高度計が示す現在地。椿丸に向かえ。

2014年5月24日(土)

浅瀬 〜 法行橋 〜 838m 〜 椿丸 〜 織戸峠 〜 

富士見峠 〜 798m 〜 法行林道

 

探検友達のT氏より、高度計付きの時計を賜った。

デフォルト・ビンボーの我が隊にとっては

とてもありがたい。さっそく、これを使って探検だ。

 ターゲットは椿丸。ただし、椿丸までのコースは

地図に記載のないマイナールート。地形図を見ながら

尾根をたどって登る。

(国土地理院地図に加筆)

 

間違えたって、結果オーライ!

丹沢湖・浅瀬の駐車場に

マイナー探検1号を駐車する。

(08:50)

大又林道を地蔵平方面に向かう。(09:05)

浅瀬橋の向こう側には、たくさん看板がある。

その中のひとつに、

今まで気が付かなかったものを発見。

熊注意の文章だが、

「作業や釣りなどで、入山される方…」(赤線・桐山)

とある。

 

登山は??

登山をする人はいないの??

このあたりは、「山と高原地図」(昭文社)に

登山道の記載がない。

だから登山者があまり入らないのだろう。

静かな山域だ。

新芽の時期は終わり、

緑がいよいよ濃くなってきた。

道端や岩に生えた草花を見ながらの

林道歩きも楽しい。

浅瀬から約40分。

法行橋に到着する。

(09:50)

ここにも看板が乱立する。

その中にまたひとつ

今まで気が付かなかったものを発見。

このイラストだ。アンヌいわく、

「両親に叱られて子供が泣いているみたい」

 

すると、焚き火をしたのはこの子か。

火遊びはイカンな。

 

ここで、おにぎりタイム。

法行橋の先からショートカットで

法行林道に登る。

林道に出ると、ソーラーパネルがある。

そこから階段で沢に下りる。

下りたところには、電力施設がある。

少し上流を、飛び石で越える。

さぁ、ここからが今日の探検だ。(10:30)

ここから椿丸までのルートは、地図に記載がない。

アンヌが考えたルートだ。

 

高度計の数値を整えて、

行くぞ、マイナールート探検隊!

まずは、登りやすそうなところを見つけて

適当に登っていく。

次は、カヤトのヤブ漕ぎだ。

 

カヤトは、たいてい下方向に垂れているので、

登るときは細い茎が体を直撃する。

特に顔の周辺は注意が必要だ。

山友達 Fちゃんは、

カヤトが鼻の穴にクリーンヒットして

鼻血がボタボタと止まらなかったという。

私は、向かってくるカヤトに

キリヤマ・チョップで立ち向かい

私の歌「ヤブ漕ぎ戦士の歌」で

精神力を高める。

すると、ヤブ漕ぎはすぐに終わる。

そこは明瞭な尾根だ。

なかなか良い尾根だ。

途中に小さなコルがある。

ここで一息。

ここから眺めるミツバ岳と

世附権現山が美しい。

コルを過ぎてからは、

急な斜面を登っていく。

 

しばらくすると、平らな所に出る。(11:10)

 

おや?変だな。

尾根はこのまま、まっすぐに伸びているはずだが、

ここで大きく左にカーブしているぞ。

 

地図を取り出し、ここでさっそく高度計の出番。

ここは650m地点だ。すると今いるのはここだ!

おお!現在地が特定できる。すごいぞ!

 

コンパスで地図の方向を定めてみると、

よしこれで、完璧にわかった。

登る尾根を間違えている!


