これぞブラック・マイナールートだ。小笄南西尾根

2015年11月7日(土)

西丹沢自然教室 〜 ゴーラ沢に向かう登山道 〜 

小笄南西尾根 〜 大笄南西尾根(撤退)

 

ブラックジョーク。ブラックリスト。

ブラックをつけると、何かの意味が

出せる。最近では、ブラック企業、

ブラックバイトなんて言葉もある。

よし、それならオレも作ろう。

 

 ブラックマイナールート。

 

その名にふさわしいルートは、

小笄南西尾根!

行くぞマイナールート探検隊!

ヤマレコに、GPS軌跡をアップしました

 

マイナー探検1号を

西丹沢自然教室に駐車する。

いつものように、登山届を

倉持さんに提出。

今日のルートのポイントをうかがって、

それでは、行ってまいります。

自然教室の周辺は、紅葉の真っただ中。

アンヌ隊員は、撮影に夢中だ。

県道からツツジ新道を進む。

最初に出合う鞍部から登山道を離れて、

尾根に登る。

西丹沢でも超メジャーな登山道に

隣接する「マイナールートの出合」。

これは、ブラックだ。

今日の探検にぴったり!

 

しかし、ちょうどバスが到着して、

登山者が大勢歩いている。

 

登山道を離れて、違うルートを歩くと

親切な人が「こら!」と教えてくれるので

誰もいないのを見計らってから。

こっそり隠れて尾根に登る。

これまたブラック!

右斜面の下に登山道を眺めながら

尾根を進む。

 

青空と紅葉のコンビネーションは

いつ見てもすばらしい。

木々の合間から見える

遠くて澄んだ空は、とても明るい。

このルートは、ブラックだが

尾根は穏やかで、いいところだ。

そして、ブラックおにぎりタイム。

(今日はなんでもブラック!)

 

林道が交差しているポイントに到着。

ちょっと急な斜面で、降りるのに苦労しそうだ。

と思ったら、右側から難なく降りられる。

林道の反対側の尾根に取り付く。

ちょっと砂がザラザラした

ブラックな斜面だ。

さぁ、ここからが今日の探検だ。

行くぞマイナールート探検隊!

ザラザラの斜面は、ロープを出して登る。

 

我が隊の3原則

怖いことはしない、できない、ごめんだね。

今日も忠実に守っている。

正直、ロープを出すのはおっくうだ。

しかし、クライミングを経験して、

人は落ちるということがよくわかった。

(私の家庭での地位も落ちている)

ロープは出し慣れていないと、

まぁいいか、このくらい、と思ってしまう。

訓練と思ってしっかり減価償却したい。

 

しばらく登ると、

右側が植林地帯になる。

木製のシカ柵がある。

鉄のシカ柵より、人にも自然にも

優しい感じがする。

 

シカ柵が好きな探検家はいないが、

こんなシカ柵なら、大歓迎だろう。

平らで開けたところに出る。

 

とても気持ちのいいところで、

ここに来るだけでも、今日の探検は

大成功かもしれない。

大きな滑車がワイヤーでくくり付け

られている。かつてここは、木材の

切り出し場だったのだろう。

ピーク1125mが近づくと、明るい森になる。

夏の葉を落とした木々の合間から

光が差し込む。

気持ちがいいところなので、

今日のテーマ、ブラックから

どんどん離れていく。

ふんわりと漂い流れていく

真っ白な雲。あたたかな日差し。

標高が上がってくると、

ブナが増えてくる。

老木や巨木も、ちらほらある。

木に苔が生えている。

触れると、とても柔らかい。

まるで赤ちゃんの手のひらのようだ。

しばらく登ると、だんだん

岩が露出した尾根になる。

 

危険な香りがする。

ブラックの再来か!

最後のピークに到着。

ツツジ新道からこのピークまで、

登山道を整備すれば、なかなかいい

コースになるだろう。

ピークの名前は、桐山がいい。

目の前にはこれから登る

小笄が見える。

 

けっこう高いな。わずかな距離の間に

あそこまで登るルートだ。

これはブラックな予感がする。

だんだん、足場が悪くなってくる。

よし、いい感じだ。

大きな岩が露出している。

これは登らずに、右から巻く。

こういう岩を巻くときは、尾根から

斜面に下りることになり、

とても緊張する。

尾根の上は岩や樹木で

尾根に沿って歩くことができない。

右側には、石棚山が見えてくる。

 

この辺りまで登ってくると、

斜面に生えている樹木よりも

高いところを登っているので、

周囲がよく見渡せる。

さらに登っていくと、

かなり危険な斜面になってくる。

いよいよブラックだ!

そして、アンヌが写真撮影。

セルフビレイ(命綱)をつけている。

アンヌ撮影の写真。

今まで登ってきた尾根が一望できる。

ここは斜面の岩が崩れそうなので、

ロープを出す。

 

先ほどロープを出した時と同様、

ロープは必要ないかもしれない。

だが、もし何かあったら、

たとえば足元の岩が崩れる、

ぐいっと引き付けた木の幹が折れる。

そんな山ではよくあることが、今ここで

起こったら、それはまさしく、ブラック!

