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距離は短いくせに、なかなかやるじゃないか、小川谷廊下

 

2013年8月10日(土) 

玄倉林道ゲート 〜 仲沢林道 〜 小川谷廊下 〜 

仲沢経路 〜 仲沢林道

 

西丹沢・小川谷廊下。それは、沢登りをする人たちが

絶賛して止まない沢。しかし、この沢は、初心者だけで

登るのは危険だ、といわれている。

 我が隊は、小川谷廊下を一緒に探検してくださる仲間を

探してきた。そして、ついに山岳会「HALU」の仲間から

声がかかった。

 メンバーは、mikkoさん、つっちぃさん、Tanadaさん、

Oさん、そして、桐山とアンヌ隊員。

いよいよ、憧れの小川谷廊下を探検するときが来た。

 

 なお、この沢は、滝の正しいFナンバーが分からない。

そこで今回は、私が勝手に決めた滝の名前、岩の名前

使って探検記を書く。今後この名前をどこかで耳にしても、

それは小川谷廊下の常識ではなく、桐山の非常識、恥知らず

と考えて欲しい。

いきなりテクニカルな滝だ

玄倉林道のゲート前に駐車して、

西丹沢県民の森に向かう林道を

てくてく歩いていく。

30分ほど歩く。

西丹沢県民の森までもう少しというところに

林道の脇にケルンがある。ここから沢に下りる。

まずは、ヤブ沢に下りて、

下流に向かって進む。

堰堤を3つ、鉄のはしごで下りる。

その後、いったんはゴーロ歩きとなり、

4つめの堰堤を下ると、小川谷廊下の出合いに到着。

ここから、小川谷廊下を遡行開始だ。

すぐに“いらっしゃい滝”がある。

(以降、滝の名前は、桐山の勝手な命名

“いらっしゃい滝”は、右側から越える。

見た目より簡単ではなく、

私はルートを見誤り、難易度がアップした。

なかなか、テクニカルだ。

次に、どでーんとしている

どでん岩”が見えてくる。

ここは、水流のある左側から、

登ることができない。

“どでん岩”の右側に倒木、簡易アブミが設置されている。

倒木も、アブミも、いつまでここにあるのか、わからない。

“どでん岩”の登攀は、状況によっては困難を極めるだろう。

 

今回は、mikkoさんがトップで登り、ロープを出してもらう。

 

“どでん岩”の上には、倒木があり、

ビレイの支点になる。

(登ってから振り返って撮影)

倒木を足がかりに“どでん岩”の上に登る。

ここが以外と、バランスがとりにくい。

すぐ上で、右岸にわたる。

(振り返って撮影)

続いて、刀剣のような切れ味のある滝

白刃ノ滝”だ。

ここは、左側を登る。

ホールドが豊富だが、高度感がある滝だ。

“白刃ノ滝”の上は、ゴーロ。

ちびちびゴルジュを越える。

この日、私はパーティの一番後ろを歩いていた。

ゴーロを歩いているとき、水中に隠れている岩に

ヒザを嫌ってほど打ち付けてしまう。

 

「いてぇぇぇ〜」とテノールの美声を発するが、

沢の音にかき消され、皆には気がついてもらえない。

 

その直後に襲ってきた激痛。

ああ、もう今日はここから動けないのか。

皆はどんどん先に行く。姿が遠くなって行く。

すると、アンヌ隊員が私の異変に気がつき、戻ってくる。

 

膝がいかに痛いか、泣き言、弱音をさんざんアンヌに訴える。

私が岩にぶつかったのではなく、地球が私の膝にぶつかってきた。

したがって、私に問題はない。問題は地球にある。

こう主張しても、アンヌは何も言わない。

彼女にはちょっと難しい話だったかもしれない。

 

たとえ問題が地球にあっても、ヒザの痛みが消えることはなく、

歩くのをやめるわけにもいかない。

しばらく休み、痛みが少し和らいでくるのを待って、

痛みをこらえながら歩く。

 

修行だ。男らしい決断をせよ!