しっかり確認してから登ればよかった。

これでも私は慎重なつもりなのだから、

私の軽率は手ごわい。

まぁ、到着した所は同じだから

結果オーライだ。

 

2回目のおにぎりタイムの後、

さらに尾根を登っていく。

途中、急な斜面をしばらく登る。

平らなところに出ると

しばらく、なだらかな尾根が続く。

赤い印と尾根を示す杭がある。

このあたりが838m付近と思われる。

(11:50)

 

少し下ったところに、山頂の池がある。

この日は、水量が少なく、池というより水たまり。

満水時にはさぞ立派な池に違いない。

椿丸に向かってなだらかな斜面を

登って行く。

 

緑のアーチがすばらしい。

この付近が、今回のコースで

最も美しいところだ。

ここで、おにぎりタイム。

法行林道から約2時間、椿丸の山頂に到着。

(12:45)

ここでさらにまた、おにぎりタイム。

アンヌの「計画」では、

ここでの食事は、おにぎりタイムではなく、

昼食らしい。

 

貴婦人と野蛮人

織戸峠に向かって下って行く。

人の手が入っていない、原生林が続く。

織戸峠に到着。

ここには、小さな道しるべがあるだけ、

これがなければ、見過ごしてしまいそうな

ところだ。

富士見峠からここ織戸峠、そして水ノ木まで、

かつては生活道があったらしい。

今日は、織戸峠から富士見峠まで、

その生活道をたどってみる。

(13:30)

しばらくは、道らしきものがある。

長く放置されているためか、

あまり明瞭な道ではない。

斜面をトラバースするように

道が続いている。

すると、ハタと道がなくなる。

その先には、崩壊地。

よく見えないが、きっと崩壊地の先に

道があるのだろう。

ざざーっと下れそうだが、

高いところが苦手なアンヌのために、

ロープを出す。

崩壊地の先には、期待した道はない。

道を探して、しばらく急な斜面を

トラバースする。

 

谷に向かって高度感があり、

なかなかスリリングだ。

振り返ると、アンヌが苦戦している。

ここは無理にトラバースしない方がいいだろう。

古道にこだわらず、尾根に上がる。

 

尾根まで登るときにも周囲を見渡したが、

道が見つからない。

道はもう消えてしまったのかもしれない。

 

ところでこの日は、ハエのような虫が多い。

西丹沢ではよくあることだ。

今日は特に多いので、虫よけ網をかぶる。

アンヌがかぶると、喪に服した貴婦人(?)だが、

キリヤマがかぶると、銀行強盗だ!(さらに弱そうだ)

尾根の先端から下った先は、

法行沢の上流。

ここは簡単に渡河できる。

対岸をしばらく登ると、明瞭な道に出る。

道幅が普通の登山道よりも広いので、

これがかつて使われていた道だろう。

道なりに進んでいくと、

途中で道は消えてしまうが、

林道が見えてくる。

林道に到着。

今登ってきたところを振り返る。

西丹沢登山詳細図(吉備人出版)に標識と

かかれたこの分岐だ。

 

この標識がなければ、ここが織戸峠への入口だと

分からないだろう。

 

逆コースでここに来た場合、

かなり分かりにくい。

ここで、またおにぎりタイム。(14:20)

ここからは林道歩きだ。

林道は倒木が所々にあり、崩壊も進んでいる。

乗用車で通行できるような道ではない。

 

分岐に到着。

左が地蔵平、右が富士見峠だ。

ここは、右に進む。

分岐から3分ほどで、

富士見峠に到着。何もないところだ。

 

地図にも富士見峠の名前が記載されているので、

道しるべくらいあるだろうと思っていた。

けれども、何も見つけることができなかった。

この先に、法行林道に下れる尾根がある。

西丹沢登山詳細図によれば、

「林班界標」があるはずだ。

 

だが、探せど探せど、目標の尾根は

見つからない。

 

今日のキリヤマはすごいぞ!

