ただ今、現在地不明! 道なき探検、椿丸に向かえ

2013年11月9日(土)

浅瀬 〜 椿丸 〜 山神峠 〜 三保山荘跡 〜 浅瀬

 

西丹沢・世附には、登山道のない山域がある。

道しるべのない稜線をつなぎ合わせ、複雑な地形を理解して進む。

過去、ここには多くの丹沢探検家が挑んでいるという。

地図読みを、少しできるようになってきた我が隊。

いよいよこの山域にチャレンジするときが来た。

 

尾根を見失うな

世附浅瀬の駐車場は、すでにいっぱい。

最後のスペースに、マイナー探検1号を止める。(8:00)

ゲートを越えて、浅瀬橋を通過する。

地蔵平への道を分けて、左方向に進むと、

すぐに最初のカーブミラーがある。

ここから椿丸を目指す。

今日は、地図に記載のないマイナールートだ。

いくぞ、マイナールート探険隊。(8:20)

尾根に乗るまでは、斜面を登っていく。

踏み跡は、ほとんどない。

登り始めて10分ほどで、明瞭な尾根に乗る。

ここからいくつものピークを経て、椿丸に至る。

周囲の木々が、紅葉している。

振り返ると、ミツバ岳の紅葉がすばらしい。

この稜線には踏み跡がないのに、丸太の階段が出現。

しかし、この管理道は椿丸に向かっている保証もないので、

あまり当てにできないだろう。

 

地形図を見ながら、稜線をたどって歩く。

まずは、ピーク 780 mに到着。

780 mの先は下って、登り返す。

管理道は、やがて稜線から離れていってしまった。

次のピークに到着。

ここには、三本の赤松が並んでいるので

「三本松ノ丸」と勝手に命名する。

「三本松ノ丸」の先は、いったん坂を下り、

すぐに登り返す。

このあたりで、アンヌ隊員からコール。

「おなかが、すいたわ。そろそろお昼よ」

「ええ?? まだ10時半だよ」

「私のおなかは、もうお昼なの」

(トホホ…)

 

838 m 付近を通過する。

アンヌのコールにより、補給を取る。

この付近は、地形が分りにくい。

コンパスでしっかり現在地を把握する。

よし、こっちだ。

どうだ!今日の桐山は、すごいぞ!

アンヌ隊員も、ホレ直すに違いない!

 

しばらく行くと、丹沢でよく見かける水たまりがある。

イノシシが身体の掃除をした跡と思われるが、

現場を見たわけではないので、大ウソかもしれない。

突然、稜線の右側にぽっかりと、ひらけた場所。

とてもきれいなところだ。手入れをして下草を植えたのかな?

自然に生えたのかな。

こんな山奥になぜこんな空間があるのだろうか。

さらに進んでいくと、とても気持ちのいいところになる。

この付近は、本日一番きれいなところだろう。

法行林道への分岐。

右(東)の尾根を行くと、法行林道だ。

椿丸は左方向。

こうして、椿丸に到着。(11:30)

展望がない山頂を過ぎ、西に向かうと、

見晴らしのいいところがある。

 

ハンターから身を守れ!林道に惑わされるな!

大栂山を望みながら、昼食をとる。

昼食を食べていると、クマよけの鈴の音が聞こえる。

こんなところに来るなんて、物好きもいるもんだ。

そう思っていたら…。

現れたのは探検友達のenari氏だ。

お互いに物好きであることを確認し合う。

enari氏は、我が隊と逆コースで探検しておられる。

お互いにコースの状況を報告。これは助かる。

 

続いて、山神峠に向かう。

やはり踏み跡は、ほとんどないが

稜線に沿って歩いていけば、問題ない。

広いなだらかな尾根が続く。

こういった広い尾根では、知らない間に違う尾根に

進んでいることがある。方向を見誤らないように、

地図とコンパスで確認しながら進んでいく。

おお!散弾銃の薬きょうが落ちている。(写真、enari氏提供)

やはりこの付近はハンターが出没するのか。

ハンターにシカと間違えられて、発砲されたら大変だ。

私は、髪の毛も薄いが、存在感も薄いのだ。

 

 

アセる私。しかし、アンヌはピンと来ていないようだ。

なぜなら、彼女は「薬きょう」とは何か知らないからだ。

それどころか、散弾銃のこともよく知らない。(三段銃ではないぞ!)

