今ならまだ間に合う。地獄棚沢の経路は残っているのか

2016年4月23日(土)

大滝橋 〜 地獄棚沢 〜 作業経路 〜 屏風岩山・東峰 〜 大滝橋 

 

地獄棚沢から一軒小屋避難小屋まで、作業経路でつながっているのをご存じだろうか。

この経路は、かなり前からあるらしく、消滅するのもあとわずかだろう。

そこで完全に消えてしまう前に、もう一度歩いてみることにした。

ヤマレコに、GPS軌跡をアップしました

 

 

大滝橋の駐車スペースに

マイナー探検1号を駐車する。

東海自然歩道のサブルートで

大滝峠方面に向かって林道を進む。

マスキ嵐沢の出合の少し手前から、

登山道を離れて、沢に下りる。

 

マスキ嵐沢と分かれているところから

沖箱根屋沢に入る。

ここは登山靴でも歩ける沢なので、

寄り道して地獄棚を見物する

登山者も多い。

渡河を繰り返しながら

登っていく。

堰堤は設置されたロープで

越える。

登山靴では滑りそうな

ナメ滝を越えると、

地獄棚沢のF1に到着する。

 

ここは私のお気に入りポイント。

水しぶきがまわりの空気の中に溶け込み

とても気持ちがいい。

アンヌ隊員は、やっぱり

おにぎりタイム。

ここ地獄棚沢は、落石がとても多い。

 

沢は谷の一番下にあるものだから

まさしく落石の終着点。

落石が多くて当たり前かもしれない。

あんなところにも落石がある。

ずいぶんと大きな石だ。

 

さて、地獄棚F1のすこし下流

右岸にある巻道が今日のターゲットだ。

行くぞマイナールート探検隊!

登りはじめは、

いつもの急登だ。

作業道は、落ち葉や土に隠れて

しまっている。

明瞭ではない道を拾いながら

登っていく。

トラバースするところは、

滑ったり、踏み抜いたりする

かもしれないので、慎重に。

 

落ち葉が道をすっかり覆っている。

滑りやすく、危険だ。

ここはドライバーで乗り切る。

地獄棚のF1の巻道、

沢への下降ポイントを通過する。

尾根に到達すると道がはっきりと

しなくなってくる。

この経路は、一軒小屋避難小屋まで

続いているはずだが、途中で崩れて

しまっているかもしれない。

道が残っているところもあるが、

谷側へカーブするポイントは

崩れており、またまたドライバーが必要だ。

やがてシカ柵沿いの道になる。

この先にある丸太橋が今日の

メイン探検だ。

これだ。

ここは前回来たときも、危険な丸太橋だった。

今回は橋の下がごっそり崩れており、

その下は垂直な崖。

さらに危険な橋になっている。

 

橋を渡っているときに、周囲の土が崩れたら

滑落ではなく、落下だ。

 

うーん、この高さなら死亡だな。

うまく生き残れても下半身は

おしまいだろう。

改めて近くまで寄って確認する。

金網につかまれば大丈夫か。

完全に崩れ落ちたらどうなるのか。

 

考えすぎかな。行ってみるか。

しかし、いろんなことが頭をよぎる。

救助のヘリ、入院。翌日の仕事。

 

アンヌ隊員はとても楽観している。

「きっと崩れないわ、行きましょうよ」

「崩れなくても、橋が傾いたら滑り落ちるぜ」

「そうしたら、金網につかまればいいわ」

「アンヌの力では網につかまっていられないぞ」

 

よく見ると、シカ柵がめくれあがっている

ところがある。

ここから柵をくぐって、山側を通れば

丸太橋を通らないで崩壊地を巻くことが

できるだろう。

よし、行ってみよう。

しかし、上手く崩壊地は越えられたが、

今度は柵の外側に戻ることができない。

柵は途切れることなく、ずっと続いている。

その先で柵は山頂に向かって伸びている。

このままシカ柵沿いに登るか、引き返すか。

よし、これ以上は進めない。戻ろう。

我が隊のオハコ、転進だ。

今日の探検は、これにて中止。

ところが、転進をしようとしたら、

別な作業道を発見する。

 

山の斜面をつずらおりになって

上の方に道が続いている。

よし、今日の探検はこっちに変更だ。

 

作業道は、かなりはっきりしている。

おそらく最近の作品と思われる。

周囲を見渡すと、植林の枝が伐採されている。

どうやら植林の管理道らしい。

やがて尾根にでる。

きもちのいい道が続いている。

 

地図を見ると、この尾根の行きつく先は

屏風岩山の東峰らしい。

(おにぎりタイム)

ヒバ(ヒノキ)の幼木がある。

仕事中の植林地帯だ。

道幅の広いところがある。

ゆうに2人が並んで歩ける。

こんなに広い道は珍しい。

やがて道がしょぼくなってくる。

どうやらここまでのようだ。

道のない尾根をガサガサと

しばらく上る。

またシカ柵だ。シカ柵の向こう側に

もう一つのシカ柵がある、二重の柵だ。

二重の柵は、尾根に沿って続いている。

シカ柵に沿って進みたいのだが、

樹木が乱立しており、進むことができない。

まさしく、シカ柵トラップだ。

いったん下ってシカ柵を

越えられそうなところを探す。

しばらくシカ柵沿いに下ってみると、

前方をシカ柵に囲まれてしまう。

 

シカ柵を越えて、二重のシカ柵の間に入らないと

このトラップを抜けられない。

シカ柵の扉には、鍵がかかっている。

入れないか。うーんこれはもう無理か。

あきらめて、来た道を戻るか。

「シカ柵を越えるのは危ない。戻ろう」

するとアンヌ隊員が怒り始める。

「行かれるわ、慎重になりすぎよ!」

 

越えるときにケガをしそうで怖い。

でも、アンヌを怒らせる方がもっと怖い。

しかたがない。ここはシカ柵を越えよう。

 

こうして、シカ柵を越える。

私が心配した針金で手を痛めたり

衣服にひっかけたりといったことは

まったくなく、じつに簡単に越えられた。

アンヌは何も言わないが、得意顔だ。

 

こうして二重のシカ柵の間に入ることができた。

このままシカ柵の間を進めば、尾根に沿って

登ることができる。

 

シカ柵トラップを無事に抜けると

静かな尾根になる。

その後も何度か、シカ柵が登場するが、

もうトラップではない。

こうして、屏風岩山・東峰に到着。

途中で転進はしたが、満足できる探検だった。

 

すごいぞマイナールート探検隊!

 

下山は、雷木沢(箱根屋沢)ノ頭から

作業道を通って、大滝橋に向かう。

この道は、あまり変わっていない。

とても歩きやすい道だ。

林道まで下りてきた。

今日の探検は、ここまで。

 

あとがき

 

作業道の途中で、アンヌ隊員が

カラマツの幼木を発見。

通常、カラマツは標高1500〜2500メートルに

生えている植物だ。ここは標高833メートル。

とても珍しい。

 

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