地図読みは完璧なのに、コンパスが変だ。織戸峠はどこ?

2013年11月23日(土)

浅瀬 〜 法行林道 〜 椿丸 〜 織戸峠 〜 浅瀬

 

椿丸への挑戦、第二弾は、法行林道だ。

このコースは、歩く人も少なく、林道で安心感があるため

丹沢探検の初心者コースといえる(不審者コースともいえる)。

法行林道を探検したあとは、織戸峠に向かう。

 

このあたりの地名は、現在の地図には記載がなく、

私は「山と高原地図2004年版」を参照している。

古い地図を使って、かつての地名を訪ねるのは

マイナールート探険のだいご味だ。

よし、行くぞ!

 

 

 

法行林道は崩壊しているのか
世附浅瀬の駐車場に、マイナー探検1号を止める。

(7:40)

ゲートを越えて、浅瀬橋を通過。分岐を右。

大又沢林道を、地蔵平に向かって進む。

20分ほどで、笹子沢にかかる笹子橋を渡る。(8:20)

笹子橋からは、小さな滝が見える。

さらに10分で、法行沢にかかる法行橋に到着。(8:40)

ここには慰霊碑があるという情報があり、

探してみるが、見つけられなかった。

法行橋を越えて少し進んだところに

法行林道の入り口がある。

 

今日はここからが探検だ。

行くぞ、マイナールート探険隊。

(08:50)

以前から気になっていた法行林道。

竣工はおよそ30年前、昭和60年だ。

 

一体どこまで続いているのか。

この先はどうなっているのか。

わくわくしながら歩いていく。

しばらくは、普通の林道が続く。

特に危険なところはない。

とても広い場所に到着する。

かつての資材置き場だろうか。

その先は、草むらの中に踏み跡がある。

整備された林道は、ここまでか。

よし! いよいよ、探検らしくなってくるぞ。

と思ったが、すぐに林道が復活する。

所々、崩れてはいるが問題なく通行できる。

小さな沢を飛び石で越える。

緊張感もなく、のんびりした林道歩き。

ここでアンヌ隊員から、おにぎりコール。

「もうそろそろ、お昼でしょ?」

「まだまだ。今9:30だよ」

「私の腹時計は、2時間進んでいるのよ。だからお昼なの!」

毎度おなじみの会話。この探検記はノンフィクションなので、

不本意ではあるが、そのままお伝えする。

なぜか、落石注意の看板。

この林道全体が、落石の危険があると思われるが…。

 

「忘れないでね落石、いつかは起こるんだよ」

という関係者の思いやり、と解釈する。

中法行沢にかかる橋だ。

その先も、立派な林道が続いている。

また橋がある。欄干には平成6年2月とある。

その先は道が崩壊しているが、通行に問題はない。

法行林道の入り口から約1時間半、

そろそろ林道も終わりに近づいてきた。(10:20)

立派な法面のりめんがあるところに出る。

林道は尾根を回り込むように進んだ先で

プッツリと無くなっている。

 

法行林道は、思ったより整備されていた。

法行沢もなかなかきれいだ。

いつか、法行沢も歩いてみたい。

さぁ、ここからは椿丸を目指す。

道はないが、尾根をたどれば椿丸だ。

草原の斜面を登ると、すぐにシカ柵がある。

このシカ柵沿いに登っていく。

振り返ると、世附権現山が見える。

なかなか、いい眺めだ。

 

ところが、立ち止まっていると、

ダニが足にまとわりつく。手で払えばすぐに落ちるのだが、

あまりいい気分ではない。

この付近は、ダニが多いと聞く。

西丹沢の愛好家は、ダニに名付けもするという。その名も

「ダニエル君」「ダニーロ様」「ダニアース」など。(一部、桐山脚色あり)

 

アンヌ隊員は、山ヒルに付かれるとパニックになるが

ダニは大丈夫なようだ。

やがてシカ柵に阻まれる。

シカ柵が倒れているところから越えると、

そこは、この付近によくある樹林帯。

こうして先々週も来た、分岐に到着。

ここから椿丸まですぐだ。

標高 902m の椿丸は、低山だが魅力のある山だ。

木漏れ日の模様が静かで優しい。

なんとなく、ほのぼのとしたものを感じる。

椿丸の山頂に到着。(11:30)

展望を楽しみながら、昼食をとる。

檜洞丸、石棚山、同角の頭が見える。

双眼鏡で見てみると、塔ノ岳の山荘も確認できる。

 

地図の読めない私を責めないで!

