我が人生に悔いなし!ナメ滝が美しい沖ビリ沢へ

2014年7月27日(日)

山伏峠 〜 西丸 〜 沖ビリ沢

(国土地理院地図に加筆)

沖ビリ沢は、手軽に登れる沢として定評がある。

特徴は、美しいナメ滝が連続することだ。

沖ビリ沢は、我が隊の憧れの沢。

 だが、アプローチが困難で躊躇していた。

先週の合同探検でいろいろ教わり、ようやく

この沢にチャレンジするときが来た。

よし、ナメ滝を探検だ。

 

                                                                                                                           

山伏峠付近にマイナー探検1号を駐車。(08:00)

 

※ここは駐車場ではないので、場所の詳細はご容赦。

 駐車は自己責任でね。

トンネルの道志側に抜けると、

旧トンネル跡の近くに登山道入り口がある。

 

※トンネルの道志側にある路肩スペースは

 駐車できないように改造されました。

 

この道は、甲相国境尾根まで続いている。

鉄塔の脇を通り、

大棚ノ頭への分岐に到着。

ここからは、甲相国境尾根、東海自然歩道だ。

この尾根には、ブナの大木がたくさんある。

夏のブナは、繊細な枝にたくさんの葉をつけ

大木の力強さを感じる。

菰釣山に向かって進むと、2番目の鉄塔を通過する。

 

植物の緑がとても濃い。

これが8月も半ばになると、少し弱くなり

秋に向かう感じになってしまう。今が緑の旬だ。

こうして沖ビリ沢へ向かうルート、

西丸への分岐に到着。ここへは先週も来た。

沖ビリ沢までのルートは「山と高原地図」に

破線ルートで記載がある。

 

ということは、これはマイナールートだ。

行くぞ、マイナールート探検隊!

(08:50)

下り始めてしばらくは

なだらかな美しい尾根。

だがすぐに、ササのやぶ道になる。

 

地面には踏み跡があるので、

迷わずに歩くことができる。

途中、何度かヤブが途切れるが、

すぐにヤブ・リターンとなる。

左からササの葉が押し寄せてくる。

 

左手で払いながら進んでいくので、

左手だけが疲れてくる。

甲相国境尾根から約20分で、

西丸と沖ビリ沢への分岐に到着。

 

ササの葉ですっかり覆われているが

地面を見るとくっきりと分岐がある。(09:10)

 

沖ビリ沢への道は、西丸の山頂を

トラバースするように続いている。

 

先週、ここを通過するときに教わった道だが、

本当にここだったのか、自信がなくなってくる。

 

そこで、位置確認のために

西丸の山頂に向かう。

 

西丸山頂付近にあるブナの木。

なかなか素晴らしい木だ。

しっかり抱きしめる。

西丸の山頂に到着。

山頂を示す道しるべ、看板はなく、

テーピングに西丸と書いてあるだけだ。

せっかくの山頂なので、おにぎりタイム。

だが、ここでおにぎりタイムを取ったことを

後に恐怖することになる。

次は、沖ビリ沢に向かう尾根を下る。

ここからは、初めて歩くルートだ。

 

山頂から5メートルほど下ってみる。

しかし、尾根の方向がよく分からない。

やっぱり分岐に戻った方が確実か。

 

その時だ。突然、

私の背後で木の折れる鈍い音がした。

折れた枝が地面に落ちる瞬間を、アンヌが目撃。

「クマよ!」

 

私は、音のした方向を振り返る。先ほどまでいた山頂付近だ。

だがクマの姿はない。どこかに潜んでいるのか。

じっと耳をすます。何の音も聞こえない。

「マイナールート探検隊!」と叫んでみる。

やはり何の反応もない。

 

 

「本当にクマだったのかい?」

「姿は見てないわ。でも急に枝が折れるなんて

クマに決まっているわよ」

 

折れた枝は、かなり大ぶりもの。

生木の枝がそう簡単に折れるわけがない。

状況から見て、クマがいたのは間違いないだろう。

 

ということは我々は、クマが木の上にいることに

気が付かずにすぐそばを通り、ブナに抱きつき、

おにぎりをノンビリ食べていたことになる。

少しタイミングがずれていたら…。

 

クマから離れたいのだが、下る方向がよく分からない。

「さっきの分岐まで戻ろうよ」

「いやよ!クマがいるかもしれないじゃない」

 

アンヌは、恐ろしくて体を震わせている。

しかたがないので、コンパスを頼りに下り始める。

クマが出るといけないので、

大声を出して威嚇しながら。

ここはもちろん、私のオリジナル・ソングだ。

 

いつもは、アンヌに「うるさい」と

いわれている私の歌だが、今日は堂々と歌える。

やがて、沖ビリ沢への踏み跡に出合う。

よしよし、なんとか見つけられたぞ。

 

テーピングがたくさんある。右側は植林地帯。

ここからは、踏み跡に沿って下る。

歌いながら、どんどん下る。

おかげで、新曲「沖ビリ沢のテーマ」ができた。

これはなかなかのデキだ。(近日、発表予定)

鞍部のようなところに出る。

この付近で、踏み跡が不鮮明になる。

トラバースする踏み跡と

尾根沿い踏み跡に分かれている。

(どちらに進んでも同じところにつながっていた)

また、踏み跡が明瞭になる。

踏み跡も続いている。歌も続いている。

おかげで、クマは出てこない。

オリジナルソングにクマよけ効果があることが

またしても証明された。

うん。やっぱり大声で歌うのは気持ちがいい!