小笄の登山道に近づいてくると

尾根が広くなってくる。

そして、シカの踏み跡が現れる。

シカの踏み跡は、必ずしも人間が

歩きやすいところを通っている

わけではない。

安易に誘われると、それはもう

今日のテーマ、ブラックだ。

突然、目の前が笹原になる。

これは小笄の登山道が近いぞ。

よし、もう少しで達成だ!

ここで、アンヌ隊員

「お腹へった」

ブラックおにぎりタイム。

こうして登山道に合流。

よし!これにて

本日の目的その1達成だ。ブラック完了!

すごいぞ、マイナールート探検隊!

続いて、本日の目的その2。

大笄南東尾根からの下山に向かう。

 

ここは犬越路から檜洞丸への

メジャーな登山道。

これから下りていく谷間を望む。

あまりに遠く、かすんで見える。

いや?ちょっと霧が出ているのか。

大笄付近まで来た。

ここからターゲットの尾根を見つける。

地図とコンパスで慎重に地形を読む。

大笄南東尾根は、支尾根が無数にあり

正確な地図読みが要求される。

 

道迷いのスペシャリスト、

キリヤマの出番だ。

よし、この方向だ。行くぞ。

 

なんでもない斜面を下りていくと、

すぐに尾根のようなものが見えてくる。

尾根は、コンパスの示す方角と

一致している。ここだ。間違いない。

そして、大きな岩の上に出る。

探検家の間で、モアイ岩と

呼ばれている岩だ。

そしてその左側にある岩から

これから向かう東沢が見える。

岩の先は、何もない斜面。

岩を左から巻いて下っていく。

 

岩の先を懸垂するのは危険だ。

空中懸垂になって、さらに

ロープが足りなくなったらお手上げだ。

先日、教わった自己脱出の

復習をすることになるだろう。

一段下りると、探検家の間で話題の

岩の隙間がある。

さらに下っていく。激しい下りだ。

途中でロープを出して、懸垂下降になる。

岩がもろく、簡単に落石を起こしてしまう。

3ピッチほど懸垂下降すると、

目的の尾根、目的の方角から

ずいぶんとずれてしまう。

どうも別な方に向かってしまっているようだ。

元の方向にトラバースしなければならない。

 

この辺りから、霧が出始める。

 

 

そして、すぐにまったく見えなくなる。

目の前にあるはずの、目的の尾根は

霧の中。これでトラバースするのは、

それこそブラックだ。

今日も元気に、我が隊の3原則

怖いことはしない、できない、ごめんだね。

 

登山道まで登り返す。

残念だが、本日の目的その2は中止。

後日、改めてトライする。

 

しかし、予定外の行動で、

下山は遅くなりそうだ。

現在15時20分。

ここから犬越路、用木沢出合のルートで

下山したら、日没前には下山できない。

じゃんじゃん下りたいのだが、

ここは、西丹沢で最も危険な登山道(当社比)。

深い霧の中でリスキーな行動は避けたい。

こうして、安全に下っていく。

犬越路を通過して、

用木沢出合に向かう間に、日が落ちる。

 

暗さに目が慣れてくると、意外に見えるものだ。

フラッシュをたくと、目がくらむほど明るい。

しばらくは、ぼんやりと見えているので、

ヘッドライトをつけずに下っていく。

 

しかし、用木沢出合の大掛かりな鉄橋

付近で、一寸先も見えなくなる。

鼻をつまれてもわからぬほどの闇

といった感じ。なにも見えない。

 

ここで、ヘッドライトの登場。

長年、丹沢を探検しているが、

ヘッドライトを使うのは初めて。

思ったよりもよく見える。

しかし、これは何度も歩いた登山道だから。

 

初めての登山道をヘッドライトで歩くのは

とてもブラックだろう。

 

今日は最後まで、ブラックな一日であった!

 

あとがき

大笄で、下山を決めたとき、真っ先に気になったのが、

自然教室の倉持さんのことだ。責任感のとても強い彼のことだ。

私達の下山が遅れたら、とても気にするだろう。

 

そこで、彼の携帯にメールで下山が遅くなると送った。(小笄あたりで携帯が通じたのだ)

そして、自然教室に帰還、17時40分。倉持さんは待っていてくださった。

(ちなみに、自然教室は16時30分で閉館)

彼は、残業していただけ、と言ってくださったが、それはもちろん私達を気遣ってのこと。

携帯のメールは届いていたようなので、事故の心配はなさらなかったと思うが、

彼には大変申し訳ないことしたと猛省している。

 

ここで私ができることは、やはり西丹沢自然教室のために役に立てること。

それは、探検家の皆さんに自然教室に立ち寄って、情報を交換してほしい

ということだ。自然教室には、倉持さんをはじめとする、探検家の皆さんに

とても良くしてくださる方々がいらっしゃる。皆が安全に探検できることを

そして、キリヤマはアホが少しでも治ることを願ってやまない。

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