無事に下りられたら、下りの王者! 大界木山・南尾根の手ごわい地形に挑戦

2014年8月2日(土)

水晶橋 〜 城ヶ尾峠 〜 大界木山 〜 戸沢 〜 忘路峠 〜

大界木山 〜 浦安峠

(国土地理院地図に加筆)

探検友達、shiroさんからお誘いを受けた。

大界木山・南尾根だ。

 

この尾根は、丹沢の探検家もほとんど入っていない

かなりマイナーな尾根。しかも地形はかなり複雑だ。

shiroさんは、下りを好んで探検している方。

よし、下りの技術を習得するチャンスだ。

 

 

                                                                                                                         

shiroさんの車で、水晶橋に到着。(07:35)

(マイナー探検1号は、道志・道の駅に駐車)

道の駅からここまでは、普通乗用車でも入れる。

林道をしばらく歩いて

登山道入口に向かう。

 

沢を縫うように道が続いている。

城ヶ尾峠への登山道入り口に到着。

さぁ、ここから探検だ。

行くぞ、マイナールート探検隊!

(08:00)

植林地帯をなだらかな坂道が続いている。

尾根が近づくと、原生林になる。

登山道入り口から20分ほどで

城ヶ尾峠に到着。(08:20)

ここからは、甲相国境尾根だ。

ブナの大木がたくさんある。

この付近は、大木が多く

楽しんで歩くことができる。

 

大界木山に到着。(08:40)

ここは高い木に覆われて、展望はない。

登山道の通過点といった感じだ。

山頂の指標の左側から、

南尾根がある。

うっすらとだが、踏み跡もある。

ここから、戸沢まで下っていく。

ササやぶの下に道がついている。

こんなところに道がついているだなんて、

とても不思議だ。

 

shiroさんいわく、

これは人の踏み跡ではなく、けもの道らしい。

尾根が狭くなるところは、動物が集中し、

道がついていることがあるという。

しばらく下ると、

ササやぶがいったんなくなり、

平らなところに出る。

ここからが、本番だ!

まずは、ご覧いただこう。

非常に複雑な地形だ。

こんなところを下ろうとするshiroさんは

まさにチャレンジャーだ。

 

再び、ヤブの中になる。

ヤブこぎとまでいかなくても、

深いヤブでのルート・ファインディングは

かなり難しい。

 

枝尾根、谷間、本当の尾根。どれもまったく見えない。

何度も地図を取り出し、懸命にルートを探る。

このような地形では、

地図もコンパスも頼りにならない。

GPSですら微妙な位置判定になるという。

本当に尾根を見つけられるのか。

おかわりいただけただろうか。

もう一度ご覧いただこう

 

これはもはや尾根とは言えない。

大界木・バミューダトライアングルといえよう。

地形図には記載がない尾根が

いたるところに走っている。

 

こういった地形の場合、カンだけが頼りだ

とshiroさんはいう。

さらに下り続けると、

スリングを出すくらい急な斜面になってくる。

shiroさん、本当にここでいいんでしょうか?

ちょっと不安になってきました。

ついに下ることができない崖っぷちに出た。

どうやら、谷間に向かってしまっているようだ。

 

このあたりは、ヤブが切れて周囲が見える。

周囲を確認すると…、

隣には立派な尾根が。

チッ!あっちか。

トラバースして、

登りやすいところを探す。

 

隣の尾根はすぐそこに見えているのに、

なかなかたどり着けない。

アンヌ隊員がトップで登っている、まさにその時だ。

木の折れる鈍い音と共に、アンヌが落下してきた。

アンヌが右足をかけていた木が、折れたのだ。

(左の写真の直後)

 

幸い、私のすぐそばに落ちてきたので

そのままナイスキャッチ!押さえ込み一本!

(shiroさんもストックで支えてくれた!)

 

落ちるときはまさに一瞬だったが、

私にはスローモーションのように見えた。

ちょうど、賽銭箱に100円を入れるつもりが

間違えて500円を入れてしまい、

500円が落ちていく瞬間のように、ゆっくりと。

 

傾斜はキツかったが、土の斜面だったので

3mほど落ちた割には、特にケガもなくすんだ。

トップで登っているときだったからよかったが、

ラストで登っているときだったら

もう少し状況は違っていたかもしれない。

 

もう少しで、隣の尾根だ。

 

shiroさんのブログを見ると、道のない尾根の探検、

しかも下山の探検をたびたび行っている。

周知のとおり、下山の探検は難しい。

shiroさんも下山の数だけ、道迷いしている。

 

だから、shiroさんはルートファインディングの

ベテランであると同時に、

道迷いのスペシャリストでもある。

 

 

やっと尾根にたどり着き、下り始める。

 

あれ?やっぱりおかしい。

 

shiroさんは、私の道迷いライバルだが、

彼の道迷いは、私の道迷いとはスケールが違う!

迷い方が大胆。肝っ玉がすわった道迷いだ。

 

また間違えた。登り返し!2回目〜!

 

私ならとっくにあきらめて転進して、

探検を中止するところ。

彼は、決してあきらめない!

(あきらめが悪いともいう)

 

「shiroさん、これは道迷いですね」

「いや、迷っていません。

 ルート・ファインディングの一環です(どゃ!)

