丹沢に妖怪はいるのか。土沢三ノ沢を狙え

2015年6月28日(日)

吉政 〜 切通し 〜 904ピーク 〜 土沢三ノ沢

 

暑い夏は、登りがつらい。

それなら、下りの探検にして、

その後、沢を登って戻ってくればいい。

 

こうして候補に挙げたのは、土沢。

一ノ沢から四ノ沢まであり、

今回のターゲットは三ノ沢だ。

 

行くぞマイナールート探検隊!

ヤマレコに、GPS軌跡をアップしました

 

吉政のグラウンドにマイナー探検1号を駐車。

切通しに向かって進む。

甲相国境尾根を三国峠に向かう。

ここは、いつ来てもきれいだ。

甲相国境尾根を離れて、

鉄塔をくぐると、林道に出る。

林道が二股にわかれる。

ここから今日の探検が始まる。

 

行くぞ、マイナールート探検隊!

 

この道は、鉄塔を建てるために

使われていたのだろうか。

なかなか、しっかりした林道だ。

カーブのところで地面を見ると

コンクリートが見える。

かつてここには、重機が通ったのだろう。

崩れているところもあり、

道が埋まっているところもある。

林道は何度か出たり隠れたりして

やがて行き止まりになる。

ここから先は、林道がない。

ただの斜面だ。

(おにぎりタイムだ!)

さらに進んで、904ピークに向かう。

踏み跡は特になく

森が広がっているだけ。

さて、904ピークから土沢三ノ沢の出合まで

尾根を下る。

だがここは、西丹沢世附。

世界でもっとも迷いやすく危険な

地域だ。(当社比)

間違った尾根に引き込まれないように

地図とコンパスでしっかりと方向を定める。

よし、この方向だろう。

地形が一致しないときは、登り返せる

余裕を持って、下りすぎないようにする。

 

ここでなぜか、サックスの音色が聞こえる。

練習しているのかな。

明神峠が近いので、駐車場に車を止めて、

このあたりまで歩いて来たのだろう。

 

「あれは、アルトサックスだね」

「三ノ沢の方から聴こえるわ」

「あの音色は、初心者じゃないね」

「沢で演奏しているのかしら」

「お!今のフレーズは?」

「きっと林道が近いのね」

「ペンタトニック・スケールだ!」

 

会話が噛み合わないような気もするが

そんなことは気にならないほど

サックスの音は、明瞭に聞こえる。

 

林道ではなく、県道が近くにあるのかな?

改めて地図で確認すると…あれ?変だ。

 

音は、土沢三ノ沢の方から聞こえてくる。

だが、沢の向こうには尾根があり、

林道はその尾根の反対側。

林道で演奏しても、ここには聞こえない。

サックスはかなり明瞭に聞こえるので、

どこかに反響して聞こえているのではない。

 

沢に楽器は持ち込めないはずだ。

どうやったら持ち込めるのかを

シミュレーションしてみる。しかし、

どう考えても答えはノーだ。

「不思議だな」

「ユーレイかしら」

「んなアホな」

「きっとユーレイよ」

「サックス吹くユーレイかよ」

 

「それじゃ、お化け!」

 

サックスお化け!?

妖怪かよ!

ここで、アンヌ隊員が気が付く。

「下る方向を間違えています」

なんと、GPSの現在地が、

目的の尾根を示していない。

サックスお化けに気を取られて、

ぼけっと下ってしまった。

妖怪のいたずらなのか。

 

ずいぶんと下ってしまったが、

904ピークに登り返す。

904ピークから、別の尾根を探して下り始める。

ところがまた、間違える。谷間をトラバース。

結局、904ピークから土沢三ノ沢に向かう

すべての尾根を確認してしまった。

 

そして、この尾根が本日のターゲット。

今度こそ大丈夫だ。

明瞭な尾根だが、踏み跡はない。

サックスお化けの歌も

ここまでは聞こえない。

こうして、明神峠からの林道に到着。

土沢三ノ沢出合まで、少し登る。

土沢の支流、三ノ沢を越えるところが

入渓のポイントだ。

そして、カーブミラーの

あるところから、三ノ沢に入る。

三ノ沢を登り始めると、

まず、堰堤を越える。

その上は、なだらかな流れ。

続いて、小さな滝が連続している。

この釜はちょっと深いぞ。

これは、ぜひ泳ぎたい。

よし、いけ〜!

うわ、深い!

背が届かん!

ああ、気持ちよかった。

夏の釜飛込みは、やめられん!

 

小さな滝を次々に越えていく。

とてもきれいな流れだ。

そして、小さなゴルジュ。

数えきれないほどの、

たくさんの釜を越える。

そして、苔に覆われた大きな岩を

越えると、

続いてナメ滝だ。ここは広く長い。

まさしく、グランド・ナメ滝だ。

ここで、会心のポーズ。

このナメ滝は、沖ビリ沢に

匹敵する、清らかな滝だ。

そして、三ノ沢、唯一の登攀する滝。

といっても、左から簡単に

越えられる。

やがて、堰堤が見えてくると、

流れが細くなってくる。

堰堤を越えると、その上は

緑の大地。

堰堤を越えるたびに、

水量が減っていく。

この後、堰堤をさらに2つ越える。

やがて水がすっかり涸れてしまう。

そろそろツメのポイントだ。

初めて訪れた沢は、

両側の尾根に登らずに、最後まで詰める。

これが、我が隊の流儀。

ここ三ノ沢は、ツメも簡単だ。

こうして林道に到着。

 

今日も無事に到着だ。

すごいぞ、マイナールート探検隊!

後は、甲相国境尾根に出て、

吉政までのんびり歩く。

 

なかなか良い沢だった。

 

あとがき

あのサックスは何だったんだろうか。

もちろん、沢にサックスお化けはいなかった。

県道から、林道へはゲートがあり、車両は入れない。

歩いたら土沢三ノ沢の入渓ポイントまで、50分ほどかかる。

楽器を持って移動できる距離ではない。

 

 とても不思議だが、手品と同じで種がわかってしまえば

「なーんだ」と終わってしまうので、このまま謎にしておいた方が面白い。

ただ、ひとつ気になることがある。

 

アンヌが、バナナの皮を見たという。

三ノ沢の入渓ポイントにあるカーブミラーのところらしい。

写真を拡大してみると、確かにある。バナナの皮が木にぶら下がっている。

周知のとおりバナナの皮はすぐに変色してしまう。だが、この皮は真新しい。

やはり、サックスお化けがいたのだろうか…。(バナナを食べるお化け?)

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