何とか、皆に気がつかれずに、パーティに戻ることができた。

 

次は、水が弧を描いている“三日月ノ滝

ここも、mikkoさんにロープを張ってもらい、

セカンド以降は、アッセンダー(登高器)で。

その上は、3mほどの滝え越える。

少し上に“まんじゅう岩”がある。

ここは左から越える。

そのさき、巨石をいくつか越えると

親子岩”が見えてくる。

ここは、水流のない親岩の右側から越える 

子供岩からの流れは、とても清らかだ。

小川谷廊下は、巨石が多い。丹沢にも、

このようなダイナミックな沢があることに驚く。

巨石群を越えて行く。

続いて、ゴーロになる。

ゴーロを2、3分も歩くと“修行ノ滝”が見える。

ここは、水に打たれるのに最適だ。

よし、いつものように脱ぐぞ!

さっそく修行をする桐山。水圧が高い、水温も高い。

きっと男っぷりも高いに違いない。

 

皆は黙って私を見ている。

きっと言葉を失うほど感動しているのだろう。

(開いた口がふさがらないのかもしれない)

今日は女性が多いので、下半身は脱げない。

しかも、後ろからパーティが迫ってきているので、

下半身を脱ぐと連行される恐れがある。

小川谷廊下は、ゴルジュが多い。

水量が増した場合、かなり難儀するらしい。

つるつる壁の滝“ツルノ滝”だ。

ここは、かなりの難所だ。

皆さんは、右側の巻き道を登る。

 

私と、Oさんが滝の直登りに挑戦することに。

ビレイは、mikkoさんにお願いする。

“ツルノ滝”の右側(左岸)赤のルートには、

残置ハーケンにかかったスリングが2つある。

まずは、赤のルートをトライだ。

 

ひとつ目のスリングに手をかけて、手を伸ばす。

2つ目のスリングには、とても届かない。

もちろん、トラバースする足がかりもホールドもない。

これはもう、無理か。やめようか。

しかし、ここでやめたらバカだ(やめなくても充分バカだ)。

 

たとえ落ちても、mikkoさんがロープを引いてくれる。

滑落はしない。よし、今こそ、男らしく決断するときだ。

こうして、私は男らしく登るのを断念した。

(クライムダウンで元の位置に戻ってくる)

 

するとOさんが、クラック沿い(青のルート)に

しましょう、と提案してくれる。

 

こうして青のルートで登る。まずは私が登り、続いてOさん。

同じく青のルートで登ってくる。

上から、登攀中のOさん(下に見える青ヘルメット)を撮影する。

フォールすることもなく、安全に登れて、よかった。

 

“ツルノ滝”は、越えた後の右岸トラバースが難しい。

アンヌ隊員いわく、「いちばん難しかった」。

ここは互いにスリングを出して越える。

(写真は、Oさんにスリングを出す桐山)

小川谷は、廊下だ。ゴルジュだ

続いて、“大蛇ノ滝

ここは直曝の滝。釜がとても深い。

あまりに深く、背が届かない。

滝に近づくと、水流に飲み込まれる恐れがある。

などと、今になって思っているだけで、

この時は、はしゃぎまくって泳いだ。

 

“大蛇ノ滝”は丹沢では珍しく、流れの内側を通る滝だ。

昔のマンガにある、滝の中にある洞窟を期待したくなる。

ゴーロ歩きの先に見えてくるのは、

横たわる大きな“小判岩

これは、「一枚」と数えたくなる形だ。

ここにはロープが設置されており、ゴボウで登る。

傾斜がゆるく、楽に登れる。

アンヌもこの通り、余裕だ。

“小判岩”を越えたところで、休憩。

緊張であまりお腹が減ってこない、と

しきりにいっていたアンヌ隊員は、

おにぎりを2個、しっかり食べた。

その先は、小さな滝を左から越えて

しばらく進むと、

いよいよ、小川谷廊下のゴルジュ帯、

通称、石棚のゴルジュだ。(これは桐山命名ではないよ)

名高いだけのことはある。

ゴルジュっぷりが、すばらしい!

パーティの一番後ろを私、その前をアンヌ隊員が

歩いているとき、アンヌ隊員がツルっと滑って、

ゴルジュの釜に、ドボーン!

