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記憶の中の君は、いつも美しい。セドノ沢左俣

2013年5月18日(土)

戸沢 〜 セドノ沢左俣 〜 書策新道 〜 戸沢

 

記憶は美化されていくものだ。

小学校のとき大好きだったあの娘も

中学校のとき大好きだったあの娘も

高校のとき大好き(…以下略)

記憶の中のあの娘は、みんな可愛い。

これは、人間の記憶が自分の都合のいいように
補正されていく、脳のメカニズムのためらしい。

私の記憶する限り、大好きだったあの娘(たち)は
みんなとても可愛く、美人ぞろいだ。

もちろんアンヌが一番、と付け加えておこう。
(私も自分が大切だからだ)

沢登りの記憶も、やはり美化されていくものなのか。

 

5/18(土)、我が隊はセドノ沢左俣を探検した。

私は、セドノ沢左俣、3年前に友達と登ったことがある。
そのとき、アンヌにはここは無理だなと思った。

あまりに難しい滝が多かったからだ。

ここ半年、私たちはクライミングばかりやってきた。
そろそろセドノ沢を登れるだろう。

セドノ沢は本谷の支流だ。

本谷のF1の前に立って、びっくりした。

 小さい…

記憶では、とても大きな、美しい滝だった。

3年前の私は、まだ沢登りを始めて間もなく、
この滝を登る技量も経験もなかった。

それが記憶の中で、大きな滝に補正されたのだろうか。

 

写真を合成して、私のイメージを具現化してみた。
それがこれだ。

 

記憶では、実際の倍以上の大きな滝。
意気込んできただけに、なんだかショボ!
(美しさは記憶のままだ!)

今日は、流れの左側を登ろうと思った。
前回来たとき、ここを登っているグループがいたからだ。

しかし、中間支点がない。うむ、しかたない。
登攀はあきらめよう。

私たちは、鎖が張ってある巻き道で登ることにした。

※もし、数名で登るなら、最初の人が巻き道で上に行き、
  ロープを上からおろしてもらう、いわゆるトップロープで
  登ることができるだろう。

 

まずは私が、鎖にヌンチャクをかけ、ランニングビレーで
登っていく。上に到着すると、まずは自己確保。

うん、よしうまくできたぞ。

しかし、自己確保のスリングに手間取る。
登る前からスリングを準備しておくべきだった。

大丈夫か!

ホイッスルの合図でビレイ解除。
次のホイッスルで、私がアンヌをビレイする。

アンヌがヌンチャクを回収しながら
登って来る。私はロープを引いていく。

ここで、またしても不手際。引いたロープは
自己ビレイのスリングにかけていくのだが
これを忘れていた。

ロープを引けば引くほど、足元にたまっていく。
いかん、私の立っているところは、滝の落ち口だ。
ロープが流されてしまうかもしれない。

本当に、大丈夫なのか!

さらに登ってきたアンヌは、ビレイ解除の際、
ヌンチャクを落としてしまう。

ヌンチャクは、滝の上にある窯の底に沈んでいく。

アンヌよ、お前もか!

幸いヌンチャクは回収できたが、体はずぶ濡れ。
暖かい時期でよかった。

 

まぁハプニングはあったが、今までよりは安全に登れたはずだ。

山岳会「HALU」の方々に教えていただいたロープワーク。
少しは身についてきたようだ。教えていただいた皆さんに感謝!

ここで、感謝の記念撮影。

本谷F1の上から、支流のセドノ沢に進む。

セドノ沢の滝は、ロープを出さずに登っていく。
ロープを出す予定でいた滝は、記憶よりずっと低く、
また登攀ルートも簡単に見つけられたからだ。

心配していた、アンヌのトラバースもスムーズだ。

いくつかの滝を越えていくと、倒木がたくさんある。
こんな光景を最近よく沢で見かけるようになった。

せっかくのきれいな沢がよく見えず、残念だ。

しかし、これも自然の一部。
夏が過ぎれば、倒木はきっと流され、元のきれいな
沢に戻るだろう。

セドノ沢左俣といえば、F5の大滝がある。
ここは、先行パーティが取りついていたので、
しばらく眺めてみる。

12メートルの大滝。半分くらいのところ。
ランニングビレーで、ハーケンを打ちこんでいる。
ハーケンを打つ音が、カンカンと響く。
この音がキンキンと響いたら、それはハーケンが
効いている音。

カンカンカンカンカンカンカンカン

打てども打てども、決まらぬハーケン。
よく見ると、膝が震えて、いわゆるミシンを踏んでいる。

うーむ、これは怖そうだ。
そこで我が隊は、勇気をもって転進する。
(撤退ではない!)

 

少し下流に戻って、高巻く。
滝が高い分、巻き道も高い。

砂の斜面をトラバースする。
ここでアンヌがビビる。「怖い怖い」と叫び始める。

ロープを出して、難所を越える。

あまりに高巻きすぎて、沢に戻るのに懸垂下降になった。

その上流は、セドノ沢らしい、美しい流れだ。

 

セドノ沢左俣は、小さな滝が連続して沢全体が滝
のような沢だ。

最後にF7を見学して、少し下流にもどり
支流から書策新道にでる。

ここから、1時間ほどで戸沢の駐車場に戻る。

記憶の中では、とても難しいと思っていたセドノ沢。
この日は、快適に登ることができた。

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