体験入隊者あり(パート2)、法行沢へ。道迷い「0(ゼロ)」宣言 

2014年7月6日(日)

浅瀬 〜 法行沢 〜 織戸峠 〜 椿丸 〜 浅瀬

 

今回は、体験入隊者のウタさんを迎えて探検だ。

ウタさんは私と同じイガグリ頭。

だが、私の貧相な頭と違い、ウタさんのイガグリは貫禄がある。

(松平健か、伊武雅刀か)

ええい!オレも丹沢あたりじゃ登るベッカムと呼ばれた男だ。

ウタさんの貫禄に負けないよう、威厳を保ってのぞむぞ。

前回に続き、イラストは我が隊のユーレー隊員、娘に

描いてもらった。

お腹はすかない?

浅瀬の駐車場にマイナー探検1号を駐車。

(07:40)

 

法行沢の出合いまで、大又沢林道を進む。

45分ほど歩くと、法行沢にかかる橋

法行橋が見えてくる。

さぁ、今日はここからが探検だ。

ウタさん、よろしく!

いくぞ、マイナールート探検隊。

(09:00)

最初は、法行沢のF1見物。

法行沢出合から見えないが、

少し進んだところにある。

 

この滝は、登れないので

記念撮影のみ。滝を巻く。

巻き道は、法行林道だ。

ソーラーパネルのあるところから、

再び沢に下りる。

しばらくはゴーロ歩きが続く。

 

そういえば、まだおにぎりタイムがない。

探検記で、おにぎりタイムをネタにすると

アンヌは、「そんなに食べていないわ」と

必ず言う。

確かに私は、ちょっと大げさに

書いているかもしれない。

しかし、休憩の度に食べているのは本当だ。

「アンヌ、おにぎりタイムは、まだ?」

「もう食べるのは、やめたの」

「でも、おなかは減るよね」

「おなか減らないことにしたの」

「できないよ!そんなこと」

無理しないで食べればいいのに…。

やがて堰堤が見えてくる。

林道にいったん出て巻く。

堰堤を越えたら、

すぐに沢に下りる。

しばらくゴーロが続く。

いつもウタさんは、探検中に私の作った歌を

歌ってくれているという。

作曲者として、これほど嬉しいことはない。

 

そこで、今日を記念して

法行沢のテーマを歌う(直後に忘れる)。

次の堰堤だ。

おや、誰かいるぞ。

やばい、釣り師だ。

沢屋が歩くと、魚が岩に隠れてしまい

釣れなくなる。沢屋は釣り師の天敵なのだ。

ここは見つからない方がお互いのためだ。

 

離れた場所から林道に、そぉっと上がる。

林道を使って、堰堤と釣り師をいっぺんに巻く。

林道に出ると今度はなかなか

沢に戻れない。

 

沢の雰囲気がよさそうなので、

なるべく早く沢に戻りたい。

ザレザレの斜面を

無理やり下る。

うん、なかなかいい感じだ。

やっぱりゴーロ歩きより楽しい。

小滝にかかる、かなり古い倒木。

朽ち果てた様が、とてもいい感じ。

まさにここは原生の沢だ。

小さな釜あり、ナメ滝あり。

沢歩きに最適の沢。

また堰堤だ。今度は大きいぞ。

右の斜面を登って林道に出よう。

 

この斜面はもろく崩れやすいので、

アンヌのためにロープを出す。

私がトップでロープを設置。

 

セカンドのウタさんは、ロープを

使わないで登ってきた。

ラストのアンヌは私がビレイする。

ボーラインノットに半ノット。

ビレイの王道だ。

林道まで、かなり高く登ってしまった。

これは、なかなか沢に戻れないぞ。

 

しかたないので、しばらく林道歩き。

やがて、沢にかかる橋に出合う。

橋の先から沢に下りよう。

 

おなかへった?

さぁ、ここからが沢登り本番。

法行沢上流だ。

 

今日はウタさんもいることだし、もう一度、

行くぞマイナールート探検隊!

(10:50)

中流とは様相が変わり、

いかにも沢っぽい感じだ。

 

ウタさんを先頭に、

心地よく登っていく。

少し手ごわい滝があるぞ。

ここは右から巻こう。

ミニ・ゴルジュ帯あり。

荒々しい感じの小滝が

たくさん出てくる。

難易度は高くないが

沢歩きのだいご味を充分に楽しめる。

突然、キリヤマが釜にダイブ。

本来なら素っ裸、フルティンになるところだが、

今日はウタさんの手前、

粗末なモノを出すわけにはいかず、

上半身のみ脱ぐ。

続いて、大きな滝。

ここも右から難なく登れる。

大きな釜を持つ細い滝だ。

これはちょっと難しい。

右側(左岸)を大きく巻こう。

まずは、私から。続いてウタさん、アンヌ。

土の斜面でのトラバースがちょっとやっかいだ。

 

