体験入隊者あり、椿丸へ。わくわくした探検が好き! 

2014年6月21日(土)

浅瀬 〜 法行橋 〜 富士見峠南東尾根 〜 富士見峠 〜 織戸峠 〜 

椿丸 〜 法行林道 〜 浅瀬

 

女性探検家Оさんから、体験入隊のメールをいただいた。

彼女は主に、冬期の探検で活躍されている登山家だ。

単独テント泊など、我が隊には絶対できないことも

難なくこなす。

 

むむ!これはいつものアホな探検はできないぞ。

私の心は、初航海前夜のバスコ・ダ・ガマのように燃えた。

 

私はアンヌにいつも「今日こそ大丈夫だ」と言ってきたが

今までの実績はかんばしくない。しかし今回は、

ヘタな探検ができない。わくわくした探検を目指す!

(国土地理院地図に加筆、以下同じ)

 

今回のイラストは、我が隊のユーレー隊員、娘に

描いてもらったものだ。

 

道間違え、初級編

丹沢湖・浅瀬の駐車スペースに

マイナー探検1号を駐車する。

(08:45)

大又林道を地蔵平方面に向かう。

およそ1時間で、法行橋に到着。

ここでいつもの、おにぎりタイム。

と思ったら、Оさんから嬉しいおすそわけの

ゼリーとプリン。アンヌ隊員、大喜び。

法行橋の先からショートカットで

法行林道に登る。

 

この林道は法行沢沿いに進む道で、

上流方向に進む。

この先にある林道の脇道に

目的の入り口があるはずだ。

 

しかし、しばらく歩いても脇道がない。

あれ? おかしいな。

地図で確認すると、なんと逆だ!

入り口は林道に出てから上流ではなく下流方向。

 

体験入隊のОさんの手前、今日だけは絶対に

道迷いしない決心をしてきた。

しかし、アプローチですでに道迷いしている。

 

私の尊厳は、たいへん傷ついたが

私の尊厳はすでに地に落ちているのが唯一の救いだ。

 

「すいません。間違えました、戻ります」

 

Оさんは、ベテラン・アルピニストだ。

もしかしたら、私の間違いにとっくに気が付いていた

かもしれない。

(私に気遣い、何も言わなかったのかな)

 

スタート前からマイナス点だ。

よし、ここから先で名誉挽回だ。

 

林道を下流方向に少し戻って、

富士見峠・南東尾根の入り口に到着。(10:16)

 

それではいつものポーズ。

今日は、Оさんと一緒に。

行くぞ、マイナールート探検隊!

 

西丹沢登山詳細図(吉備人出版)によれば、

富士見峠・南東尾根は、

法行林道から脇道に入り、

ぐるっと回って尾根に向かうらしい。

まずは、法行林道から脇道に入っていく。

左側には、シカ柵が続いている。

しばらく行くと、シカ柵の切れ目がある、

ここから中に入る。

柵の中は、植林地帯。

シカ柵が邪魔して、尾根に向かって登れない。

 

取りつく尾根を探して

適当にごそごそ登っていく。

もとより踏み跡なんぞ、まったくない。

尾根沿いにはシカ柵が続いている。

ヤブがすごい。

このヤブは、カヤトではなく笹ヤブだ。

少し斜面寄りをトラバース気味に

尾根から離れないように登っていく。

ところどころに踏み跡らしきものがあるが、

けもの道かもしれない。

少し広いところに出た。(11:13)

ここでОさんから、おにぎりタイムの要望あり。

(おお!アンヌよりも早いぞ!)

さらに登っていく。

シカ柵はもうない。

植林地帯の切れ目で、

明るいところに出る。

平坦なところには、踏み跡もあるが

登山道なんぞは、もちろんない。

ここ富士見峠・南東尾根は、西丹沢でもかなり

マイナーなルートに違いない。

Оさんが見つけた、タコの大木。

ちゃ〜んとタコの目がある。

Оさんの感性は、すばらしい。

 

ここで、またも休憩。今度は昼食タイム。

Оさんから、味噌キュウリをいただく。

 

アンヌ隊員がたくさん食べると思って、

気を使ってくださっているのだろう。

心優しいОさんに感謝だ!

(12:15)

さらに、登る、登る。

なかなかいい尾根だ。

こんなところがマイナーな道だなんて

実にもったいない。

林道に到着。(13:02)

南東尾根は終了だ。

よし、ここまではまず問題なし。

ここからしばらくは、林道歩きだ。

 

道間違え、中級編

ここは、車が通れるような林道ではない。

開通当時はもっとちゃんとしていたと思われるが、

土に埋もれたり、崩壊したりして車道としては

機能していない。

しばらく進むと、富士見峠に到着。

昔はここから富士山が見えたのだろう。

今では植林が育ち、展望はない。

富士見峠をすぎて、しばらく林道を歩いていく。

おお、なんか面白いものがあるぞ。

平塚営林所の看板だ。

「借入金(郵便貯金など)による造林地」とある。

 

郵便貯金の借入金ってなんだろ?

それに、営林所の台所事情まで書く理由は、

いったいどんな理由なんだろうか。

さらに進んで、法行沢への分岐に到着。

初めてここに来る人には、この分岐は

とても分かりにくい。

(我が隊は、前回ここに来ている)

法行沢に向かって下っていく。

しばらく下ると、平らなところに出る。

前回ここに来たときに、立派な道があった。

それがなぜか、見当たらない。おかしいな。

 

まぁとにかく、沢を渡ろう。(写真を撮り損ねた!)

