正しいのは地図か、それともGPSか。鬼ヶ岳、王岳の縦走だ

2014年10月4日(土)

いやしの里 〜 雪頭ヶ岳 〜 鬼ヶ岳 〜 鍵掛山 〜 王岳 〜 いやしの里 

(国土地理院地図に加筆)

丹沢を西に向かってずっといくと、

富士山のふもとにある山にたどり着く。

そこには、標高こそ二千メートルに満たないが、

魅力的な山がたくさんある。そして、私の憧れの山、

王岳がある。

 ガイドブックによると、ロープ場を通過する

難所の多い山らしい。これはぜひ行ってみたい。

よし!行くぞ、マイナールート探検隊!

 

いやしの里の駐車場に

マイナー探検1号を駐車する。

ここには、登山者用の駐車場がある。

駐車場からは、本日の目的地

王岳が見える。

鬼ヶ岳の登山道入り口に向かう。

まずは、王岳の登山道入り口を右折する。

下山時は、ここから降りてくる。

しばらく一般の道路を歩くと

次に鍵掛峠への登山道入り口を通過する。

道路は、いやしの里の受付を通っている。

鬼ヶ岳、登山道入り口に到着。

目の前には雪頭ヶ岳が見え、

キャンプ場の脇を通り抜ける。

やがて登山道は、大きな堰堤を左から巻く。

その先には、林道が続く。

もう一つ、立派な堰堤に出合う。

ここには東屋もあり、

ちょっとした公園になっている。

堰堤の近くで林道が終わり、

小さな沢を越えたところに

登山道の入り口がある。

よし、ここからが探検だ。

いくぞ、マイナールート探検隊!

少し登ると、堰堤の上を通過する。

ここには、堰堤の上に入れないように

太陽のように広がった芸術的な柵がある。

 

 

鉄棒の先は、鋭くとがっている。

痛みを伴う芸術作品だ。

涸れた沢沿いの登山道は、

森の奥へと向かっていく。

大きな岩の脇を通過。

迷わないように道しるべがある。

植林地帯の斜面を登っていく。

道は明瞭で、分岐もない。

ここまでは順調だった。

 

だが…。

しばらくして、GPSの軌跡を確認すると、

なんと驚き!

登山道から、とんでもなく外れている。

 

地図上の登山道は、尾根をまっすぐに登っている。

しかし、我々のいるところは、斜面の真っただ中。

 

GPSの捕捉が外れているのか、と疑ったが

周囲の地形はGPSの現在地と一致する。GPSは正しい。

あれれ?変だな。

分岐なんてなかったよ。

こんなに明瞭な道なのに、ここは管理道なの?

いつのまにかマイナールートを歩いているぞ。

今日は真面目に登山道を歩くつもりだったのに

まさに、管理道に呼ばれた感じだ。

 

しかし、この山域は岩の塊なので、

登山道以外はとても危険だ。管理道に呼ばれても困る。

戻ったほうがいいのか。

 

そういえば、先ほどまで何度も出てきた道しるべが

急になくなった(ような気がする)。

 

山火事注意の看板があるぞ。

しかし、これは管理道にもよくある。

どうやら道は、尾根に向かって進んでいる。

よし、このままいけば、登山道と合流するかもしれない。

 

どんどん高度を上げていくと、

植林地帯を抜けてカラマツの原生林になる。

せっかくだが、自然を感じる心境にはなれない。

しかし、アンヌ隊員は、カラマツに囲まれて

すっかりご満悦。

「道に迷っても、これならいいわぁ」

などと、緊張感まったくなし。

こうして尾根に到着。

登山道と合流だ。(振り返って撮影)

 

と思ったら、やっぱり変だ。

これは、登山道に合流したのではないぞ。

GPSの示す現在地では、ちゃんと尾根にいるが

今いる管理道以外、他の道がない。

管理道は、このまま続いて尾根沿いに

登っている。

 

地図にある登山道は、ふもとからここまで

尾根沿いにあるはずだ。

でも、登山道があるはずの

ふもとの方角は、ただのヤブ。

激しく荒れている。

 

それにしても、荒れすぎだ。

以前に登山道があったとは、とても思えない。

アンヌ隊員がGPSを持って、ヤブ尾根を下ってみる。

間違いない。地図上の登山道はこのヤブだ。

 

ということは、地図の記載が間違っているのか?

まぁ、登山道が間違って記載されているのは、

よくあることだ。

答えがない疑問を考えても仕方がない。

これ以上は考えずに、探検を続行する。

 

道はカラマツの間を縫うように進んでいる。

カラマツのほか、アカマツ、コナラなどの

木々を楽しみながら登っていく。

道は尾根をつづら折りに登っている。

明瞭な道なので、迷うことはない。

しばらく登ってから、もう一度GPSで確認。

やっぱり地図にある登山道とは

違うところを登っている。

 

もうこうなったら、地図のことは気にせずに

どんどん登っていく。

倒れて横たわった道しるべがある。

どうやら、今いるところは間違いなく

登山道だ。ホッと安心する。

 

ブナの原生林、と書かれている。

しかし、付近にはブナが見当たらない。

少し登っていくと、あったあった。

ブナがたくさんある。

 

webによれば、ブナは木材として

あまり使われないらしい。

 