続いて、綾戸峠へ稜線を進む。

まずは、シカ柵沿いに進んでいく。

少し、アップダウンをして、

椿丸から15分ほどで、織戸峠に到着。

数年前までは、ここはヤブだったらしいが、

今はすっきりしている。

ところで、ここは本当に織戸峠なのか。

いまいち、自信が持てない。

webの情報では、看板が木にぶら下がっているはずだが…。

もう一度地図をよく見て判断する。

 

私の判断力を疑う人も多いが、

私に判断力がないことは、私が一番自覚している。

その点は、高く評価してもらいたいものだ。

おお、大木に看板がある。

 

「山のミドリを大切にしましょう」

 

違うぞ! 織戸峠の文字はない。

看板があるとすれば、このあたりのはずだが…。

おお!あったあった!

少し離れたところ(椿丸寄り)にあったので、

気が付かなかった。

私の判断に間違いはなかった。

(珍しいこともあるものだ)

これで今日の任務は終了だ。

下山は、椿丸から浅瀬までの稜線をたどっていく。

先々週登ったコースだから、安心だ。

しかし、登るのと下るのでは、大違い。

地図で地形を見ながら慎重に下っていく。

このあたりの地形は、非常にわかりにくい。

見た目では、尾根に見えなくても

実際には、尾根であることがよくある。

 

見た目では、ダンディではないのに、

実際には、ダンディな私と同じだ。

「よし、こっちだ」

地形も方角も地図と一致している。

先見性に富んだ私の頭脳が、明晰な判断を下す。

今日も私の地図読みは、正確だ。

このあたりでアンヌ隊員は、動きが緩慢になってくる。

「なんだか眠くなってきたわ」

「歩いているのに眠いの?」

「この時間は、いつも眠いの」

「よし、地図読みはオレに任せて、後をついてくればいいよ」

アンヌは、私の地図読みを信頼して、ゆっくり歩いている。

先々週歩いたばかりのルートなので、緊張感もない。

日差しが穏やかだ。風もない。

時間はたっぷりある。のんびり下っていこう。

しばらくいくと、尾根が広くなってくる。

しかし、地図を見ながら下っている。大丈夫だろう。

さらに下ると、尾根ではなく斜面になる。

さすがに変だ。それに地図と地形が一致しなくなった。

 

コンパスを確認する。

なんと、ついさっき確認したばかりの

コンパスの針が、あらぬ方向を指している。

 

「大変だ、コンパスの針が急にクルっと回ったぞ」

「違います!」

「コンパスの故障か、地球の磁極が壊れたのか」

「違います! 下る尾根を間違えているんです」

ほんの2分ほど前は、私もコンパスも正しかったはずだ。

疑問に思いながら、わかるところまで登り返す。

 

あらためて地形を確認すると、どうやら、現在地を間違えて

違う尾根を下ってしまったようだ。

 

距離にするとわずかなズレなのだが、

実際に下っていく方向は、まったく違っている。

「ごめん、違う尾根を下っていた」

「やっぱり私も一緒に地図を確認します」

「もう間違えないよ。こっちだ」

「信じられないので、確認します」

「コンパスも正しい。大丈夫だよ」

「確認します!」

アンヌ隊員は、私の地図読みに信頼を持てないようだ。

まぁ、しかたない。あのまま下っていたら、

ヘタすりゃビバークだった。

 

こうして、三本松ノ丸(桐山命名)まで戻ってくる。

ここから先は、尾根がはっきりしているので安心だ。

780m ピークのあとは、急な下りだ。

砂地の斜面を、滑るように下ってくる。

こうして、浅瀬付近の林道に到着。(15:50)

 

今日も楽しい探検だった。(16:10)

椿丸には、また行くだろう。

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