エスケープルートとしては、

このまま林道を地蔵平まで下り、

大又沢林道を通って駐車場に戻るコースだ。

 

だが、このルートではかなり時間がかかる。

おそらく大又沢林道で日が落ちる。

どうも、地図に記載された道と、

現場の道が微妙に違っているようだ。

 

もう一度、富士見峠まで戻り、

再度探索する。

カーブしたところに尾根の入口があるはずだ。

とはいえ、カーブはいくつもある。

道が平坦なので、地形図から現在地が分かりにくい。

それでも高度計があるので、かなり助かる。

 

やっぱり、見つからない。

まずいな。もう15時を回っている。

あまりノンビリできない。

 

アンヌと一緒に地図をじっくり見る。

「ここよきっと」

「いやいや、違うよ」

「どうしてわかるのよ!」

「地図を見れば、わかるよ」

ここでアンヌに地図とコンパスで 地図の見方を説明する。

 

この場所に立って、コンパスと地図を合わせると、

目の前の尾根は、南西(まっすぐ) に続いている。

でも、地図では目的の尾根は 南(左)に向いている。

 

だから、現在地はわからなくても、

ここを下るのではない。そのことだけは、わかる。

 

はじめアンヌは理解できず、しばらくは私の説明を疑っていた。

(まぁ、それも当然かも)やがて理解したらしい。

 

「本当だ。隊長すごい!」

「いやいや、オレではなく高度計とコンパスがすごいんだけど」


目的の尾根は、もしかしてずっと先かな?

さらに林道を進むと、少し開けたところに出る。

ここかな。

おお、林班界標がある。

これこれ、探していたものは。

林班界標の後ろにある木には、

的のような赤印。

その先には尾根がある。

 

 

地図とコンパスで方角を確認すると、

今度はピッタリ一致。ここだ!

なんとか、日のあるうちに下山できそうだ。

よし行くぞ、マイナールート探検隊。

(15:30)

尾根をはずさないように、

地図とコンパスを見ながら下って行く。

なかなか気持ちのいい尾根だ。

 

このまま下って行くと、

798mピークで左方向に下る。

そのポイントを見落としてはいけない。

どのくらい下ればいいのか。

いつもなら、地形を見て判断するのだが、

今日は高度計がある。

高度計がそろそろ798mに近づいてくる。

そして、地図と地形が一致した。

よし、798mピークだ。(15:45)

 

どうだ、今日の桐山はすごいぞ!

アンヌよ、ホレ直しただろう!

しかしながら、アンヌは疲労で

座り込んでしまう。(オイオイ…)

 

何か食べるように勧めるが、

何も食べる気がしないという。

 

あんなにたくさんオニギリを食べたのに

とても信じられないが、なんと「しゃりばて」だ。

水分とジェルの食べ物を取らせる。

 

時間がないので、あまり休憩も取れずに

行動を再開する。

この先で、尾根と分かれて、

斜面を左方向に下るポイントがある。

高度計で現在地を判断。

左方向に下るポイントを見極め、

斜面を下り始める。

やがて、林道が見えてくる。

法行林道だろう。よし、もうすぐだ。

すぐ下に法行林道が見える場所まで来る。

しかし、うまい具合に林道に

下りられるところがない。

 

ここは、ロープを出して下りる。

よし、到着だ。

すごいぞ!マイナールート探検隊。

(高度計をいただいたT氏に感謝!)

 

先ほど食べたジェルが効いてきたいのか

アンヌの調子が回復してきた。追加でパンを食べる。

下ってきたルートは、西丹沢登山詳細図に

記載があるのだが、登り口がここだとは

とても分かりにくい。

 

詳細図には「テープ」と記載されているが、

目印のテープは見つからない。

 

地形から判断して正しく下ってきたはずなので、

間違っていないはずだ。

どうやら、テープはなくなってしまったようだ。

さぁ、あとは林道をてくてく歩いて、

浅瀬の駐車場に到着。

楽しい探検だった。

 

あとがき

いつものように帰宅後、探検友達のブログを検索すると、

やっぱり今日のルートがヒットした。

富士見林道から織戸峠までの道は、ほとんどなくなっているようだ。

みんな勇気をもって探検しているが、

古道の探検は、崩壊地が多いので我が隊にとってはやっかいだ。

とはいえ、楽しい!

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