産業にとっては役に立たないブナだが、

やわらかい樹形は、見る者の心を

和ませてくれる。

木々の間からは、富士山や西湖が見える。

今朝、車を止めたところも見える。

おお、私の車も見えるぞ。

うーん、車に太陽が当たっている。

車内が熱くなりそうだな。

木陰に止めればよかった。

 

山の中で心が清らかになっているはずが

現実に戻されてしまった。

さらに進むと、登山道の脇には、

露出した岩がある。

このあたりは、富士山の噴火でできた

山域らしい。溶岩が固まった岩だろうか。

 

鎖場を通過する。

この付近で道迷いしたら、こんな岩に阻まれて、

進退窮まってしまうかもしれない。

やはり、マイナールートに浮気せず、

真面目に登山道を歩いたほうがいい。

高度を上げていくと

素晴らしい俯瞰になっていく。

地図に「花畑」とある付近まで

登ってきた。

 

この付近には、小さな花がたくさん咲いている。

ヤマトリカブト、野菊

そしてマツムシソウ。

雪頭ヶ岳の山頂広場に到着。

お花畑を見ながら休憩したいが、

日差しが熱いので、次の鬼ヶ岳に向かう。

「草花は、手で取らないでカメラで撮ってネ」

なかなかシャレた道しるべだ。

道しるべ作家、渾身の作品かもしれない。

GPSの現在地が、ここでやっと

地図上の登山道と一致する。

 

何でもないはずのハイキング登山が

なぜか素晴らしい探検になった。

 

我が隊の登山には、必ず何かがある!

山頂から少し進んだところに

雪頭ヶ岳の本当のピークがある。

この付近は高い木々があり、展望がない。

さらに進むと、アルミのハシゴがある。

ここは、ハシゴがなかったら、

かなりの難所になるはずだ。

ハシゴを登ったところから振り返ると、そこは

富士山と雪頭ヶ岳のコンビネーションだ。

少しアップダウンをして、

鬼ヶ岳の山頂に到着。

山頂から少し東には、

鬼の角と呼ばれた岩がある。

ここはいつもの、

セクシーポーズで。

鬼の角と十二ヶ岳のコンビネーション。

そして西を見れば、これから向かう

鍵掛山と王岳が見渡せる。

登山道はここから王岳まで、尾根沿いの道になる。

鬼ヶ岳の山頂直下は、下草のきれいな道だ。

すぐに鍵掛山が見えてくる。

 

続いて、大岩が現れる。

この岩は巻道があるのだが

岩のピークまで道がついている。

登ってみるとそこは、

反対側がバッサリ切れている、とても怖いところ。

鍵掛山の雄姿を見て、すぐに登山道に戻る。

 

 

登山道の脇には、たくさんの花が咲いている。

花好きな人に、ぜひ歩いてもらいたい道だ。

そして、木々の紅葉が美しい。

この道は、四季を通じて木々の美しさを

味わえる道だろう。

さらに南側には、富士山と西湖の展望がある。

人気のある登山道だけあって、

見ごたえのある光景が続く。

ロープの設置されている斜面をトラバース。

ダイナミックな光景が広がっている。

 

 

岩が露出して、歩きにくいところもあるが、

危険なところはない。

大きな岩の間を登り

岩の脇をすり抜けるように

通るところを通過すると

やがて鍵掛山が近づいてくる。

 

そして鍵掛山の手前にある、

鍵掛峠に到着。

ここにある道しるべには

鍵掛峠山頂、と書かれている。

峠なの?山頂なの?(峠です)

 

そして、鍵掛峠からひと登りすると

鍵掛山の山頂だ(13:30)。

 

山頂には、尾根を示す杭があるだけで

何もない。

岩場を越え、森を越えると

紅葉した木々の上に見えるのは、

迫るようにどっしりとかまえている、

王岳の姿だ。

こうして、王岳の山頂に到着(14:50)。

山頂には道しるべと石碑がある。

このあとは下山してしまうので

富士山と西湖に別れを告げる。

また来るぜ!

山頂から少し西に下ると

五湖山と下山道の分岐がある。

 

ここから、本日の出発地、

いやしの里へ下山する。

(15:20)

この下山道は、なかなか素晴らしい。

下草はササ原、カラマツ、ブナの林を

ぐんぐん下っていく。

あまりに美しいので

アンヌ隊員が大感動。

「下るのがもったいないわ

 ゆっくり行きましょう」

という。

時間は十分にあるので、

たっぷり時間をかけて下っていく。

やがて登山道は、林道につながっていく。

(16:10)

40分ほどの林道歩きで

いやしの里に到着。(16:50)

 

素晴らしい探検だった。

美しい森や山に感謝!

 

あとがき

地図の登山道が実際の登山道と一致しないことはよくある。

ただ今回は地形が複雑なので、GPSで確認しなければ

地図上の登山道をちゃんと歩いている、と思ってしまうだろう。

 これは、GPSを確認したゆえの特殊な道迷いといえる。

GPSがあっても道迷いするとは、もはや我が隊は

プロの道迷いといえよう。

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