こういう所はロープを出しにくく、

難易度がぐっと上がる。

次は、二条に流れる心が和む滝。

小さな滝をいくつか越えて、

堰堤を左から巻く。

そういえば、今日はまだ何も食べていない。

アンヌは我慢しているのだろう。

しかたがない、こちらから水を向けるか。

 

「ハラが減った、おにぎり食べよう」

「しょうがないなぁ、ウタさん、すみません

桐山がおなか減ったそうです。」

 

ヌケヌケとシャーシャーとまぁ…。

ウケ狙いか。ネタ提供か。

ここから先は、滝らしい滝がなくなる。

流れも穏やかになり、いよいよ源頭部に

近づいた感じだ。

 

そろそろ目的地、織戸峠への尾根があるはずだ。

高度計の数値から判断すれば

現在地はほぼ確定できるはず。

 

しかし、この付近は平らなところ。

標高差がほとんどない。

言うまでもないが、高度計で上下は計れるが、

前後は計れない。

 

ここに来るのは、3回目だが、

現在地に確信が持てず、尾根の特定に苦労する。

 

前回の探検では、アンヌ隊員の記憶を

私がよく確認せずに進んだために

道迷いをさらに深めることになった。

 

もう記憶には頼らない。頼れるのは地図、

コンパス、高度計、そして私の少し弱い頭脳だ。

ここだ!この尾根が地図と一致する。

 

アンヌは、こんなところに記憶がないという。

しかし、コンパスはここだと言っている。

残念だがアンヌには「おクチ・チャック」で。

アンヌとウタさんは半信半疑。(12:45)

まぁ、過去の実績から考えても当然か。

今回は絶対大丈夫だ、オレを信じろ!

 

みんな声を出せ、行くぞ、おー!

取りつきは、急な斜面。

沢装備を持って登るには、チト厳しい。

 

我が隊に体験入隊する者は、道迷いという

他の隊にはない貴重なワールドを経験できる。

だが、この尾根には自信がある。

間違いなく織戸峠に行くはずだ。

今回は、ウタさんには

「桐山は、すごいぞ」ワールドを

体験してもらおう。

さぁ、オレと一緒にてっぺん取ろうぜ!

どうだ、織戸峠に着いたぞ!

すごいぞ、オレ。

(13:05)

(おにぎりタイム)

 

コンパスよ、なぜクルっと回るのか

次は椿丸(902m)に向かう。

前回(6/21)の探検では、椿丸からの下山で道迷いをした。

今日こそ、道迷い「0(ゼロ)」を目指すぞ。

前回の失敗から学び、地図を濃く印刷してきた。

そして今日は、森の中が明るい。

よし、これなら、いけるぞ!

(14:00)

前回、間違えて下ってしまった尾根は、

難なくクリア。

 

しばらくは、順調にルートをたどって進む。

右にカーブする尾根を下るその時だ。

突然、コンパスがあらぬ方向を指す。

まてまて!落ち着け。

 

正しいところまで戻って、改めて読図をする。

アレ?やっぱりここを下るので正しいぞ。

高度計は合っているのに何で?

アンヌは地図も見ずに、

「私はここじゃないと思うんだけど…

今日はおクチ・チャックだから」という。

 

ちょっとおかしいが、ここで正しいはずだ。

もう一度、下ってみる。

アンヌは、どうせ戻ってくる、とタカをくくって

ゆっくり下ってくる。おクチ・チャックの抵抗か。

 

しかし、下れば下るほどコンパスは

どんどん狂ってくる。

今日のキリヤマは、すごいはずなのに…。

コンパスに合わせて地図を回転させているうちに

地図と地形は完全に一致しなくなった。

どうやら、またやってしまったようだ…。

ウタさんに正直に白状する。

「すみません、間違えてました」

 

ここで我が隊の必殺技、転進だ。

どうやら、アンヌの記憶が正しかった。

コンパスと地形が一致するところまで

登りかえす。

今日こそは道迷い(ゼロ)を目指していたのだが、

椿丸周辺は、本当に手ごわい。

 

 

その後は、特に難しいところもなく、

無事に三本松のピーク(桐山命名)まで下りてくる。

(15:15)

ここまで下ってくれば、

あとは管理道がある。

 

最後の急坂がちょっと大変だが、

道に迷う心配がないので、気持ちは楽だ。

こうして無事に浅瀬まで戻って来る。(16:07)

道迷い体験もできたことだし、

今回の探検は成功と言えよう。

 

ウタさん、ありがとうございました。

 

あとがき

やはり椿丸周辺で、道迷い0(ゼロ)は難しい。

踏み跡なし。余計なテーピングはあるが、肝心なテーピングはない。

尾根が乱立し、似たような景色ばかり。だが実に楽しい山域だ。

今回、ウタさんにも、キリヤマ道迷いワールドを充分に体験していただいた。

これにこりずに、またご一緒していただけたら嬉しい。

 

※駐車場に戻ってくると、Vルートの達人、M-K隊と遭遇。

 この出会いが次回の探検に結び付くのであった(続く…)

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