「皆様」、という丁寧な呼びかけから始まり「心身、時間とも十分な

ゆとりが必要」といった、心のありかたまで書かれている注意書き。

松田警察署の発表によれば、このコースは事故が多いらしい。

 確かにこのルートは危ない。とくに大笄のクサリ場は、表尾根の行者ヶ岳

クサリ場に並ぶ難所だ。さらに岩場にかかる鉄のハシゴは、雨の日には

とてもスリッピーな悪場となる。かつて我が隊も雨天時、このコースを標準

コースタイムの倍近くかけて下ったことがある。下りには不向きなコース

かも知れない。しかし、登るとダイナミックな登山が楽しめる。わたしの

お気に入りコースだ。

 

このルートの探検記録はこれだ。

登り No12:檜洞丸で切磋琢磨だ

下り No18:矢駄尾根で精神鍛練せよ

「皆様、犬越路への道はツツジ新道に比べて急斜面、崩壊地、岩場や

狭い箇所が多いため、心身、時間とも十分なゆとりが必要です。

つまずいたり滑ったりすると重大な事故につながりかねません。

くれぐれもご注意ください。 神奈川県自然環境保全センター」

 

 

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