どこも打たずに、きれいにドボンする。

それはもう、ドボンの見本のようなドボンだった。

残念ながら、前を歩いていた他の人には

気が付かれなかった。

 

 

ゴルジュ帯の中にある

曲がりノ滝、と呼ばれる滝だ(これも桐山命名ではないよ)。

ここも、mikkoさんがトップで登り、

ロープを張ってもらう。

 

 

滝の中間にハーケンが2か所、

滝の上には、ハーケンとOリングの支点がある。

 

ここも、アッセンダー(登高器)で登る。

この後も、ゴルジュ帯が続く。

 

大コシバ沢出合いに到着。

左岸の壁から、支流の大コシバ沢が滝になって

小川谷に入ってくる。これは、珍しい。

一直線に流れる“ヤギ髭ノ滝

ここは、左側を越えて行く。

これぞ小川谷廊下。クライマックスの滝

次は、石棚と呼ばれている、三段の滝だ。

(これも桐山命名ではないよ)

ここは、小川谷のクライマックス。

 

水量が少ないこの日でも、この滝は迫力がある。

石棚は、小川谷廊下で一番すばらしい、と言われている(私から)。

 

また、滝の釜に飛び込んだら、滝の勢いに巻きこまれ

二度と上がってこられない、と言われている(私から)。

まず、一番下の滝は、右から登る。

続いて二段、三段の滝は、左の壁を登る。

ここは、ハーケンが数か所ある。

mikkoさんにリードをとってもらう。

ホールドもしっかりしているが、高度感があるので、

ロープがあったほうがいいだろう。

(登攀中のダンディ桐山

 

 

石棚の上流に降り立つと、滑り台のような滝がある。

これは、すべってみたい!

(mikkoさんが振り返って撮影)

さっそく、すべってみる。

私のハゲ頭のように、よくすべる。

石棚の上は、小さな滝を越え

ゴーロ地帯を進む。

そしてまた、小さな滝、ゴーロ。

さらにゴルジュが続く。

CSの“ドボン岩”に出合う。

ここの釜がとても深いので、

飛び込み修行に、最適な釜だ。

トイ状の滝や、ナメ滝を越えて行く。

さらに小さな滝を越えて行くと、

最後の滝“終焉ノ滝”に到着。

ちょっと見た目には、どこを登ればいいのか

まったくわからない。

(ここは最近、釜が埋まってしまったという)

mikkoさんのリードで、ロープを張ってもらう。

離陸は、右側の壁(左岸)を登り、

ハーケンのあるルートをトラバース。

そして、水流の右側を登っていく。

セカンドは、私。

水流の右側を登るとき、ホールドがないので難儀するが

水流沿い(左方向)にホールドを見つけられれば、簡単だ。

 

次にアンヌ隊員。上からホールドの位置を教えて、

なんとかクリア―。

“終焉ノ滝”の上には、壊れた堰堤がある。

これはかなり大きい。

堰堤を越えると、開けたゴーロになる。

ここで小川谷廊下は終わる。

下山は、中ノ沢経路を使う。

小川谷廊下は、やはり丹沢随一の沢だった。

機会に恵まれたらまた来たい思う。

この日、一緒に探検したメンバーには、

感謝してやまない。

 

あとがき

 

 

小川谷廊下は、他県から来る人も多い人気の沢。

沢としての評価もさまざま見聞きする。

いわく

  昔より簡単になった滝が多い。昔のほうがよかった

  昔より難しくなった。昔よりレベルが上がった。

  昔のことは覚えているが、昨日の夕飯のおかずは思い出せない。

 

私の恩師が、ホッとすることをおっしゃっている。

  ただのヤブ沢でも、パッとしない支流でも、沢好きにとって、

  つまらない沢など存在しません。すべての沢に、魅力があります。

 

 

小川谷廊下は、たくさんの滝があり、水量もある。そのため沢の音が大きい。

これは、私が行ったほかの沢では、考えられないほど大きな音だった。

したがって、滝の上に登ったトップと、セカンド以降の会話がままならない。

セカンド以降がどのように登るのかを事前に話し合っておき、

さらに合図のホイッスルを決めておけば、よりベターかもしれない。

 

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