沢を渡った先にある尾根がある。

しかし、この尾根の方向とコンパスと方向は一致しない。

でも、この尾根でいいはずだよなぁ。

 

どうしようか。地図を見てもよく分からない。

少し登れば分かるかな?

しばらく登ってみるが、やっぱりわからない。

ここはいったいどこだろう。大丈夫かな。

 

不安ながらも、ずんずん登っていく。

やっぱりこんなに登るのは、おかしい。

そして、不安と地形と地図のすべてが一致した。

よし分かった。間違っている!

隣の尾根を登っている。

 

うわ、カッチョ悪い。Оさんに何て説明しようか。

我ながら情けない。もうこのまま気絶して、

春まで冬眠したくなってきた。

Оさんは、私の探検記を読んでくださっている方だ。

予想はしていただろうけど、これではそのまんまだ。

しかも、今日はこれで2回目。

 

「すみません、違う尾根でした…」

間違えたとはいえ、織戸峠から少し北側に着くだけだ。

まだまだやり直しはできる。

 

気を取り直してさらに登る。

大栂から織戸峠の間の尾根に到着。

 

ここでОさんからオレンジをいただく。

Оさんのザックは、次々に食べ物が出てくる。

不思議なザックだ。

 

Оさんいわく、

「アンヌさんがもっと食べるかと思っていました」

Оさんからたくさん食べ物をいただいて、

さすがのアンヌもお腹がいっぱいなようだ。

 

尾根に出てからは南東方向に下っていく。

少し下ると織戸峠に到着する。(15:00)

 

道間違え、上級編

織戸峠から椿丸まで、標高差130mほどだ。

よし行くぞ、あの鐘を鳴らすのはオレだ。

雲行きがあやしい。森のなかが暗くなってくる。

雨が降らないうちに、下山したい。

こうして本日の目的地、椿丸に到着。(15:32)

思ったよりも時間がかかった。

予定の2時間オーバーだ。

理由は、キリヤマのアホな判断に尽きる。

 

椿丸から浅瀬のルートは既に経験済みだ。

ここからは、安心して歩ける。

 

しかし、前回間違いなく歩けたといって

今回も間違えないという保証はない。

実際、歩きはじめるといくつか問題点があった。

曇り空で森の中は暗く、地図がよく見えない。

さらに、印刷した地図が小さく、等高線が読みにくい。

さらに、等高線に自宅でメモ書きした標高が間違っていた。

 

それでも、コンパスの示す方向は正しい。

どうやら間違えていないようだ。

うーん、やっぱりなんか変だ。

しばらくは稜線歩き。そんなに下らないはず。

でもなぜか高度計の数値が、どんどん下がっていく。

もう150m以上下っている。これは下がりすぎだ。

 

私の高度計がおかしいのかとも思ったが、

Оさんの持っている高度計も同じ。

 

現在地は分からないが、どうやら椿丸の南西側に

向かって下っているようだ。

このまま下っていくと、深く迷い込んでしまう。

最悪ビバークだ。これはまずい。非常にまずい。

これ以上、下ってはいけない。

 

本日、3度目の間違い。

探検隊の隊長として、とても恥ずかしい。

もう、このままマントをひるがえして

「ふぁはははは」と笑いながら消えてしまいたい。

 

本日の行動時間はすでに7時間。

疲れた体に登りかえしはキツイ。

しかし、分かるところまで登りかえさないと

現在地が分からない。

 

しかたない。意を決して、Оさんに白状する。

「すみません。また間違えました…」

こうして、今まで下ってきたところを登りかえす。

その歩みは、かなりゆっくり。

Оさんもかなり疲れていらっしゃるようだ。

(ごめんなさい)

 

しばらく登りかえして、やっとわかった。

やっぱり違う尾根を下っていた。

 

椿丸の周辺は地形が入り組んでおり、

地図読みが難しい。地図読み初心者には

ハードルが高い。

 

この辺りは何度も歩いているとはいえ、

しょせん私は初心者だ。ルックスだけの男だ。

 

現在地がわかったので、もう大丈夫だ。

だが、そろそろ日が落ちる。

暗い森のなかを、地図も見えずに歩くのは危険だ。

 

そこで、かねてから想定していたエスケープルート、

法行林道に向かう尾根を下る。

よし、森を抜けて林道が見えてきた。

もう大丈夫だ。思わず万歳ポーズ。

ここからは、林道歩き。(17:09)

林道に出ると、ずいぶんと明るい。

こんなに明るいなら、あのまま浅瀬方向に

下山しても大丈夫だったかなぁ。

少し臆病すぎたかな。

「明るいから元のルートでも大丈夫かな?」

というと、Оさんもアンヌ隊員も

「いいえ、これでよかったと思います!」

「林道に向かった隊長の判断は正しいわ!」

と、必死に私を説得。

なんだなんだ。みんな怖がりだな。

(ちょっと違うか)

 

まぁ、これ以上間違えたら本当にまずい。

それに今日はたくさん歩いたから、

もういいか。

 

こうして無事にマイナー探検1号に到着。(19:08)

ヘッドランプを使わずに戻ってこられた。

 

Оさん、ありがとうございました。

 

あとがき

我が隊の特徴は、楽しい探検だ。そのためには、多少刺激的な方がいい。

しかし、わくわくした探検がしたいと思ったいたら、本当に道迷いした。

ちょうど、自由に空を飛べる鳥になりたいと願ったら、

本当にカラスにされたような気分だ。あまりハデな道迷いはそろそろ卒業したい。

 

今後もまた、Оさんと探検できることを切に願っている。

次回こそ、まともな探検にしたい。

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