その道がかつて、登山道と呼ばれていたころ。柏原ノ頭へ

2014年11月15日(土)

奥野隧道 〜 柏原ノ頭 〜 鳥屋分岐 〜 ガタクリ峰

 

宮ヶ瀬湖の周辺には多くの山々がある。

東は仏果山、高取山などの相州アルプス。

南は大山、丹沢三峰。丹沢を代表する山々が連なる。

西側はどうだろうか。こちらには、あまり知られた山がない。

だが、ここにもいい山がある。

 柏原ノ頭、ガタクリ峰。どちらもマイナーな山だが、

我が隊のターゲットとしては、充分な魅力がある。

山と高原地図(昭文社)を見ると、柏原ノ頭への登山道が

廃道表記になっている。この道はかつて、手軽な

ハイキングコースだったはずだ。廃道になってから久しい。

現在どうなっているのか。これは歩いてみたい!

(国土地理院地図に加筆)

柏原ノ頭へ、廃道探検

奥野隧道付近に、マイナー探検1号を駐車。(08:00)

奥野隧道を抜けて30メートルほど

県道を下ったところに

登山道入り口がある。

さぁ、今日も元気に

いくぞ、マイナールート探検隊!

(08:10)

登り始めるとすぐに倒木がある。

この日は、たくさんの倒木と崩壊地を

越える。

左に県道を見ながら登る。

さすがは「元」登山道だ。

明瞭で分かりやすい。

 

道はすぐに、植林地帯の斜面を

進んでいく。

やがて森が植林地帯から

原生林に変わってくる。

登山道の左側が開けると、

これから向かう焼山から姫次の

稜線が見える。

登り始めは暗い植林地帯だったが、

ここまでくると、美しい原生林だ。

 

道は明瞭だし、森はきれいだし、

さすがはかつてのハイキングコースだ。

なかなか、いいところじゃないか。

鳥屋(とや)への分岐に到着。(08:50)

 

ここには、この先にある崩壊地を

知らせる看板がある。

「登山者の皆様へ

 4.3km先登山道崩落のため通行できません」

まぁ廃道だから、崩壊地くらいあるよな。

と、気にもしないでスルーする。

道は、森の奥へと進んでいる。

尾根道ではなく、斜面を横切る道だ。

また植林地帯になる。

このあたりは、林業の作業区間らしい。

轍には、キャタピラの跡がくっきりとついている。

さきほどまで作業していたかのごときだ。

作業区間が終わると

植林と原生林が続いている。(09:00)

道しるべには、柏原と書かれている。

道しるべの向かいにある看板には

懐かしい落書きがある。

 

中学校の名前、本人の名前を主張している。

中学生くらいの繁殖期に、よくある行動だ。

そして、S59と書かれている。

昭和59年に中学生なら、今では40代の中年だ。

彼らが再びこの落書きを見たら

どんなことを思うのだろうか。

懐かしさ、恥ずかしさ、そして…

(妄想する私…)

かつてここが、登山道と呼ばれていたころ、

ここには多くの人達が歩いたことだろう。

 

植林と原生林の混合地帯を

さらに進んでいく。

柏原ノ頭に到着。(09:15)

ここは山頂ではない。

山頂は、ここから登山道を離れて、

尾根を登ったところにある。

山頂へは、こちらを登るらしい。

案内に従って、登っていく。

植林地帯の少し急な坂を登る。

踏み跡はない。

5分ほどで柏原ノ頭、山頂に到着。(09:20)

ここには山頂を示す板、そして三角点がある。

神の造りし谷へ

柏原ノ頭を北東の尾根に沿って進むと

茨菰山(ほおずきやま)だ。

少し北東に進んで、登ってきた尾根とは

違う尾根から登山道に戻る。

登山道に到着。

さらに進んでいく。

土に埋もれた丸太の橋。

そして、崩壊地をわたる。

(振り返って撮影)

この道は、道しるべがたくさんある。

分かりやすい廃道だ。

道しるべから5分ほど進むと、分岐がある。

枝道に迷い込まないように、

ここにも道しるべが立っている。

さらに5分ほど進むと、また枝道だ。

「水沢へ」と書かれた看板も立っている。

この枝道は、沢に向かっているらしい。

次の道しるべは倒れている。

その先には、ベンチがある。

大きな倒木が乗っているベンチだ。

ここでもちろん、おにぎりタイム。(10:15)

ベンチのそばに石の杭がある。地名かな。

なんと「神造谷」。

「神が造りし谷」とは!

なんちゅう壮大な地名だ。創世記か。

ところが、地面を少し掘ってみると、

「谷」ではなく「公」だ。

「神が造りし公」??

いったいなんだろう? 謎だ!

 

アンヌ隊員が

「神が造りしハム?じゃない?」

(んな、あほな)

続いて左側が開けたところに出る。

立派な赤松がある。

ここからの展望は、格別だ。

赤松の下には倒木がある。

下にはくぐれない。アンヌは斜面を巻く。

よし、ここは男を見せるチャンスだ!

上から大きくまたぐ。

 

エイっと勢いよく乗り越えた、その瞬間、

頭上に激しい衝撃が!

何が起こったのか!

 

枝に頭をぶつけたようだ。

頭がクラクラする。

このまま動けなかったらどうしよう。

今日の夕刊の見出し

「探検家の紳士、遭難する」

を思い起こし、あわてて紳士であることをやめる。

倒木に枝が出ていたのが見えずに

勢いよく突っ込んでしまった。

 

帽子のつばで枝が見えなかったのだ。

帽子をかぶらなければ、ぶつけずにすんだが、

帽子をかぶらなければ、流血していただろう。

ぶつけたところは、タンコブになっている。

ヘルメットをかぶっていればよかった。

こんなとき、反省できるタイプは大物になれる。

反省せずに忘れるタイプのあなたは、私と同じだ。

(紳士の探検家になれる!)