すごいぜ、この堂々っぷり。

(ただのホラ吹きかもしれない)

今度こそ大丈夫だ。

再び尾根を下っていく。

 

彼は、いきいきと尾根を探索している。

道迷いそのものを楽しんでいるといってもいい。

やがて尾根が広くなってくる。

斜面も少し緩やかになってきた。

広く開けたところにでる。

とても美しいところだ。大木もたくさんある。

 

人知れずこんな美しいところがあるだなんて。

これだからマイナールートの探検はやめられない。

樹形の美しい木がたくさんある。

 

木々の美しい姿に見とれて、

私は、すっかり大木に酔っている。

それでは次に、

こちらをご覧いただこう。

 

この付近は平らなところが多く、

しかも、支尾根がたくさん入り乱れ、

これまた尾根を探しにくい。

元来、人は道に迷うものである。

我々の祖先も迷いながら成長してきた。

迷うこともまた、楽しい。

この辺りで、私はどこにいるのか

本当に分からなくなった。

こうなると、shiroさんのあとを

ノコノコついていくだけ。

ここでも何度か尾根を外して下ってしまう。

(ルートファインディングの一環である)

 

やがて、shiroさんが廃道になった

旧東海自然歩道を見つける。

これをたどっていけば、おのずと目的の

沢に到着できるという。

とはいえ、たどるにはあまりに

はっきりしない道だ。

(私には道に見えない…)

こうして無事に戸沢に到着(11:20)。

さすがは下りの王者、shiroさん。

やったね!

さっそく水浴び。

沢装束に着替えて、

戸沢を登る。

沢の流れは単調で、

沢登りとしての興奮はない。

 

しかし、周囲の自然環境が素晴らしい。

沢の幅が広く、両側には樹林帯が見える。

周囲の木々が水面に映っている。

そして流れの中に、さっと動く魚の姿。

ここには自然との一体感がある。

しばらく進むと、

戸沢で唯一の滝に到着。

さっそく修業。

 

修行の後は、滝を登る。左側から登れるが、

途中でトラバースするところがちょっと悪いので、

ロープを出して、アンヌは確保して登攀。

shiroさんは滝を登らず、巻き道を登る。

この滝の上に、旧東海自然歩道があるらしく

そのほうが安全だという。

滝の上流には、旧東海自然歩道が

横切っている。

 

朽ち果てた梯子があるだけで

自然歩道は、ほとんど残っていない。

その後は、ゴーロ歩きが続く。

 

やがて水流が少なくなってくる。

源頭部に近づいてきた。

ナメ滝があるので、セクシーポーズ。

shiroさんはブログで、

「こんなに脱ぎっぷりのいい人、見た事無いゼ!」と絶賛(?)。

コケむした岩がたくさんある。

コケというより、草に覆われた岩だ。

さわってみると、フカフカ。

 

「八ヶ岳の“こけ丸くん”みたい」

アンヌ隊員、大喜び。

さて、沢のツメは

shiroさんが、かねてから狙っていた

甲相国境尾根に簡単に出られる

スペシャル・ルートだ。

「ここです」とshiroさんが探した

なんでもない涸れた支流。

 

こんな涸れた沢が周囲にはたくさんあるのに

よくここを探し当てられたなぁ。

すぐに稜線が見えてくる。

危険なところも、ササやぶもなく

あっさりと尾根に出られた。

 

こうして甲相国境尾根に到着。

下山は、大界木山を経て

浦安峠に向かう。(14:10)

忘路峠(犬峠)に到着。

忘路の読み方は諸説ありそうだが、

ここでは「わすれじ」とする。

忘れじの「じ」は古典の助詞で

「〜ないだろう」の意味。つまり、忘路は

(私はこのことを)忘れないだろう、という意味だ。

(違うかもしれないが、ここではこういう意味にしておく)

 

ここには道しるべもなく、

忘路峠をしのばせるのは、このテーピングだけ。

 

人々から忘れられていく、忘路峠。

ちょっぴり感傷的な気分の私。

ジョージ・カーリンの言葉を思い出した。

 

“忘れないでほしい。

 人生は呼吸の数で決まるのではない。

 どれだけ心の動く瞬間があるか、なのだ”

 

「心の動く瞬間」を求め、

私たちは、山に入る。

 

「心の動く瞬間を」を知っている者は、

とても幸せだ。

浦安峠への分岐へ到着。

左は今朝登ってきた道。

下山は、右へ進む。

始めはササに覆われているが、

やがてすっきりした道になる。

踏み跡もしっかりしている。

やがて林道に出る。

朽ち果てた道しるべがあるが

逆コースだとこの入口は分かりにくい。

浦安峠に到着。

ここは両側が白い崖で、少し崩れている。

いずれこの林道も埋まってしまうだろう。

こうして水晶橋まで戻って来る。(16:00)

楽しい探検だった。

ありがとう、shiroさん!

 

あとがき

   

 

ヤブをこいでいるとき、

ササの茎の先端が、鼻の穴にクリティカル・ヒット!

 

猛烈に痛い!

話には聞いていたが、これほど痛いとは。

鼻血ブーにならずにすんだが、涙が止まらなかった。

 

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戸沢を遡行中に、耳の後ろをブヨに刺された!

そこで、アンヌ隊員に刺された傷口から血を

絞り出してもらった。ブヨの毒を出すためだ。

すると、shiroさんが毒出しの兵器を出してくれた。

インセクト・ポイズンリムーバーという

名前そのまんま兵器だ。これをお借りして毒を吸引。

おかげで、腫れかゆみが少なくすんだ。

 

前回の探検、沖ビリ沢でも虫に刺された。

後悔するが反省しない男、キリヤマだぜ。

 

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