 

ハンターは主に日曜日に活動するらしい。

今日は土曜だが、安心はできない。

クマ鈴を手に持って、じゃんじゃん鳴らす。

大声でテーマソングを歌う。

 

こうして、山神峠への分岐に到着。

道しるべがあるわけではないが、

地形図から判断すると、

分岐はここに間違いない。

テーピングはあるが、踏み跡はない。

壊れたアンテナがある。

分岐から先は、明瞭な尾根だ。

15分ほど下ると、山神峠に到着。(13:00)

社がある山神峠。

かつては、人が通っていたはずだが、

今はその気配をまったく感じさせない。

影のように静かなところだ。

山神峠の先は、急な登りになる。

ツガの巨木を発見。

私と違って、存在感がある。

いつものようにハグする。

うん、いい感じだ。

これは、かなり大きい!

このツガを、私のお気に入りの一本と認定する。

巨木から先は、突然、林道が出現する。

かなり大がかりに切り開いた道だ。

林道は途中でUターンして、尾根を離れてしまう。

我が隊は、尾根に忠実に進む。

またしても、先ほどの林道と出合う。

どうやら尾根を歩いても、林道と同じところに行くようだ。

このまま林道を歩こう。

ところが林道を歩きはじめると、

だんだん現在地が分らなくなってくる。

林道は尾根を巻くように、何度もカーブしており

尾根に沿っていると思っていた林道が、

尾根から離れてしまう。

きっとこのまま、林道を下っていけば、

下の林道に合流するだろう。

 

林道をどんどん下っていく。

ますます現在地が分らなくなるが

林道を歩いていれば、安心だ。

ところがなんと!行き止まり。

下っているのに行き止まりとは、どうなっとんじゃ〜!

新手の嫌がらせか。

林道を歩いているのに遭難するなんて、

ハイレベルな遭難だ。

 

わからなくなったポイントまで戻ってくる。

コンパスを使って、しっかり現在地を確認する。

わかったぞ、どうやら120度くらい方向感覚が、

ずれているようだ。(オイオイ…)

方向感覚をリセット。よし、もう大丈夫だ。

先ほどの、行き止まり地点までくる。

ここから南方向に下るようだ。

わずかにある踏み跡を頼りに、斜面を下る。

やがて植林地帯の中に管理道を見つける。

管理道にしたがって下っていくと、

廃屋の裏手に出る。(15:15)

三保山荘だ。

もちろん、現在は営業していない。

便器がむき出しになっている。

実はこのとき、非常にうんぴょをしたかったのだが、

さすがにこれを使用しては、まずいだろう。

我慢して先に進む。

 

三保山荘のすぐそばには、吊り橋がある。

これを渡って、林道に出る。

吊り橋はワイヤーが錆びついて、板がはがれている。

大丈夫かなぁ。

刺激しないように、そーっと渡る。

無事に渡って、林道に出てみると、

そこは崩壊地の作業現場。

 

工事をしている人に見つからないように

隠れながら現場を過ぎる。

(といっても、バレバレ)

工事現場の先も崩壊している。

ここは横切ることができないので、

いったん沢に下りて、崩壊地の先を登りかえす。

ドライバーを使って、斜面を下る。

ガラガラと音を立てて、岩が崩れていく。

岩と一緒に落ちないよう、注意して下る。

沢に着くと、探検中のご夫妻(Iさん)に声をかけられる。

なんと、私のことをご存じだと言う。

私の探検記を見てくれているらしい。

 

まずい。ボロを出さないようにしなければ。

私は、重厚な知的紳士を演じ、アホな言動を控える。

(うんぴょをしたいことも、黙っている)

互いに記念撮影。そして、しばし談話。

 

崩壊地の登りかえしは、Iさん夫妻が先行する。

下からじっくり見て、登り方を学ぶ。

 

 

崩壊地の上部には、ロープがある。

これを「ゴボウ」で登る。

Iさん夫妻は難なくクリアー。

続いて我が隊の番。

岩の斜面はかなり斜度があり、

「ゴボウ」で登るには、腕の力がいる。

バランスを取ってクライミングのように登る。

こういうところでは、「ゴボウ」が難しい。

やれやれ。これで安心だ。

と思ったら、またしても崩壊地だ。

Iさん夫妻は、ゆっくりトラバースして通過。

ここは、一度滑ったら、下まで止まらないだろう。

アンヌ隊員は、高いところが苦手なので、

フリーで渡るのは危険だ。

ここは、ロープで確保して崩壊地を越えることにする。

スリングでチェストハーネスを作り、

カラビナにロープを8の字結びにする。

まず、私がロープを引き、電信柱を巻いて、

崩壊地の向こう側に渡る。

次に、電信柱を支点にして、アンヌ隊員をロープで確保。

アンヌが渡る。よし、グッジョブ!

クライミングで学んだロープワークが役に立った。

ようやく崩壊地を越えて、林道を下っていく。

すっかり暗くなってしまったが

楽しい探検だった。(16:50)

 

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