痛みが和らいできたので、再出発。

 

赤松がたくさんある。

空に向かって、すっと立っている

その姿を見ていると、赤松の生命を感じる。

植物は私たちをきっと見ている。

またベンチがある。休むつもりがなくても

ベンチを見つけると、なんとなく安心する。(11:10)

さらに10分ほど進むと、またベンチ。ちょっと多すぎか?

さらに進むと突然、道がプッツり途切れる。(11:30)

先に見えるのは倒木、そして植林の斜面。

 

ここは右の岩場を登る。とても分かりにくい。

フィックス・ロープでもあれば、分かりやすいだろう。

またまた、道しるべだ。

こちらは鉄製。

谷間の涸れ沢を渡るところで、

道が途切れ、道しるべが倒れている。

(12:00)

谷間の反対側をじっくり見ていると、

踏み跡がある。

続いて、また崩壊地。(12:20)

ここは、かなり深く崩れ落ちている。

下の方に丸太橋が転がっているのが見える。

 

岩につかまって踏み出した瞬間、足元の岩が崩れる。

ひえ〜これは怖い。

落ちて行く岩のクラック音を谷間に響かせながら

なんとか渡り終える。

(振り返って撮影)

 

アンヌは、崩壊地の上に登って

巻道を探す。

すると巻道であっさりと崩壊地を越える。

なんだ、あっちの方が安全だったのか。

ここから先の道は、崩壊地だらけ。

もはや登山道とはいえない。

先ほど鳥屋分岐で見た看板、

「4.3km先登山道崩落のため通行できません」は

ここのことだったのだ。

やがて丸太の階段が出現。

そしてしばらく進むと、

おお!稜線が見えてきた。

やった〜!

ついに焼山の稜線、

東海自然歩道に到着だ。(12:50)

あ、いや。違う。

まだ道が続いている…。

 

なにやら、神奈川県の設置した

杭が立っている。

謎が解けた!

神の造りしハム!

ベンチから先には、

とても穏やかな道が続いている。

 

斜面のトラバースではなく、

広場の中の一本道だ。

そして、丸太の階段を登り、

ついに稜線が見えてくる。(13:00)

今度こそ、東海自然歩道、

焼山の稜線に到着だ。

今まで歩いてきたルートには、

とにかく行ってはいけないらしい。

けっこう楽しかったんだけどな。

ここからは、東海自然歩道。

一般の登山道だ。

そして目的の尾根、

ガタクリ尾根の入り口に到着。

ここからガタクリ峰を通過して、

そのまま尾根を下って林道に向かう。

ガタクリ峰って、ガタクリって音がするの?

シカ柵の向こうに、目指すガタクリ峰がある。(13:35)

行くぞ、マイナールート探検隊!

ガタクリ峰の尾根に乗るまでは、

地形が複雑だ。

ちゃんとたどり着けるだろうか。

おお、丸太の階段だ。

作業道がついているぞ。

 

この作業道に沿っていけば

よさそうだ。

保安林の看板が倒れているところで

道が右に大きく曲がる。(13:45)

その後も、つづら折りになって道が続いている。

こうして、無事に尾根に乗る。

ここからは尾根沿いに進めばいい。

 

続いて、p1101を通過。

webによれば、棚上ノ丸(イセ沢ノ頭)という

名前があるらしい。

しばらく下って、

また登っていくと、

ガタクリ峰の山頂に到着。(14:40)

 

想像していた通り、なにもない山頂だ。

山頂を示す看板などはなく、

そんな質素なところが魅力的だ。

山頂には何もないが、

北側の展望がなかなかいい。

その先は、アップダウンのあと

p813を通り過ぎる。

(webによると、水無ノ頭というらしい)

p813のあとは、激しく下り始める。

大岩を越えて、さらに下る。

(振り返って撮影)

ここは、かなり急な斜面だ。

つかまるところは、ほとんどない。

また、ドライバーを使っても土が柔らかく、

支点にするには心細い。

アンヌ隊員は、こういう斜面が苦手だ。

ロープを出そうか迷っていると、

植林地帯の森まで下りてきて

やっと傾斜が緩んでくる。

登り返して、その先はp702。

p702は高指峰(牛ノ窪ノ頭)と

言われているらしい(web情報!)。

p702を通過して、しばらく尾根沿いに進むと

いったん下る。そして小さなピークを越える。

あとは林道を右に見ながら、

ずっと下っていく。

やがてヤブこぎになる。

15分ほどヤブをこぐと、

尾根の先端が林道と重なる。

ここで林道に下りる。

よし、無事に到着した。

暗くなる前に、到着できてよかった。(16:20)

お腹減ったね。何か食べよう!

 

ここならザックや食べ物を道に

広げても大丈夫だよ。

広げすぎ…。

林道を少し下ったところに

松茸山自然の森公園、入り口がある。

ここには駐車場があるが、この林道の先にある

ゲートが閉まっているので、ここまで車で入れない。

 

せっかくモミジを植林したり、柵を設けたりして

公園として整えたのに、いったい誰がここに

来られるのだろうか。

 

公園の看板がある。この駐車場も使われていた

時期があったのだろう。

 

誰にも見られることのないモミジの葉。

道路には、乾いた落ち葉が風に流されている。

やがてここも「かつて公園だったとき」になる。

林道をさらに歩いていくと、

水沢橋ゲートを通過する。(16:50)

真っ暗になってしまったが、

無事に到着。(17:05)

今日も楽しい探検だった。

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