次々に新しい曲が出てくる。だがヒドイ歌ばかり。

暴走族がクラクションで鳴らす

ゴッドファーザーと何ら変わりがない。

踏み跡はやがて、植林を間引きしたところを

下り始める。

 

周囲には、間引きして伐採した木が

たくさん転がっている。

踏み跡にしたがって下っていくと、沢に到着。

ここは金山沢だ。(10:30)

金山沢から、いままで降りてきた道を撮影。

 

近くの木には看板がかかっているが、

文字が消えて、何も読めない。

沢装束に着替え、金山沢を登る。

ほどなく沖ビリ沢が見えてくる。

中ビリ沢(右)と沖ビリ沢(左)との

出合に到着。(11:00)

 

さぁ、ここからが沖ビリ沢だ!

まずは、静かな水流。

清流の名にふさわしい沢だ。

すぐに最初のナメ滝に出合う。

なんて美しいんだ。

左右の緑に囲まれ、緑の光の中を

細く、長く、そして静かに流れている。

 

もうこのまま死んでもいいかなぁ、といっても

決してオーバーでないほど美しい。

冥途のみやげができた。

あまりにすばらしいナメ滝なので、

沢床に座ってくつろぐ。

腹ばい。

逆も。

セクシーポーズ。

さらに登っていく。

ナメ滝が終わると、ゴーロが続く。

小さな滝をいくつも越える。

ナメ滝がところどころにあるのだが、

倒木や岩で隠れてしまっている所もある。

続いて、少し傾斜のあるナメ滝だ。

このような美しい滝は、

その流れを肌で感じたい。

 

背中を流れる沢。見上げれば夏の空。

生きているのに生き返る感じだ。

 

この滝は、登るのはちょっと危ないので

右側を巻く。

巻き道には、ロープがある。

その先も、ナメ滝が続く。

またしても、傾斜のあるナメ滝だ。

 

頑張れば登れそうだが、我が隊は、頑張らない。

 

この日も30mロープ、クライミング用具を

持っているのだが、これは危険回避のため。

 

冬の間、岩を登るようになってから

滝の登攀は、ほとんどやらなくなった。

巻き道は右側。ロープもある。

ナメ滝に座って休憩する。おにぎりタイムだ。

 

ここでアンヌがおにぎりについての

独特な感想をのべる。

「どうして、おにぎりの中心にしか

具が入っていないのかしら」

 

「隅っこの方に行くと、味がないわ。

まんべんなく具が入っていればいいのに」

解説しよう。彼女の望むおにぎりは、

ご飯で具を挟む、サンドイッチのようなおにぎり。

それなら、巻物でいいのでは?

 

まぁ、あまり深く追及しても意味ないか…。

 

 

傾斜の緩い滝がいくつか続く。

コケもなく、安心して登れる。

まだまだ、ナメ滝が続く。

長いナメ滝が終わると、ゴーロになり

最後の分岐に到着。

今回は、左俣に進む。

(12:40)

ガレ場の先、右側から10mほどの滝が入っている。

巻き道が危なそうなので、ここは直登する。

この滝は、階段状の滝だ。

少し高度感があるが、

水流の右側を問題なく登れる。

次も大きな滝だ。ここも直登する。

水流沿いが登りやすい。

シャワークライミングだ。

水流がなくなると、

いよいよ沢の源頭部になってくる。

ここから上は、急な斜面。

しかも、斜面の上に砂が乗っている

ちょっと危ない斜面だ。

アンヌは沢を離れて尾根へ向かう。

初めて来た沢は、きっちり詰めて登るのが

我が隊の流儀である。(この時、決めた)

 

私は尾根に登らず、ドライバーを使いながら、

急な斜面を登る。

 

最後までまっすぐ詰めていくと、

尾根が見えてくる。

どこに出るのだろうか?

さらに登っていくと、アンヌが見える。

さらにベンチ、道しるべが見えてくる。

尾根に到着すると、そこは今朝通過した

西丸への分岐。

沖ビリ沢を最後まで詰めると、ここに出るのか。

 

よし、本日の目的達成だ。

すごいぞ、マイナールート探検隊!(13:25)

こうして甲相国境尾根を下って、

マイナー探検1号に戻って来る。

 

今日も、楽しい探検だった。

 

あとがき

 

左の耳を虫に刺された。ブヨ(ブユ)である。

翌日、耳が赤くはれて大きくなった。

反対の耳と比べなくても、大きくなったことがはっきり分かるほど。

マギー審司のでっかい耳のようだ。

 

うかつだった。花摘み(登山用語)の最中を狙われた。

払いのけたくても、用足しの最中は身動きが取れない。

(しかも、右手にはChin-Chin)。

この時期、西丹沢には小さな虫がたくさん飛んでいる。

クマは怖い。虫は怖くないが手ごわい。

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